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第一章・十階層編

第一話・ミケさんって可愛いよね?

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ギルドの中に入ると誰もいなかった。

「おかしいな……誰もいない?」

俺はギルドの奥にあるクエストカウンターに向かう。

クエストカウンターには一人のエルフが座っていた。

「クロノス君!おはよう」

「おはようございます」

俺に挨拶してくれたのは受付嬢のミケさんだ。

銀色の髪と灰色の瞳が印象的な女性で、冒険者からも人気がある。

体も小さく、「ロリババア」や「合法ロリ」と影では呼ばれている。

おい、今言ったの誰だよ。ロリコンは存在自体が犯罪だぞ。

それにしてもミケさん可愛いな。

娘にしたいくらいだ。

「クロノス君助けて!」

ミケさんは俺の袖を引っ張って助けを求めてきた。

「今危ない人たちが来てて、冒険者さんがみんな帰っちゃった」

何!?それは大変だ!今ミケさんと二人きりじゃないか!

どうしよう。急に緊張してきたし、変な汗かいてきた。

これがひと夏のアバンチュールというやつですか?

違うね。そもそも春だし。

「ええええーと、そうですね……はい。頑張りましょう!」

「何を!?」

俺が今の状況に緊張して少しおかしくなっていると、後ろから誰かに肩を叩かれた。

振り向くと、いつの間にか男女四人が立っていた。

金髪碧眼でニコニコと笑っている少女。

水色の髪と瞳で俺をジッと見つめている少女。

というか睨んでるし。気持ちいい。何かに目覚めそうだ。

茶髪のどこか胡散臭い笑顔を浮かべる少年。

黒髪のガラが悪そうな少年。

「誰ですか?」

俺の問いに答えたのは金髪の少女だった。

「私はエルシー。あなたをパーティーに勧誘しにきました」

さっき「パーティーの勧誘」と話していたのはこいつらだったのか。

「お願い、クロノス君。少し迷惑してるからどうにかして?」

ミケさんは上目遣いで俺を見つめてきた。

なんだ!この可愛い生き物は!?

やれやれ、天使のお願いとあってはしょうがない。

「よし、お前ら帰れ!もう二度と来んな!ミケさんに迷惑かけるな!」

ふぅ、いい仕事した。これは俺に惚れてもおかしくないよね?

「ねえ、エルシー。あいつ殺していい?」

透き通った声で物騒なことを言ったのは、さっきより機嫌が悪そうな水色の髪の少女だ。

「ダメだよ、シト!私たちのパーティーに入ってもらうんだから!」

どうやら彼女はシトというようだ。

シトと隣り合わせということは死と隣り合わせということか!

俺がそんなくだらないことを考えているとシトが近づいてきた。

そして俺の胸に手を置く。

「どうしたんだ、シト?ビッチな子は嫌いだぞ」

俺がそう言うと、シトは満面の笑みで俺の顔を見た。

えっ?可愛くね?ミケさんの一億分の一くらい可愛くね?

「死ねっ!」

「あうっ!」

いきなり胸に痛みと衝撃が走った。

その痛みを快感だと感じる俺はおかしいだろうか?

「シト!何やってるの!?」

エルシーは涙目でシトに掴みかかった。

「あいつ、なんかムカついたから」

自分の胸を見ると穴が空いていた。

わお!まん丸お月様!

「クロノス君!大丈夫?怪我はない?というか女の子に負けちゃうなんて惨めだと思わない?」

ミケさんが俺に空いた穴に手を突っ込みながら聞いてきた。

ミケさんって案外Sっ気あるよねー。ゾクゾクしちゃう。

「いいですね。ミケさんの言葉責め、なんか気持ちいいです」

「クロノス君はまさかのマゾ豚さんだったの!?」

エルシーたちの方を見ると全員固まっていた。

「えっ、あっ……なっ!」

シトも口をパクパクさせている。

その姿は餌に群がる魚のようだ。

可愛い。ハスハスしたい。

「クロノス君、君血だらけだし、私も手が汚れちゃったからシャワー浴びに行こうか?」

「そうですね」

俺とミケさんはギルド内のシャワールームに向かった。

ミケさんと一緒に浴びるとかはないんでしょうかね?ないか……ないな。














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