あの物語の続きを知りたい!

火輪

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疑問はたくさんあるがどれも答えが出そうに無い。
現時点で自分が知っている事は余りに少な過ぎる事に頭を抱えた。

『誰かに聞くしか無いかな…でも、誰に聞いたらいいのか……あの人、しかいないよ、ね』

心当たりは一人だけ。
母と二人だけの生活の時も他人との会話はほとんど無かった。
だが、ただ一人 時々母と話していた者がいた。そして母の頼みを聞いてくれていたのも彼女だけだった。

『うん。明日チャンスがあったら話しかけてみよう。後は魔法の事か…』

自分は無能とーー魔法が使えない者として認識されている。しかし昨夜の事は覚えている。
前世の事を思い出したり、色々衝撃がありすぎてうっかりスルーしていたが、手を使わずに物を動かすなんて普通にできることでは無い。
これを魔法と呼ばずしてなんと呼ぼうか。

ミラルカは昨夜と同じ所に置かれている水差しとグラスに目を向けた。

『こっち来い、こっち来~い……ダメか…夢だったのかなぁ』

何度か動かそうとしてみたが微動だにしないグラスに諦めかけた。が、あの時確かに水を飲んだ、あの水は渇いた喉を潤してくれた。
ミラルカは昨夜の事を思い起こし、もう一度グラスを見つめる。

『集中!グラスは動く!こっちに来い!!』

その途端身体の中で何かが動いた気がした。
無理やり例えるなら、もう一本手が増えた感じだろうか。
その不可視の“手”は、グラスを持ち上げた。そしてミラルカの方へ移動し手の中に納めた。

『おおお、できた!!よし、次は水差しにチャレンジ!』

感覚を覚えたせいか、苦労せずに水差しを手元に引き寄せる事ができた。
手にした水差しからグラスに水を注いで飲み干した後、今度はそれらを元の卓の上に戻してみる。難なく成功したミラルカは室内を見回して次に動かす物を探した。
卓の横にある椅子を動かす。そこそこの重量がある椅子は フワリと浮き上がりクルクル回転している。
すっかり調子に乗ったミラルカは今度は自分の身体を浮かせる事はできないかと考えた。
椅子を卓の横に戻し、その上に自分の身体を持っていく…つもりで身体の中の力を動かす。

「ええっ!?」

あまりの驚きに思わず声を上げてしまった。
ミラルカの身体は浮く事なく、一瞬で椅子の上に座っていた。
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