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3章〜生まれ落ちたシンイ〜
66話「平穏は脅威から生まれ恐怖にて消える2」
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マーダ 達の襲撃から早半年、レイジ 達は平穏な日々を迎えていた。
「ここの所めっきりに人が来ないっすね」
暇なのか、飽きたのか ハクレイ が 汗まみれの レイジ の隣に座り呟いた。
「侵入者が来ないのは⋯⋯いいことだろう⋯⋯それよりも⋯⋯暇なら⋯⋯お前も鍛えろ」
レイジ が汗を流しているのは パンドラ との模擬戦の産物だ。
最近では妖刀の意志無しでも打ち合えるくらいまでに成長している。
「いやっすよ! 残ってるの ミサキ先輩だけじゃないっすか! 自分が死んじゃうじゃないっすか!」
「⋯⋯」
「貴方様、そろそろ休憩にしませんか?」
軽口を叩き場を逃れようとする ハクレイ に パンドラ が助け舟を出した。
実際、ミサキ だけは誰とも相手にならなかった。
理由は至極単純、速過ぎるのだ。
本人曰く「空気中に小さい粒が見えた」と言っていたために光の速度まで到達するのではないか? というのが レイジ の見解だった。
そして、人間の神経伝達速度は速くて秒速120m。
それは光の300万分の1。明らかに追いつける速度ではない。
そのため、ミサキ は レイジ 達が戦闘訓練をしている時は エイナ の看病、ゼーレの話し相手、ダンジョンの見回りが主な仕事になっていた。
「まぁ、確かにあの一戦の後一人も侵入者が来ないな」
「そうですわね。外で何かあったのでしょうか?」
「いや、多分規制が掛かったんじゃないか?」
「規制ですか?」
「ああ。あの四人⋯⋯一人逃したがそいつが外に伝えたのならアイツらより弱いやつらは当然来ない」
「そうっすね」
「確か、アイツらの中に騎士団の副団長が混じってたからその幅は更に狭くなる。となれば自然と来る人間は減ってくる」
「⋯⋯確かに、あの方達は強かったですね」
「ますたー⋯⋯おちゃ⋯⋯」
レイジ 達が話していると気を利かせてくれたのか ミサキ がお盆を両手に四つのコップを持ってきた。
中には白い液体が入っている。
「お、助かる」
「ありがとうございます、ミサキ様」
「どもっす先輩」
「⋯⋯ん」
「ま、俺からすれば最初の頃が壮絶すぎてビックリなんだけどな」
「あ、それなんだけどね」
話し込んでいる レイジ の膝の上に突如として現れた ゼーレ が口を挟んだ。
「うお!? お前いつの間に!」
「あ、お邪魔してるよお兄ちゃん」
「お邪魔してるよ、じゃねえ。とっとと降りろ」
「えぇー、そんな冷たいー」
ゼーレ は文句を言いながらも レイジ の膝の上から退いた。
その隙を逃さなかったのは ミサキ だった。
ミサキ は ゼーレ が退いた瞬間持ち前の速度で レイジ の膝の上を勝ち取った。
「⋯⋯ん!」
「ああ! ミサキちゃん! そこ! ゼーレ の席なのに!」
「⋯⋯で、最初の頃について何か分かったのか?」
「ちょっとお兄ちゃん! ゼーレ はダメで ミサキちゃんは良いの!?」
「ミサキは⋯⋯何というかお前達の中で一番安心できる⋯⋯多分」
「言葉の最後が弱いけど?」
「一応、最近 ミサキ の称号の中に【守護者】っていうのが出てきてるから⋯⋯多分」
「⋯⋯ますたー」
成長の過程を振り返るために一度行ったステータスの確認で ミサキ の称号に【守護者】が加わっていた。
その理由は——
「このまえ⋯⋯パンドラから⋯⋯はぶらし⋯⋯まもった」
「ミサキ様!?」
「ハクレイの⋯⋯のぞき⋯⋯ぼうがいした⋯⋯」
「先輩!それは秘密にって⋯⋯」
「お前ら⋯⋯」
「だから⋯⋯」
——と、数々の変態どもの妨害を行なっていたからだと思われる。
ここまでは レイジ としては感謝している。だが——
「ますたー、の⋯⋯目、ちょうだい」
その代償がコレだ。
故に、レイジ もただ居る分には一番危なくないが、こと引き換えに関すると一番危ない存在であると認知している。
「あげられるわけないだろ!」
「じゃあ⋯⋯首⋯⋯で、いい」
「死ぬわ!」
「むぅ⋯⋯じゃあ⋯⋯血、でいいや⋯⋯」
「⋯⋯」
レイジ は回答に困った。
これ以上下手に否定してもっと被害が起きそうなものを求められても困る。
かと言って、ここで了承するのもおかしい。
そんなことを考え、巡らせているとそれを是と受け取ったのか ミサキ が行動に出た。
「じゃ⋯⋯いただき、ます⋯⋯」
「あ!」
そう言って ミサキ はどこから取り出したのかククリナイフを一本片手に レイジ の人差し指を僅かに切った。
切った傷口からは少しずつ血が流れてくる。
「⋯⋯ん」
それを ミサキ は美味しそうに舐め始める。
最初はそうして舐めていたが、次第に吸い始め、最後には指を咥えている。
その過程で ミサキ の頬は徐々に朱色に染まり無表情なその顔も次第に恍惚としたものに変わって行った。
「うへぇ⋯⋯血っすか。よく舐めれるっすね先輩」
「ん⋯⋯びみ⋯⋯」
「いつからこいつは吸血鬼になったんだ⋯⋯」
「ほらほらー、ミサキちゃんを頼るからそうなるんだよ? 頼るなら妹の ゼーレ にすればいいのに。ね? ほら、ね?」
ミサキ の行動に明らかな拒否反応を見せる ハクレイ、そして レイジ を煽る ゼーレ。
居た堪れない思いに駆られた レイジ は本題を思い出した。
「で、最初の頃のやつは何が分かったんだ?」
「あ、そうそうそれね⋯⋯」
煽りに、煽り続けた ゼーレ は唐突な真剣ムードに若干遅れた。
「何もわかんない、だね」
「何もわかんない?」
「そ、普通じゃあ見つかっても侵入されるまでに時間が空くから結果的に侵入者がやってくるのはダンジョン開いてから一週間ぐらい後なんだよね」
「それが普通なのか?」
「そだよー。あ、マルコシアス は多分別。アレは多分、魔王が送り込んできたか迷ったかのどっちかかな」
「⋯⋯恐らく、送ってきた可能性があるかもしれません」
「え?」
適当に済ませようとしていた話題だっただけに ゼーレ はギョッとした。ゼーレとしても魔王が配下を送り込むと言うことは相当に意外なのだろう。
「パンドラちゃん、それどういう事?」
「わかりません。ただ、魔王は何かを探していた⋯⋯そんな気がするのです」
「探していた?」
「はい、時折信頼の置ける配下を何処かへ送り出し探させに行かせていました」
「それが今回にぶつかったって事?」
「⋯⋯一応、可能性として考えてください」
「んー、わかったよ」
ゼーレ は何かを思案すると了承の返事をした。
「で、そんなわかんない事ばっか考えても仕方ないし、戦闘訓練ばっかじゃつまんないから⋯⋯新しい階層作ろ?お兄ちゃん!」
恐らくこれが本題だったんだろう、そう レイジ は察した。
「話し相手が ミサキ だけじゃあ詰まんなくなったってとことか?」
「お、よく分かったね! 流石にミサキちゃん一人と半年も話していると持ちネタ少なくなっちゃうんだよ!」
「はぁ」
ゼーレ のどうでもいい理由に拍子抜けするも、実利的な提案であることに変わりはない。
「わかった。とりあえず、仲間になる配下が出るまで階層作るか」
レイジ はその提案を呑み、階層の増築に手を着けることにした。
「ここの所めっきりに人が来ないっすね」
暇なのか、飽きたのか ハクレイ が 汗まみれの レイジ の隣に座り呟いた。
「侵入者が来ないのは⋯⋯いいことだろう⋯⋯それよりも⋯⋯暇なら⋯⋯お前も鍛えろ」
レイジ が汗を流しているのは パンドラ との模擬戦の産物だ。
最近では妖刀の意志無しでも打ち合えるくらいまでに成長している。
「いやっすよ! 残ってるの ミサキ先輩だけじゃないっすか! 自分が死んじゃうじゃないっすか!」
「⋯⋯」
「貴方様、そろそろ休憩にしませんか?」
軽口を叩き場を逃れようとする ハクレイ に パンドラ が助け舟を出した。
実際、ミサキ だけは誰とも相手にならなかった。
理由は至極単純、速過ぎるのだ。
本人曰く「空気中に小さい粒が見えた」と言っていたために光の速度まで到達するのではないか? というのが レイジ の見解だった。
そして、人間の神経伝達速度は速くて秒速120m。
それは光の300万分の1。明らかに追いつける速度ではない。
そのため、ミサキ は レイジ 達が戦闘訓練をしている時は エイナ の看病、ゼーレの話し相手、ダンジョンの見回りが主な仕事になっていた。
「まぁ、確かにあの一戦の後一人も侵入者が来ないな」
「そうですわね。外で何かあったのでしょうか?」
「いや、多分規制が掛かったんじゃないか?」
「規制ですか?」
「ああ。あの四人⋯⋯一人逃したがそいつが外に伝えたのならアイツらより弱いやつらは当然来ない」
「そうっすね」
「確か、アイツらの中に騎士団の副団長が混じってたからその幅は更に狭くなる。となれば自然と来る人間は減ってくる」
「⋯⋯確かに、あの方達は強かったですね」
「ますたー⋯⋯おちゃ⋯⋯」
レイジ 達が話していると気を利かせてくれたのか ミサキ がお盆を両手に四つのコップを持ってきた。
中には白い液体が入っている。
「お、助かる」
「ありがとうございます、ミサキ様」
「どもっす先輩」
「⋯⋯ん」
「ま、俺からすれば最初の頃が壮絶すぎてビックリなんだけどな」
「あ、それなんだけどね」
話し込んでいる レイジ の膝の上に突如として現れた ゼーレ が口を挟んだ。
「うお!? お前いつの間に!」
「あ、お邪魔してるよお兄ちゃん」
「お邪魔してるよ、じゃねえ。とっとと降りろ」
「えぇー、そんな冷たいー」
ゼーレ は文句を言いながらも レイジ の膝の上から退いた。
その隙を逃さなかったのは ミサキ だった。
ミサキ は ゼーレ が退いた瞬間持ち前の速度で レイジ の膝の上を勝ち取った。
「⋯⋯ん!」
「ああ! ミサキちゃん! そこ! ゼーレ の席なのに!」
「⋯⋯で、最初の頃について何か分かったのか?」
「ちょっとお兄ちゃん! ゼーレ はダメで ミサキちゃんは良いの!?」
「ミサキは⋯⋯何というかお前達の中で一番安心できる⋯⋯多分」
「言葉の最後が弱いけど?」
「一応、最近 ミサキ の称号の中に【守護者】っていうのが出てきてるから⋯⋯多分」
「⋯⋯ますたー」
成長の過程を振り返るために一度行ったステータスの確認で ミサキ の称号に【守護者】が加わっていた。
その理由は——
「このまえ⋯⋯パンドラから⋯⋯はぶらし⋯⋯まもった」
「ミサキ様!?」
「ハクレイの⋯⋯のぞき⋯⋯ぼうがいした⋯⋯」
「先輩!それは秘密にって⋯⋯」
「お前ら⋯⋯」
「だから⋯⋯」
——と、数々の変態どもの妨害を行なっていたからだと思われる。
ここまでは レイジ としては感謝している。だが——
「ますたー、の⋯⋯目、ちょうだい」
その代償がコレだ。
故に、レイジ もただ居る分には一番危なくないが、こと引き換えに関すると一番危ない存在であると認知している。
「あげられるわけないだろ!」
「じゃあ⋯⋯首⋯⋯で、いい」
「死ぬわ!」
「むぅ⋯⋯じゃあ⋯⋯血、でいいや⋯⋯」
「⋯⋯」
レイジ は回答に困った。
これ以上下手に否定してもっと被害が起きそうなものを求められても困る。
かと言って、ここで了承するのもおかしい。
そんなことを考え、巡らせているとそれを是と受け取ったのか ミサキ が行動に出た。
「じゃ⋯⋯いただき、ます⋯⋯」
「あ!」
そう言って ミサキ はどこから取り出したのかククリナイフを一本片手に レイジ の人差し指を僅かに切った。
切った傷口からは少しずつ血が流れてくる。
「⋯⋯ん」
それを ミサキ は美味しそうに舐め始める。
最初はそうして舐めていたが、次第に吸い始め、最後には指を咥えている。
その過程で ミサキ の頬は徐々に朱色に染まり無表情なその顔も次第に恍惚としたものに変わって行った。
「うへぇ⋯⋯血っすか。よく舐めれるっすね先輩」
「ん⋯⋯びみ⋯⋯」
「いつからこいつは吸血鬼になったんだ⋯⋯」
「ほらほらー、ミサキちゃんを頼るからそうなるんだよ? 頼るなら妹の ゼーレ にすればいいのに。ね? ほら、ね?」
ミサキ の行動に明らかな拒否反応を見せる ハクレイ、そして レイジ を煽る ゼーレ。
居た堪れない思いに駆られた レイジ は本題を思い出した。
「で、最初の頃のやつは何が分かったんだ?」
「あ、そうそうそれね⋯⋯」
煽りに、煽り続けた ゼーレ は唐突な真剣ムードに若干遅れた。
「何もわかんない、だね」
「何もわかんない?」
「そ、普通じゃあ見つかっても侵入されるまでに時間が空くから結果的に侵入者がやってくるのはダンジョン開いてから一週間ぐらい後なんだよね」
「それが普通なのか?」
「そだよー。あ、マルコシアス は多分別。アレは多分、魔王が送り込んできたか迷ったかのどっちかかな」
「⋯⋯恐らく、送ってきた可能性があるかもしれません」
「え?」
適当に済ませようとしていた話題だっただけに ゼーレ はギョッとした。ゼーレとしても魔王が配下を送り込むと言うことは相当に意外なのだろう。
「パンドラちゃん、それどういう事?」
「わかりません。ただ、魔王は何かを探していた⋯⋯そんな気がするのです」
「探していた?」
「はい、時折信頼の置ける配下を何処かへ送り出し探させに行かせていました」
「それが今回にぶつかったって事?」
「⋯⋯一応、可能性として考えてください」
「んー、わかったよ」
ゼーレ は何かを思案すると了承の返事をした。
「で、そんなわかんない事ばっか考えても仕方ないし、戦闘訓練ばっかじゃつまんないから⋯⋯新しい階層作ろ?お兄ちゃん!」
恐らくこれが本題だったんだろう、そう レイジ は察した。
「話し相手が ミサキ だけじゃあ詰まんなくなったってとことか?」
「お、よく分かったね! 流石にミサキちゃん一人と半年も話していると持ちネタ少なくなっちゃうんだよ!」
「はぁ」
ゼーレ のどうでもいい理由に拍子抜けするも、実利的な提案であることに変わりはない。
「わかった。とりあえず、仲間になる配下が出るまで階層作るか」
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