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第二章 冒険者ギルド
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翌日、ミルリーフは、アルカンタラを連れ出し街へ出ていた。
「ほら、いつまでも落ち込んでたってしょうがないでしょ? たまにはおいしいものでも食べにいきましょう」
ボアモルチの繁華街は賑わっていた。二人は手頃なレストランへ入る。
店内では暗黒水晶のことなど誰も知らないのか、大勢の客は酒を飲み、盛り上がっていた。
「ほら、なんでも好きなものを頼みなさい。クエストの報酬もあるから、多少は贅沢できわよ」
ミルリーフの落ち込むアルカンタラにわざとらしく明るく振る舞う。
ポケットの中では、クエスト報酬の数枚の金貨がカチャカチャと音を立てる。
「ふん、お前はのんきだなぁ……まあ、とりあえず酒をもらうか」
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ? 私たちまだ18歳よ? お酒はダメよ」
ミルリーフはアルカンタラを制する。
「はぁ? 何言ってんだ? 酒に年齢制限なんてあるわけねでだろ、アホか?」
アルカンタラは呆れたように言う。
「く……これだから原始人は……今はあるのよ! お酒はハタチになってからよ」
「ったく、めんどくせぇ時代だな。だとしても俺には関係ないね。俺は882年生まれの118歳なんだぜ?
フフフ、982年生まれのミルリーフちゃんはジュースでも飲んでやがれ!」
「くっ! このジジイ……!」
アルカンタラは、睨みつけるミルリーフなど気にもとめず酒を注文する。
「だいたい俺たちはガキの頃から酒は飲んでたぞ。ソーサーやアゼリだってなぁ――」
「ふん、昔の話は知らないわよ!」
「それにアゼリは国一番の大酒飲みだったなぁ。酔っ払うとすごかった……とてもこんなところじゃ話せんが……」
「やめてーッ! おばあちゃんの悪行なんて聞きたくないわ!」
耳を覆うミルリーフだった。
「それにしても、暗黒水晶は思ったより深刻そうね……」ミルリーフが静かに言う。
「ああ……そうみたいだな。今の時代のヘナチョコ魔族なら俺の魔法でも楽勝と思っていたが甘くないみたいだな」
「アルカンタラの古代魔法でも壊せないならどうしたらいいのかしら……」
二人は口数少なく料理を口に運ぶ。
その時、近くの席から大声が響く。
「んん? なんか懐かしい声がすんなぁ? いや、そんなわけねーか。人間は短命だもんなぁ……」
そう言い、小柄なヒゲ面の男がアルカンタラの顔を覗き込む。体は小さいが腕の太さはアルカンタラの2、3倍はありそうな筋骨隆々な男だ。
「おお! こりゃ驚いたなぁ、顔まで似てやがる」
「あぁ? なんだこのオッサン……ん??」
アルカンタラは酒を飲む手をピタリと止める。
そして二人は同時に声を上げる。
「お前、アルカンタラって魔法使いに似てるって言われたことねぇか?」
「オッサン、ドワーフの鍛冶屋か!?」
「……え? お前、ワシのこと知ってるの?」
男は目を丸くして驚いた。
「ほら、いつまでも落ち込んでたってしょうがないでしょ? たまにはおいしいものでも食べにいきましょう」
ボアモルチの繁華街は賑わっていた。二人は手頃なレストランへ入る。
店内では暗黒水晶のことなど誰も知らないのか、大勢の客は酒を飲み、盛り上がっていた。
「ほら、なんでも好きなものを頼みなさい。クエストの報酬もあるから、多少は贅沢できわよ」
ミルリーフの落ち込むアルカンタラにわざとらしく明るく振る舞う。
ポケットの中では、クエスト報酬の数枚の金貨がカチャカチャと音を立てる。
「ふん、お前はのんきだなぁ……まあ、とりあえず酒をもらうか」
「ちょ、ちょっと何言ってるのよ? 私たちまだ18歳よ? お酒はダメよ」
ミルリーフはアルカンタラを制する。
「はぁ? 何言ってんだ? 酒に年齢制限なんてあるわけねでだろ、アホか?」
アルカンタラは呆れたように言う。
「く……これだから原始人は……今はあるのよ! お酒はハタチになってからよ」
「ったく、めんどくせぇ時代だな。だとしても俺には関係ないね。俺は882年生まれの118歳なんだぜ?
フフフ、982年生まれのミルリーフちゃんはジュースでも飲んでやがれ!」
「くっ! このジジイ……!」
アルカンタラは、睨みつけるミルリーフなど気にもとめず酒を注文する。
「だいたい俺たちはガキの頃から酒は飲んでたぞ。ソーサーやアゼリだってなぁ――」
「ふん、昔の話は知らないわよ!」
「それにアゼリは国一番の大酒飲みだったなぁ。酔っ払うとすごかった……とてもこんなところじゃ話せんが……」
「やめてーッ! おばあちゃんの悪行なんて聞きたくないわ!」
耳を覆うミルリーフだった。
「それにしても、暗黒水晶は思ったより深刻そうね……」ミルリーフが静かに言う。
「ああ……そうみたいだな。今の時代のヘナチョコ魔族なら俺の魔法でも楽勝と思っていたが甘くないみたいだな」
「アルカンタラの古代魔法でも壊せないならどうしたらいいのかしら……」
二人は口数少なく料理を口に運ぶ。
その時、近くの席から大声が響く。
「んん? なんか懐かしい声がすんなぁ? いや、そんなわけねーか。人間は短命だもんなぁ……」
そう言い、小柄なヒゲ面の男がアルカンタラの顔を覗き込む。体は小さいが腕の太さはアルカンタラの2、3倍はありそうな筋骨隆々な男だ。
「おお! こりゃ驚いたなぁ、顔まで似てやがる」
「あぁ? なんだこのオッサン……ん??」
アルカンタラは酒を飲む手をピタリと止める。
そして二人は同時に声を上げる。
「お前、アルカンタラって魔法使いに似てるって言われたことねぇか?」
「オッサン、ドワーフの鍛冶屋か!?」
「……え? お前、ワシのこと知ってるの?」
男は目を丸くして驚いた。
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