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火輪

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初授業

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昼食後は初めての講義の時間だ。
科目は礼儀作法。

『うげ、一番やる気出ない科目だわ』

教師はアラサーのちょっと厳しそうな女性だった。
美しさより厳格さを感じさせる深緑のドレスをつまみ 腰を落として頭を下げて挨拶をする。

「レベッカ・イズライルと申します。お見知りおき下さいませ。本日よりミラルカ様のマナーの授業を担当させていただきます」

「は、はい。よろしくお願いします」

反射的にペコリと頭を下げるミラルカ。
レベッカ女史の目がギラリと光った。

「おや?挨拶一つまともにできないのですか?」
ミラルカは慌ててレベッカ女史のお辞儀を真似た。

『こ、こんな感じかな…結構キツい態勢なんですけど』

「……」

無言でじっと見つめていた女史は、ツカツカとミラルカの側に歩み寄った。
そしてグイッとミラルカの背を起こしながらも腰を低くさせるように肩を押さえた。

「背筋は真っ直ぐに保って腰はこの位に落とします。頭だけ下げるのではなく、上半身で礼をするようになさって下さいませ」

女史に矯正された姿勢は始めにミラルカがとった態勢よりもつらいものだった。

『え~、き、きついよ。足が震える~』

「お声をかけていただくまで、この姿勢を保ちます。しっかり姿勢を保持!ぐらぐらしてはいけません」

女史の注意を受けながら 何とか頑張るミラルカだが、身体の揺れはもう堪えられなくなり、
『もう、保たない!』
と倒れそうになる寸前にやっと、女史の声がかかった。

「はい、戻って結構です」

ホッとして立ち上がったミラルカに更なる注意がとんだ。

「その立ち姿には品性がありません!もっと……(中略)……!…」

挨拶から始まり立ち方座り方歩き方……すべての動作を細かく注意されて、初めての授業は終了した。

『礼儀作法…舐めてたわ。くっ、ここまで体力と精神力を削られるとは…」

疲労と筋肉痛でヨロけながら自室に戻るミラルカだった。

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