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第一章:白銀の目覚め
第7話 必殺技
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即席のバリケードを撤去すると、前衛の俺が先導するように物置から出る。リオンの言った通り、近くには蝕はいないらしい。だが、またいつどこから現れるか分かったものではない。チラッとリオンの方を振り返ると、彼女は黙って人差し指で床を指さした。
(やはり下にいるということか……)
俺の予想だとリオンは蝕の大体の位置が分かっている。そして、この商業施設にやってきたのだって、わざと蝕を追ってきた。
つまりは彼女は最初から蝕を倒すつもりでここに来たということだ。だったら是が非でも倒してもらわないと困る。俺はこんな所で死ぬわけにはいかないのだから。
先程蝕と遭遇した2階に降りると、俺はデバイスを構えながら敵の姿を探した。
その姿はすぐに見つかった。
映画館のロビーにあたる広場に、そいつは鎮座していた。全身を黒い靄のようなものに覆われた巨大な獣。その中で一対の赤い瞳が輝いている。
「──なるほど、向こうも待っていたってわけだな」
望むところだ。さっきは不意打ちを受けてしまったが、もう油断はしない。俺は自分の役目を果たすまでだ。
(しかし困ったな……)
リオンに伝えられていた誘導地点は奴の背後にある。リオンのやつがコアを射抜くためには、蝕が背を向けた状態で誘導地点に誘い込まなければならない。気取られないように階段の陰からスナイパーライフルを構えるリオンは遮蔽物の関係で狙撃地点が限られているのだ。
つまりここからだと、蝕の脇なりを通り抜けて背後に回る必要がある。
(俺に出来るか……? いや、やるしかないか……!)
俺が失敗すれば恐らくリオンも無事では済まない。命を預けているのはお互い様なのだ。
全く、今日会ったばかりだってのに、なんでこうも命のやり取りを共有しなきゃいけないんだろうな。
「来いよ。相手になってやる」
俺は蝕に雷電の銃口を向けると、数発『マナ』を放ってみる。プシュッと控えめな音を立てて放たれた二つの光弾は、呆気なく蝕の黒い靄の中に吸い込まれていく。全く効いている様子はない。まあリオンの一撃も効いていなかったのだから、俺の攻撃なんざ豆鉄砲みたいなものだろう。
『グルルルァァァッ!』
しかし、当の蝕は俺の攻撃にご立腹の様子だった。四足で立ち上がるとこちらを威嚇する。
(そう、それでいい)
俺は身を翻して逃げだす。が、別にビビったわけではなく、これは動物の習性を利用しているのだ。だいたいの捕食者は、対象が背を向けると追ってくる性質がある。それが自身よりも弱い存在──つまり捕食対象だった場合は尚更だ。
俺の思惑通り、蝕が追いかけてくる気配がした。やつが地面を蹴り跳躍する。鉄さえも軽々と引き裂く爪を俺の脳天に振り下ろすか、はたまた同じくらい強靭な牙で喉笛を切り裂くか、そんなところだろう。
(──今だ!)
瞬時に前に踏み出した左足で踏ん張り無理やり身体を反転させる。そして右足で思いっきり地面を蹴って身体を投げ出す。──ちょうど、飛び上がった奴の身体の下を通過するように、渾身のスライディングを敢行したというわけだ。
視線の先を蝕の巨軀が通り過ぎていく。ちょうどその時、真っ黒な奴の胴体の腰の辺りに赤黒いものがあることに気づいた。俺は反射的にそこに向けてマナを撃ち放つ。
『ギァァァッ!』
蝕が咆哮した。
立ち上がって様子を見てみると、奴は俺が撃った部分を庇うようにこちらに瞬時に向き直る。
(あそこが『コア』ってことか……)
俺の火力では破壊することはかなわなかったらしいが、これでひとまず蝕の背後に回ることができた。あとは狙撃地点まで奴を誘導するだけだ。幸い、俺の攻撃に気を取られている奴の目には俺の姿しか映っていないだろう。
「さあ来い!」
再び駆け出す。今度は反対側へ。すぐに奴も追ってくる。
直線に逃げてもすぐに追いつかれてしまうので、障害物を利用しながらせいぜい左右に揺さぶりながら逃げてみる。これも功を奏したらしく、奴の攻撃が当たることはなかった。
「これならどうだ!」
再びスライディングの体勢に入りながら、デバイスで壁を撃ってみる。俺が撃ったのは防火扉のスイッチ。防火扉は凄い勢いで閉まり、身をかがめていた俺はその隙間をかいくぐるようにして向こう側に逃れることができた。
「──これで少しは時間稼ぎができ……」
俺の独り言は、ギィィィィィッ! という耳障りな音でかき消された。蝕はこともあろうに鉄製のガッシリした防火扉を紙切れのように引き裂いたのだ。
「……ですよねぇ」
再び逃げようと後ろを振り向いた俺は目を疑った。そこは先程不意打ちを受けた時の戦闘の影響でか、壁が崩れて瓦礫が行く手を塞いでいる。前方には蝕──つまり袋の鼠だ。
リオンに言われた狙撃地点はここら辺のはずなのだが……。
瓦礫の側まで後ずさりして逃げてみたものの、すぐさま目の前に蝕が迫る。絶体絶命というやつだ。
くそっ、やっぱり俺はここで死ぬ器なのだろうか……単独行動をしなければ、リオンについて来なければ……いろいろ後悔はあるが、事ここに及んではもうなにを恨んでも仕方がない。
俺は精一杯の抵抗とばかりにデバイスを奴の目に向けて構えてみる。奴もこちらの状況を理解しているのか、じりじりと詰め寄ってくる。
(リオン……まだか、早くしてくれ……)
この状況を何とかできるのは彼女しかいないだろう。出会ったばかりの彼女にこれほどまでに期待している自分に驚きつつも、俺は審判の時を待った。蝕が俺の命の灯火を消すのが先か、リオンが蝕を仕留めるのが先か……。
ふと、蝕が動きを止めた。赤い瞳で俺を見つめながら、ウゥゥゥと低い声で唸っている。まるで俺に何かを伝えようとしているようだ。
「──なんだ?」
『ウゥゥァァァ……』
なんだろう、その時一瞬だけ、ものすごく懐かしいような感覚を思い出したのだ。生き別れになった家族四人で楽しく過ごしていた記憶が蘇ってくるような。そんな感覚だった。
そうだ、小さい頃俺はこの商業施設に来たことがある。父親と母親と、双子の妹と一緒に。
何をしに来たのか詳しい記憶はないが、俺たち子供は確かこの映画館で映画を見たのだ。そして俺と妹はアイスクリームを買ってもらって、帰りに父親の運転する車で仲良く食べたのだった。
蝕がその前足をゆっくりと上げて俺の方に差し出す。──まるで、俺に「こっちに来て一緒に暮らそう」とでも言いたげなように。
(俺は──俺の家族は──)
幸せな記憶がなぜ今蘇ってきたのか、それは謎だったが、蝕が俺に見せたのだとしたら──反射的に俺は蝕の手を取ろうとした。──こいつは本当に『危険な存在』なのだろうか? そんな疑問すら湧いてきた。
「──ハルト!」
「おい待てリオン!」
「必殺技、『勝利の氷槍』!」
俺の制止に耳を貸さず、リオンは容赦なくデバイスをぶっ放した。先程とは比べ物にならない威力の5本の光線が蝕の身体を串刺しにする。俺はその光で目潰しを食らったようになり、思わず両腕で目を覆ってその場にしゃがみこんでしまった。
そして、恐る恐る目を開けた時には、蝕の姿は跡形もなく消えていた。
「──おい」
「ふぅ……危なかったね」
ひょこひょこと階段から降りてきたリオン。案の定というか彼女はだいぶ上機嫌であり、褒めて欲しいというオーラを全身で表現していた。
褒めないとまた機嫌を損ねるだろう。まあ彼女に助けられたのは事実なのだし……。
「──よくやったな助かった」
「ふふん」
得意げにその薄っぺらい胸を張ったリオンはすぐさま表情を引き締めた。
「そうそう、感慨に浸りたいところだけど急がないと……」
「あぁ、そうだな」
時計を見ると、実習の終了時刻まであと5分だった。あと5分で壁際まで戻らなければならない。急がないと。──この即席の相方に文句を言うのはその後でもいいだろう。先程の不思議な体験、それを分析するのも後回しだ。今はとりあえず2人とも命が助かった、それだけでも十分過ぎる。
(──ん、ちょっと待てよこれは……)
「さぁ、行くよ急いで」
俺は地面に落ちていたモノを拾い上げると、急いでリオンの後を追った。
(やはり下にいるということか……)
俺の予想だとリオンは蝕の大体の位置が分かっている。そして、この商業施設にやってきたのだって、わざと蝕を追ってきた。
つまりは彼女は最初から蝕を倒すつもりでここに来たということだ。だったら是が非でも倒してもらわないと困る。俺はこんな所で死ぬわけにはいかないのだから。
先程蝕と遭遇した2階に降りると、俺はデバイスを構えながら敵の姿を探した。
その姿はすぐに見つかった。
映画館のロビーにあたる広場に、そいつは鎮座していた。全身を黒い靄のようなものに覆われた巨大な獣。その中で一対の赤い瞳が輝いている。
「──なるほど、向こうも待っていたってわけだな」
望むところだ。さっきは不意打ちを受けてしまったが、もう油断はしない。俺は自分の役目を果たすまでだ。
(しかし困ったな……)
リオンに伝えられていた誘導地点は奴の背後にある。リオンのやつがコアを射抜くためには、蝕が背を向けた状態で誘導地点に誘い込まなければならない。気取られないように階段の陰からスナイパーライフルを構えるリオンは遮蔽物の関係で狙撃地点が限られているのだ。
つまりここからだと、蝕の脇なりを通り抜けて背後に回る必要がある。
(俺に出来るか……? いや、やるしかないか……!)
俺が失敗すれば恐らくリオンも無事では済まない。命を預けているのはお互い様なのだ。
全く、今日会ったばかりだってのに、なんでこうも命のやり取りを共有しなきゃいけないんだろうな。
「来いよ。相手になってやる」
俺は蝕に雷電の銃口を向けると、数発『マナ』を放ってみる。プシュッと控えめな音を立てて放たれた二つの光弾は、呆気なく蝕の黒い靄の中に吸い込まれていく。全く効いている様子はない。まあリオンの一撃も効いていなかったのだから、俺の攻撃なんざ豆鉄砲みたいなものだろう。
『グルルルァァァッ!』
しかし、当の蝕は俺の攻撃にご立腹の様子だった。四足で立ち上がるとこちらを威嚇する。
(そう、それでいい)
俺は身を翻して逃げだす。が、別にビビったわけではなく、これは動物の習性を利用しているのだ。だいたいの捕食者は、対象が背を向けると追ってくる性質がある。それが自身よりも弱い存在──つまり捕食対象だった場合は尚更だ。
俺の思惑通り、蝕が追いかけてくる気配がした。やつが地面を蹴り跳躍する。鉄さえも軽々と引き裂く爪を俺の脳天に振り下ろすか、はたまた同じくらい強靭な牙で喉笛を切り裂くか、そんなところだろう。
(──今だ!)
瞬時に前に踏み出した左足で踏ん張り無理やり身体を反転させる。そして右足で思いっきり地面を蹴って身体を投げ出す。──ちょうど、飛び上がった奴の身体の下を通過するように、渾身のスライディングを敢行したというわけだ。
視線の先を蝕の巨軀が通り過ぎていく。ちょうどその時、真っ黒な奴の胴体の腰の辺りに赤黒いものがあることに気づいた。俺は反射的にそこに向けてマナを撃ち放つ。
『ギァァァッ!』
蝕が咆哮した。
立ち上がって様子を見てみると、奴は俺が撃った部分を庇うようにこちらに瞬時に向き直る。
(あそこが『コア』ってことか……)
俺の火力では破壊することはかなわなかったらしいが、これでひとまず蝕の背後に回ることができた。あとは狙撃地点まで奴を誘導するだけだ。幸い、俺の攻撃に気を取られている奴の目には俺の姿しか映っていないだろう。
「さあ来い!」
再び駆け出す。今度は反対側へ。すぐに奴も追ってくる。
直線に逃げてもすぐに追いつかれてしまうので、障害物を利用しながらせいぜい左右に揺さぶりながら逃げてみる。これも功を奏したらしく、奴の攻撃が当たることはなかった。
「これならどうだ!」
再びスライディングの体勢に入りながら、デバイスで壁を撃ってみる。俺が撃ったのは防火扉のスイッチ。防火扉は凄い勢いで閉まり、身をかがめていた俺はその隙間をかいくぐるようにして向こう側に逃れることができた。
「──これで少しは時間稼ぎができ……」
俺の独り言は、ギィィィィィッ! という耳障りな音でかき消された。蝕はこともあろうに鉄製のガッシリした防火扉を紙切れのように引き裂いたのだ。
「……ですよねぇ」
再び逃げようと後ろを振り向いた俺は目を疑った。そこは先程不意打ちを受けた時の戦闘の影響でか、壁が崩れて瓦礫が行く手を塞いでいる。前方には蝕──つまり袋の鼠だ。
リオンに言われた狙撃地点はここら辺のはずなのだが……。
瓦礫の側まで後ずさりして逃げてみたものの、すぐさま目の前に蝕が迫る。絶体絶命というやつだ。
くそっ、やっぱり俺はここで死ぬ器なのだろうか……単独行動をしなければ、リオンについて来なければ……いろいろ後悔はあるが、事ここに及んではもうなにを恨んでも仕方がない。
俺は精一杯の抵抗とばかりにデバイスを奴の目に向けて構えてみる。奴もこちらの状況を理解しているのか、じりじりと詰め寄ってくる。
(リオン……まだか、早くしてくれ……)
この状況を何とかできるのは彼女しかいないだろう。出会ったばかりの彼女にこれほどまでに期待している自分に驚きつつも、俺は審判の時を待った。蝕が俺の命の灯火を消すのが先か、リオンが蝕を仕留めるのが先か……。
ふと、蝕が動きを止めた。赤い瞳で俺を見つめながら、ウゥゥゥと低い声で唸っている。まるで俺に何かを伝えようとしているようだ。
「──なんだ?」
『ウゥゥァァァ……』
なんだろう、その時一瞬だけ、ものすごく懐かしいような感覚を思い出したのだ。生き別れになった家族四人で楽しく過ごしていた記憶が蘇ってくるような。そんな感覚だった。
そうだ、小さい頃俺はこの商業施設に来たことがある。父親と母親と、双子の妹と一緒に。
何をしに来たのか詳しい記憶はないが、俺たち子供は確かこの映画館で映画を見たのだ。そして俺と妹はアイスクリームを買ってもらって、帰りに父親の運転する車で仲良く食べたのだった。
蝕がその前足をゆっくりと上げて俺の方に差し出す。──まるで、俺に「こっちに来て一緒に暮らそう」とでも言いたげなように。
(俺は──俺の家族は──)
幸せな記憶がなぜ今蘇ってきたのか、それは謎だったが、蝕が俺に見せたのだとしたら──反射的に俺は蝕の手を取ろうとした。──こいつは本当に『危険な存在』なのだろうか? そんな疑問すら湧いてきた。
「──ハルト!」
「おい待てリオン!」
「必殺技、『勝利の氷槍』!」
俺の制止に耳を貸さず、リオンは容赦なくデバイスをぶっ放した。先程とは比べ物にならない威力の5本の光線が蝕の身体を串刺しにする。俺はその光で目潰しを食らったようになり、思わず両腕で目を覆ってその場にしゃがみこんでしまった。
そして、恐る恐る目を開けた時には、蝕の姿は跡形もなく消えていた。
「──おい」
「ふぅ……危なかったね」
ひょこひょこと階段から降りてきたリオン。案の定というか彼女はだいぶ上機嫌であり、褒めて欲しいというオーラを全身で表現していた。
褒めないとまた機嫌を損ねるだろう。まあ彼女に助けられたのは事実なのだし……。
「──よくやったな助かった」
「ふふん」
得意げにその薄っぺらい胸を張ったリオンはすぐさま表情を引き締めた。
「そうそう、感慨に浸りたいところだけど急がないと……」
「あぁ、そうだな」
時計を見ると、実習の終了時刻まであと5分だった。あと5分で壁際まで戻らなければならない。急がないと。──この即席の相方に文句を言うのはその後でもいいだろう。先程の不思議な体験、それを分析するのも後回しだ。今はとりあえず2人とも命が助かった、それだけでも十分過ぎる。
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