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第2章 新婚生活は割と平和? なんだか胸がむずむずします。

第11話

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「燎さんにだったら、なにされてもいいからっ……!」

 勢いで口にした言葉。後になって、意味を理解して、顔が熱くなっていく。

 ……なにをされてもいいって、なんていうか、その。

(確かに、誘惑しているけれど)

 でも、言葉にすると生々しくて。俯いてしまった私の側に、燎さんが戻ってきてくださった。

「……そういうことは、言うな」

 彼が端的にそう注意してくれる。もしかして、呆れられた? 軽い女だって、思われた?

 一抹の不安を抱く私を他所に、燎さんが私の肩を押してベッドの上に押し倒してくる。目の奥を揺らして、燎さんを見つめる。

「そういうことを言うと、止まれなくなる」
「……止まらなくて、いい、です」

 視線を逸らして、燎さんの背中に腕を回す。恐る恐る回した腕に、力を込めて彼の身体を引き寄せた。

「その、あれは、私の本音……です、から」

 本音じゃなかったら、あんな言葉咄嗟に口から出てこない。

 そういう意味を込めて、彼を見つめる。彼が、息を呑んだのがわかった。

「約束しろ。……俺以外には、そんなこと言うな」

 燎さんがそれだけを言って、私の身体に手を這わせる。びくりとして硬くなった私の身体を宥めるように、唇に触れるだけの口づけを施してくれた。

 その唇の感覚に、頭がくらくらとする。

「い、わない……」

 ほわっとする頭のまま、私は自然とそんな言葉を口にした。

「燎さんにしか、言わない……」

 それは、紛れもない本音だ。

 そもそも、私はこんなこと簡単に口にできるような女じゃない。恋愛経験はないし、自分の気持ちさえはっきりとわからない。

「わた、しっ……!」

 自分の気持ちを伝えようとしたとき、燎さんの手が私の腰を掴んだ。その手の力強さに、身体が反応したように跳ねる。

「すみれは、人を煽るのが本当にうまい」

 それは、褒められているのか、貶されているのか。

「……褒め、てくださっています?」

 ぼんやりとする頭で彼を見つめて、そう問いかける。燎さんは、「褒めてる。けど、貶してもいる」と意味の分からない言葉を口にされた。

「煽るのも、俺だけにしてくれ」

 まるで懇願するような言葉に、自然と首を縦に振る。

 そうすれば、燎さんが満足そうに頷いてくださった。そのまま、彼の手がもう一度私の身体を撫でる。

 緊張をほぐすかのように優しく撫でられて、少しずつ気持ちが落ち着いていく。

「……身体、熱いか?」

 優しくそう問いかけられて、ためらいがちに首を縦に振る。

「あ、と、お腹の奥、きゅんきゅんしてる……」

 若干上目遣いになりつつそう告げれば、彼がもう片方の手で額を押さえたのがわかった。……これ、伝えちゃダメなことだったのかもしれない。今更、そう思う。

「いいか、すみれ。……そういうことは、簡単に口にすることじゃない」
「……はい」

 燎さんの注意は、きちんと肝に銘じておこう。

 そう思っていた瞬間、燎さんの手が私の胸のふくらみを包み込んだ。

「ぁ、ぁ」

 強弱をつけて、やわやわと揉みしだかれる。一度は少し引いた熱が、またじわっと身体の中に戻ってくる。

 身体の芯が熱くなって、お腹の奥がきゅんきゅんと疼き始める。

「んぁ、あっ」
「ここが、気持ちいいんだよな」

 燎さんの指が、私の乳首に触れて、そのままぎゅっとつまんだ。ぴりりとした快感が身体中に伝わった。

「ぁっ、そ、こ……!」
「気持ちいいんだな?」

 そう問いかけられて、ぶんぶんと首を縦に振る。

 まるで、自分の身体が自分のものじゃないみたいだった。それほどまでに乱れて、おかしくなりそうなほどに身体の芯が疼く。

「うぁっ」

 うごめくような声も漏れて、脚をこすり合わせた。じわっとなにかが溢れ出てくるのが、自分でもわかる。

 ……おかしくなりそうなほどに、心地よかった。
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