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第20話
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「それならここにあるぜ」
隼人は自分の持っている店の手提げ袋を揺らしニカッと笑って言った。
「そうか、あんたらが借りたのか。俺を学校に行かせるために来たんだろうが行く気はないよ」
「分かった、行きたくないら仕方ないよな。それより、俺たちとこの映画見ようぜ」
健二は3人を通り過ぎて家に入ろうとしたとこを隼人が引き止める。
「どこで?」
「お前の家で!」
「話しにならならねぇ」
健二は鼻で笑い冷ややかな目で隼人を見た。
「頼むから、帰ってくれ。誰にも会いたくないんだ」
健二は玄関のドアを鍵で開けて声を荒げて一言残して家の中に入った。
「隼人、来んなって言われちまったな」
隆一は唇を突き出しふてくされた表情で言った。
「コンビニで家から出るのを待ち伏せする」
「それは、やりすぎだろう」
洋太郎が隼人に苦言を呈す。
「お前らはこのままでいいのか?こんなとこで引き下がるのか?きっと、教師だって相沢の家に来てこんな対応されてすんなり帰っただろうよ。うざい、暑苦しい、しつこいと思われてもいい。だから、俺は待ち続ける」
「古いやり方だけど俺も待ち続ける」
洋太郎は隼人が何かを1回決断したら頑なに自分を曲げないのを知っている為に付き合う事にした。
「古さが一周回って新鮮さになるかもよ」
隼人は柔和な顔つきで言った。
「隆一、お前はどうする?」
洋太郎は隆一を横目で見て訊ねた。
「俺だけ帰るわけにはいかないだろ」
隆一は照れ臭そうな顔をして空を見上げて言った。
「隆一、お前は意外にも薄情な奴だから帰ると思ったが見直したぞ」
「おい、ひでぇ言い方だな」
「以前、祭りで反社会の人の車に自転車ぶつけて深夜21時30分なのにこれから塾あると丸わかりの嘘ついて俺たち置いて1人で帰ったじゃんかよ」
隼人が隆一の薄情エピソードを掘り返した。
「あれは、気の迷いって奴だよ」
「何落ち込んでんだよ、隆一。俺たち、あの件に関して全く気にしてないから」
隼人はまさかこの話で隆一が気分を悪くするとは思わず慌てて慰めた。
「俺は、未だにお前を許してねぇぞ」
洋太郎は冗談ぽくまた隆一の傷口を抉ろうとする。
「おい、蒸し返すなよ洋太郎」
隼人は苦笑いを浮かべて言った。
「大丈夫、大丈夫。それで、何処で待つん?」
隆一はさっきまで落ち込んでいた顔つきからケロっとした様子で隼人に訊ねる。
「切り替えや、んっと、そこのコンビニで待とう」
「でもよ、今日もう1度あの家からまた外に出てくるかな?」
洋太郎は顎に親指と人差し指をつけて指で顎の先端を擦り小難しい顔をして言った。
「運任せでいいよ。会えたらラッキーってこと。まずは、立ち読みで時間を潰そう」
3人は30分ぐらいコンビニで立ち読みをしてると強面の店長らしき人が3人に買わないら出てけと強い口調で怒鳴り声を上げた。3人はすんなり言われた通りに外を出てコンビニの前で談笑しながら相沢が出てくるのを待った。
「隼人は坂川由里香と今いい感じなんだろ?」
「どうなんだろな、俺といる時の彼女は本来の彼女じゃない気がして少し居心地が悪いんだよな」
「それは、好きな証拠だろ。好きな奴の前では好かれようと自分を偽るんだよ」
「うーん、難しいな。なら、俺は坂川の事恋愛対象として好きじゃないな」
「お前には坂川さんはもったいねぇよ、なぁ隆一」
「本当だよ、隼人にはもったいねぇ。隼人を諦めて俺を好きになればいいのにな」
「そうなったら、お前をボコボコにしてクレーンで吊るして海に何度も何度も沈める」
「ソナチネかよ」
隼人は映画"ソナチネ"の劇中のワンシーンを引用した洋太郎にすかさずツッコミを入れた。
1時間ぐらい駄弁ってると雨が降り始め洋太郎と隆一は狼狽する。
「隼人、雨は予想外だよ。さすがに帰ろうぜ」
「お前らは、風邪引くし帰っていいぞ。俺は待ち続ける」
隼人だけ平静さを失わず真っ直ぐな目で相沢の家を見た。
隼人は自分の持っている店の手提げ袋を揺らしニカッと笑って言った。
「そうか、あんたらが借りたのか。俺を学校に行かせるために来たんだろうが行く気はないよ」
「分かった、行きたくないら仕方ないよな。それより、俺たちとこの映画見ようぜ」
健二は3人を通り過ぎて家に入ろうとしたとこを隼人が引き止める。
「どこで?」
「お前の家で!」
「話しにならならねぇ」
健二は鼻で笑い冷ややかな目で隼人を見た。
「頼むから、帰ってくれ。誰にも会いたくないんだ」
健二は玄関のドアを鍵で開けて声を荒げて一言残して家の中に入った。
「隼人、来んなって言われちまったな」
隆一は唇を突き出しふてくされた表情で言った。
「コンビニで家から出るのを待ち伏せする」
「それは、やりすぎだろう」
洋太郎が隼人に苦言を呈す。
「お前らはこのままでいいのか?こんなとこで引き下がるのか?きっと、教師だって相沢の家に来てこんな対応されてすんなり帰っただろうよ。うざい、暑苦しい、しつこいと思われてもいい。だから、俺は待ち続ける」
「古いやり方だけど俺も待ち続ける」
洋太郎は隼人が何かを1回決断したら頑なに自分を曲げないのを知っている為に付き合う事にした。
「古さが一周回って新鮮さになるかもよ」
隼人は柔和な顔つきで言った。
「隆一、お前はどうする?」
洋太郎は隆一を横目で見て訊ねた。
「俺だけ帰るわけにはいかないだろ」
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「隆一、お前は意外にも薄情な奴だから帰ると思ったが見直したぞ」
「おい、ひでぇ言い方だな」
「以前、祭りで反社会の人の車に自転車ぶつけて深夜21時30分なのにこれから塾あると丸わかりの嘘ついて俺たち置いて1人で帰ったじゃんかよ」
隼人が隆一の薄情エピソードを掘り返した。
「あれは、気の迷いって奴だよ」
「何落ち込んでんだよ、隆一。俺たち、あの件に関して全く気にしてないから」
隼人はまさかこの話で隆一が気分を悪くするとは思わず慌てて慰めた。
「俺は、未だにお前を許してねぇぞ」
洋太郎は冗談ぽくまた隆一の傷口を抉ろうとする。
「おい、蒸し返すなよ洋太郎」
隼人は苦笑いを浮かべて言った。
「大丈夫、大丈夫。それで、何処で待つん?」
隆一はさっきまで落ち込んでいた顔つきからケロっとした様子で隼人に訊ねる。
「切り替えや、んっと、そこのコンビニで待とう」
「でもよ、今日もう1度あの家からまた外に出てくるかな?」
洋太郎は顎に親指と人差し指をつけて指で顎の先端を擦り小難しい顔をして言った。
「運任せでいいよ。会えたらラッキーってこと。まずは、立ち読みで時間を潰そう」
3人は30分ぐらいコンビニで立ち読みをしてると強面の店長らしき人が3人に買わないら出てけと強い口調で怒鳴り声を上げた。3人はすんなり言われた通りに外を出てコンビニの前で談笑しながら相沢が出てくるのを待った。
「隼人は坂川由里香と今いい感じなんだろ?」
「どうなんだろな、俺といる時の彼女は本来の彼女じゃない気がして少し居心地が悪いんだよな」
「それは、好きな証拠だろ。好きな奴の前では好かれようと自分を偽るんだよ」
「うーん、難しいな。なら、俺は坂川の事恋愛対象として好きじゃないな」
「お前には坂川さんはもったいねぇよ、なぁ隆一」
「本当だよ、隼人にはもったいねぇ。隼人を諦めて俺を好きになればいいのにな」
「そうなったら、お前をボコボコにしてクレーンで吊るして海に何度も何度も沈める」
「ソナチネかよ」
隼人は映画"ソナチネ"の劇中のワンシーンを引用した洋太郎にすかさずツッコミを入れた。
1時間ぐらい駄弁ってると雨が降り始め洋太郎と隆一は狼狽する。
「隼人、雨は予想外だよ。さすがに帰ろうぜ」
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