『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第二章 冒険者ギルド

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「古代魔法でも壊せないならどうしたら……」
 ミルリーフは顔をしかめ言う。

「ガハハ、落ち着け、嬢ちゃん。
 ……たしか、100年前、魔王を倒すために色んな種族がそれぞれアイテムを持ち寄って、強力な兵器を作ろうという話があったじゃろ?」
 ドワーフはアルカンタラに尋ねる。

「あー……そんなの計画あったなぁ。結局、間に合わなくて、魔王はソーサーが剣で倒したようだが」

「そうじゃ。じゃがソーサーだけで倒した訳じゃないぞ? お前らが倒してくれたんじゃ」
 ドワーフの真剣な口調に少し照れるアルカンタラ。

「魔王が滅びて世界は平和になったからのう。その兵器を作ろうって話も自然となくなった訳じゃが。
 勇者のいない今こそ、その兵器が必要になるのかもしれんな」
 ドワーフはミルリーフをチラリと見る。

「いや……勇者は現代にもおるのかのぅ?」
 ドワーフは小さく笑った。

「その兵器っていうのは……どうやって作るんですか?」ミルリーフが尋ねる。
「昔の話だからのう、ワシもうろ覚えじゃが……」

 ドワーフは話を続けた。

 その計画で終わった兵器は古代兵器と呼ばれている。
 その兵器は人間、ドワーフ、エルフなど、様々な種族の宝である宝玉を持ち寄り、精霊の加工技術を使って作ることができるかもしれないということだ。

「今では古代兵器を作る計画があったことを覚えとる連中も少ないじゃろうな。特に短命な人間はな」

「宝玉が必要なのね……おとぎ話みたいなので聞いたことがあるわ。それぞれの種族の宝物、宝玉があるって」ミルリーフが言う。

「そうじゃ、ちなみに魔族の宝玉があの暗黒水晶じゃ。ワシらの宝玉を合わせれば暗黒水晶でも壊せるんじゃないかの」
 ドワーフは酒をグビリと飲み、ジョッキをテーブルに強く置く。

「おい、アルカンタラ! お前がこの兵器を作るんじゃ!」
「お、俺が!?」
「ああ、お前がこの役に適任じゃ!」ドワーフは言う。

「お前は100年前、魔王を追って世界中の土地を歩いただろ。そして様々な種族にも会った。
 ワシらドワーフに武器を作らせ、エルフには薬草をもらい、海の底へ人魚の力も借りに行ったじゃろ。
 そして、精霊にその魔方陣の入れ墨を彫ってもらった。
 今の人間で昔を知っているのはアルカンタラだけじゃ。これはお前にしかできん!」
 ドワーフは力強く言い放つ。

「……そうね。アルカンタラ! 私も協力するわ。Sランク冒険者にもなれたことだし、私たちはどこだっていけるのよ」

「ふふ勝手なことばっか言いやがって……そうだな。年だけは食ってるからな。よしッ、久しぶりに懐かしい奴らに会いに行ってみるか!」

「ガハハ……魔族が復活するこのタイミングで100年ぶりに目を覚ましたんだ。これは運命じゃろうな。
 まずは『エルフの森』へ行くといい。ここから西へ少し行った国にエルフは住んでおる」

「エルフか。懐かしいな。大人しいけど親切な奴らが多かったな」

「エルフ……本物に会うのは初めてだわ……」ミルリーフが少し緊張気味に言う。
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