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4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を——〜
86話「崩壊の光5」
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レイジ がダンジョンに帰還してから三日が経った。そう、運命の日が足早にやって来ていた。
「⋯⋯」
ダンジョン最下層から一つ上『暗黒』の階層の円形広場。そこにはお馴染みの顔ぶれが揃っていた。
二つの剣を腰に帯刀しジッとその時を待つ レイジ。
片方には愛刀である、斧の刃を並べた形状の蛇腹の剣——妖刀。
もう片方には一度しか戦闘で使わなかったが思入れ深い直剣の蛇腹の剣。
せっかく買ったのだから有効活用しようと帰還してからの約二日である程度使えるように体得した結果である。
そして、レイジ の隣に位置するのは ミサキ。
普段と変わらないその無表情の顔つきも何処か不安と興奮を混ぜ合わせたように見えなくもない。
獲物のククリナイフは以前としてどこから取り出しているのかわからないように持っている⋯⋯と思う。実際、両手両腰にはその目立つ獲物が無いがいつの間にか握られているのはおなじみのため誰も気に留めない。
ミサキ と逆側に位置するのは パンドラ。
凛とした立ち姿は王女の貫禄を兼ね備えた戦乙女のようだ。
その表情は真剣でどこか勝ち誇った様子が垣間見えるような気もするが気のせいであろう。
最後に後ろに控えるのは エイナ と ハクレイ の二人。
ブスッとした不満タラタラの表情は一体何を言いたいのか⋯⋯言いたいことが多すぎて検討もつかない。
きっと何かあったのだろう、レイジ はそう思い聞く事を辞めた。と言うか、聞くと面倒そうだから聞きたくない、のが本音だった。
「⋯⋯なぁ」
「はい、どうか致しましたか?」
沈黙を貫き、ラスボスの様に待っていることが耐えきれなくなった レイジ が口を開いた。
「俺は確かに三日後に勇者が攻めてくるだろう、って言ったけどさ⋯⋯」
「はい」
「⋯⋯ん」
「ここで待つ意味ってあるのか?」
RPGゲームのラスボスさながらの、いつ誰がきても問題ないような待ち構え方にレイジは疑問しかなかった。
「いや、侵入者を感知してからでも遅くはないよな?って思ったんだよ」
「「⋯⋯」」
「ダンジョンには一応生まれた魔物はワンサカいるんだよな?」
「はい、いますよ」
「時間稼ぎくらいできるよな?」
「「⋯⋯」」
「別に最下層の方に戻ろうとは言わないが⋯⋯座ってもいいか?」
そう、なぜか強要されたのだ——立って待ち構えましょう、と。
正直意味がわからなかったが言われた時は別にどっちでも良かったがいざ立ってると思った以上に足が痛い。
そんな訳で座る事を提案すると何故かオロオロとする パンドラ と微妙な表情をしている様に感じる ミサキ。逆に、ほらやっぱり、と言わんばかりに得意顔になる ハクレイ と エイナ。
(コイツらは一体何がしたいんだ⋯⋯?)
「え、えっと⋯⋯」
「取り敢えず座るぞ」
「⋯⋯はい」
「やっぱお兄さんは分かってますっすね」
「さすがお兄様ですぅ」
レイジ の後に続き少女達は腰を下ろす。
そのタイミングで ハクレイ は レイジ を褒め、エイナ は レイジ の膝の上に滑り込んだ。
「あ、エイナ様! 本日は私の方が順位が上なのですよ!」
「いいではないですかぁ」
「そうっす! 偶々じゃんけんで勝っただけじゃないっすか」
「か、勝ちは勝ちですわ!」
「⋯⋯そう⋯⋯エイナ、は⋯⋯どくべき」
「ミサキ も技能でズルしただけではありませんかぁ」
「⋯⋯かてば、かんぐん⋯⋯はいしゃは⋯⋯だまって⋯⋯たいじょう⋯⋯」
「ムムム、言わせておけばぁ!」
このしょうもない出来事の裏側が垣間見える少女達の言い争い。あまりの緊張感の薄さにレイジも思考停止になりかける。
「我慢なりませんわぁ! こうなったら直接ですぅ!」
「⋯⋯ん⋯⋯ばっちこい⋯⋯たたきすぶす⋯⋯」
「自分だってお兄さんの膝の上乗ってみたんっすよ!」
「私の方が先ですわ!」
関わりたくなかったレイジだが、流石に最終決戦とも言える勇者との戦いの前で自滅するのは見過ごせなかった。
「お前らいい加減に——ッ!」
重い腰を上げるように、少女達の仲裁に入ろうとするが——
「あ、貴方様⋯⋯?」
「⋯⋯ますたー?」
「体調が優れないのですかお兄様ぁ?」
「大丈夫っすかお兄さん!」
今まで何度となく感じた違和感。
いつの日かそれは慣れてしまい今ではちょっとした合図ほどにまで嫌悪感は緩和されていた——しかし、今回は違う。
「⋯⋯うっ!」
「貴方様っ!」
「お兄さんっ!」
かつて無い違和感。
想像以上の嫌悪感。
湧き出てる憎悪感。
黒い感情が連鎖的に湧き出てくる不思議な感覚。そして、レイジ は咄嗟の判断で半透明の画面——ダンジョンの全体図を開いた。
「一、二、三、四⋯⋯なんだよこれはっ!」
「ど、どうかなさったのですか!?」
「侵入者が——」
画面に映るのは侵入者を示す赤い点。
最初は少数であったのに次々に増える。瞬きの間に赤い点は目で追える数を超え、散らばり、そして——
「もうこの階層に来てやがるっ!?」
レイジ達がいる『暗黒』階層入り口。そこには既に複数の侵入者がやって来ていた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
ー冒険者ギルド仮施設前ー
簡素な民宿の様な雰囲気と造形をした一軒の建物の前に複数人の影があった。そして、その人物達はある現象を視認し、立ち上がって。
小規模の竜巻。
風の渦が作り出すソレは周囲の草木を巻き込み空の彼方へ吹き飛ばし、進み、また別の被害を生み出す。移動する速度もまた以上な速度であり真っ直ぐ此方へ向かっている。
そして、竜巻の発信源であり発生させている張本人——勇者が姿を見せた。
「よお!」
勇者の姿が目視できると一人の大男——ギルドマスターが手を軽くあげた。規格外の視力を持つ勇者はその姿を捉え、足を止めた。
「久しぶりだな。何でこんなところにいんだアレックス?」
「⋯⋯クロロス・ゼロギアス。何故お前がこんな所にいる?」
「おいおい、質問してるのはコッチだぜ?」
「⋯⋯どうせ分かってるんだろ?」
「まあな」
一切変わらない表情。しかし、語尾からは怒りの感情が滲み出ている。
勇者と謳われる化物の怒りを前に平然としていられる一般人はいない。当然、仮施設にいた職員は避難済みである。
「娘を殺された。その仇討ちだ」
「⋯⋯やっぱりか」
「ここにダンジョンが一つあるはずだ。退け」
「あー、その前に話をしねえか?」
「退け、と言ってるんだが⋯⋯ 邪魔をするなら斬るぞ」
勇者——アレックス は眉間のシワを深くし、片手を剣の柄に掛けた。その雰囲気から察するに返答次第では容赦なく切りかかってくるだろう。
「待て待て、別にお前が行くのを止めるんじゃねえよ」
「⋯⋯なに?」
「コイツらを連れてけって事だよ」
そう言ってギルドマスター——クロロス ・ゼロギアスは手招きをした。そして、クロロスに呼ばれるように強者達が集まる。
どこか見覚えのある面々はダンジョンマスターが街に現れた時に、取り逃すという苦い経験をした者達だ。
「コイツらはA級とS級の ボールス だ。ボールス のことは聞いたことくらいはあるだろ?」
「ああ、随分と頭が回るらしいな」
「いやぁ、それほどでも」
「そんで、こっちが騎士団の副団長と隊長達だ」
「うむ、よろしく頼むよ勇者殿」
紹介されたボールスは照れながら頬を掻き、副団長と隊長達は見本の様なお辞儀をした。
「連れてけ。足手まといにはならねえはずだ」
「何故こんなことをする?」
「あー、それはだな⋯⋯あのダンジョンマスターが都市に来たんだわ。大暴れした収拾をつけるためには、キッチリ殺す必要があるわけなんだよ」
「⋯⋯なるほど、わかった。なら先を急ぐぞ」
「あっ! あと一つ!」
走りだそとした アレックス を間一髪のところで肩を掴みその足を止めさせた。出鼻をくじかれたアレックスは恨めしそうな目で睨むが、クロロスは神妙な顔で続けた。
「アイツが⋯⋯ゲッケイの野郎が生きてるかもしれねえ」
「——ッ!?」
「⋯⋯気をつけろよ」
「⋯⋯ああ」
クロロスの口から出たある人物の名前。アレックスは目を見開き、深く頷いた。
伝えることを全て伝えたクロロスは、肩から手を離すとアレックスはその豪脚で瞬く間に遠く、小さくなっていった。
「⋯⋯ゲッケイ」
ただ一人、残った クロロス は今は義足となってしまった右足を撫でながら アレックス達の背中を見送った。
「⋯⋯」
ダンジョン最下層から一つ上『暗黒』の階層の円形広場。そこにはお馴染みの顔ぶれが揃っていた。
二つの剣を腰に帯刀しジッとその時を待つ レイジ。
片方には愛刀である、斧の刃を並べた形状の蛇腹の剣——妖刀。
もう片方には一度しか戦闘で使わなかったが思入れ深い直剣の蛇腹の剣。
せっかく買ったのだから有効活用しようと帰還してからの約二日である程度使えるように体得した結果である。
そして、レイジ の隣に位置するのは ミサキ。
普段と変わらないその無表情の顔つきも何処か不安と興奮を混ぜ合わせたように見えなくもない。
獲物のククリナイフは以前としてどこから取り出しているのかわからないように持っている⋯⋯と思う。実際、両手両腰にはその目立つ獲物が無いがいつの間にか握られているのはおなじみのため誰も気に留めない。
ミサキ と逆側に位置するのは パンドラ。
凛とした立ち姿は王女の貫禄を兼ね備えた戦乙女のようだ。
その表情は真剣でどこか勝ち誇った様子が垣間見えるような気もするが気のせいであろう。
最後に後ろに控えるのは エイナ と ハクレイ の二人。
ブスッとした不満タラタラの表情は一体何を言いたいのか⋯⋯言いたいことが多すぎて検討もつかない。
きっと何かあったのだろう、レイジ はそう思い聞く事を辞めた。と言うか、聞くと面倒そうだから聞きたくない、のが本音だった。
「⋯⋯なぁ」
「はい、どうか致しましたか?」
沈黙を貫き、ラスボスの様に待っていることが耐えきれなくなった レイジ が口を開いた。
「俺は確かに三日後に勇者が攻めてくるだろう、って言ったけどさ⋯⋯」
「はい」
「⋯⋯ん」
「ここで待つ意味ってあるのか?」
RPGゲームのラスボスさながらの、いつ誰がきても問題ないような待ち構え方にレイジは疑問しかなかった。
「いや、侵入者を感知してからでも遅くはないよな?って思ったんだよ」
「「⋯⋯」」
「ダンジョンには一応生まれた魔物はワンサカいるんだよな?」
「はい、いますよ」
「時間稼ぎくらいできるよな?」
「「⋯⋯」」
「別に最下層の方に戻ろうとは言わないが⋯⋯座ってもいいか?」
そう、なぜか強要されたのだ——立って待ち構えましょう、と。
正直意味がわからなかったが言われた時は別にどっちでも良かったがいざ立ってると思った以上に足が痛い。
そんな訳で座る事を提案すると何故かオロオロとする パンドラ と微妙な表情をしている様に感じる ミサキ。逆に、ほらやっぱり、と言わんばかりに得意顔になる ハクレイ と エイナ。
(コイツらは一体何がしたいんだ⋯⋯?)
「え、えっと⋯⋯」
「取り敢えず座るぞ」
「⋯⋯はい」
「やっぱお兄さんは分かってますっすね」
「さすがお兄様ですぅ」
レイジ の後に続き少女達は腰を下ろす。
そのタイミングで ハクレイ は レイジ を褒め、エイナ は レイジ の膝の上に滑り込んだ。
「あ、エイナ様! 本日は私の方が順位が上なのですよ!」
「いいではないですかぁ」
「そうっす! 偶々じゃんけんで勝っただけじゃないっすか」
「か、勝ちは勝ちですわ!」
「⋯⋯そう⋯⋯エイナ、は⋯⋯どくべき」
「ミサキ も技能でズルしただけではありませんかぁ」
「⋯⋯かてば、かんぐん⋯⋯はいしゃは⋯⋯だまって⋯⋯たいじょう⋯⋯」
「ムムム、言わせておけばぁ!」
このしょうもない出来事の裏側が垣間見える少女達の言い争い。あまりの緊張感の薄さにレイジも思考停止になりかける。
「我慢なりませんわぁ! こうなったら直接ですぅ!」
「⋯⋯ん⋯⋯ばっちこい⋯⋯たたきすぶす⋯⋯」
「自分だってお兄さんの膝の上乗ってみたんっすよ!」
「私の方が先ですわ!」
関わりたくなかったレイジだが、流石に最終決戦とも言える勇者との戦いの前で自滅するのは見過ごせなかった。
「お前らいい加減に——ッ!」
重い腰を上げるように、少女達の仲裁に入ろうとするが——
「あ、貴方様⋯⋯?」
「⋯⋯ますたー?」
「体調が優れないのですかお兄様ぁ?」
「大丈夫っすかお兄さん!」
今まで何度となく感じた違和感。
いつの日かそれは慣れてしまい今ではちょっとした合図ほどにまで嫌悪感は緩和されていた——しかし、今回は違う。
「⋯⋯うっ!」
「貴方様っ!」
「お兄さんっ!」
かつて無い違和感。
想像以上の嫌悪感。
湧き出てる憎悪感。
黒い感情が連鎖的に湧き出てくる不思議な感覚。そして、レイジ は咄嗟の判断で半透明の画面——ダンジョンの全体図を開いた。
「一、二、三、四⋯⋯なんだよこれはっ!」
「ど、どうかなさったのですか!?」
「侵入者が——」
画面に映るのは侵入者を示す赤い点。
最初は少数であったのに次々に増える。瞬きの間に赤い点は目で追える数を超え、散らばり、そして——
「もうこの階層に来てやがるっ!?」
レイジ達がいる『暗黒』階層入り口。そこには既に複数の侵入者がやって来ていた。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
ー冒険者ギルド仮施設前ー
簡素な民宿の様な雰囲気と造形をした一軒の建物の前に複数人の影があった。そして、その人物達はある現象を視認し、立ち上がって。
小規模の竜巻。
風の渦が作り出すソレは周囲の草木を巻き込み空の彼方へ吹き飛ばし、進み、また別の被害を生み出す。移動する速度もまた以上な速度であり真っ直ぐ此方へ向かっている。
そして、竜巻の発信源であり発生させている張本人——勇者が姿を見せた。
「よお!」
勇者の姿が目視できると一人の大男——ギルドマスターが手を軽くあげた。規格外の視力を持つ勇者はその姿を捉え、足を止めた。
「久しぶりだな。何でこんなところにいんだアレックス?」
「⋯⋯クロロス・ゼロギアス。何故お前がこんな所にいる?」
「おいおい、質問してるのはコッチだぜ?」
「⋯⋯どうせ分かってるんだろ?」
「まあな」
一切変わらない表情。しかし、語尾からは怒りの感情が滲み出ている。
勇者と謳われる化物の怒りを前に平然としていられる一般人はいない。当然、仮施設にいた職員は避難済みである。
「娘を殺された。その仇討ちだ」
「⋯⋯やっぱりか」
「ここにダンジョンが一つあるはずだ。退け」
「あー、その前に話をしねえか?」
「退け、と言ってるんだが⋯⋯ 邪魔をするなら斬るぞ」
勇者——アレックス は眉間のシワを深くし、片手を剣の柄に掛けた。その雰囲気から察するに返答次第では容赦なく切りかかってくるだろう。
「待て待て、別にお前が行くのを止めるんじゃねえよ」
「⋯⋯なに?」
「コイツらを連れてけって事だよ」
そう言ってギルドマスター——クロロス ・ゼロギアスは手招きをした。そして、クロロスに呼ばれるように強者達が集まる。
どこか見覚えのある面々はダンジョンマスターが街に現れた時に、取り逃すという苦い経験をした者達だ。
「コイツらはA級とS級の ボールス だ。ボールス のことは聞いたことくらいはあるだろ?」
「ああ、随分と頭が回るらしいな」
「いやぁ、それほどでも」
「そんで、こっちが騎士団の副団長と隊長達だ」
「うむ、よろしく頼むよ勇者殿」
紹介されたボールスは照れながら頬を掻き、副団長と隊長達は見本の様なお辞儀をした。
「連れてけ。足手まといにはならねえはずだ」
「何故こんなことをする?」
「あー、それはだな⋯⋯あのダンジョンマスターが都市に来たんだわ。大暴れした収拾をつけるためには、キッチリ殺す必要があるわけなんだよ」
「⋯⋯なるほど、わかった。なら先を急ぐぞ」
「あっ! あと一つ!」
走りだそとした アレックス を間一髪のところで肩を掴みその足を止めさせた。出鼻をくじかれたアレックスは恨めしそうな目で睨むが、クロロスは神妙な顔で続けた。
「アイツが⋯⋯ゲッケイの野郎が生きてるかもしれねえ」
「——ッ!?」
「⋯⋯気をつけろよ」
「⋯⋯ああ」
クロロスの口から出たある人物の名前。アレックスは目を見開き、深く頷いた。
伝えることを全て伝えたクロロスは、肩から手を離すとアレックスはその豪脚で瞬く間に遠く、小さくなっていった。
「⋯⋯ゲッケイ」
ただ一人、残った クロロス は今は義足となってしまった右足を撫でながら アレックス達の背中を見送った。
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