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第二章 冒険者ギルド
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「ふ、まぁお前にしては上出来だろ」
ミルリーフ初のモンスター討伐を静かにニヤリと笑うアルカンタラだった。
「……でも、そんな喜んでるヒマもなさそうだぞ?」
「……え?」
アルカンタラの言葉の意味がよくわからず、ミルリーフはキョトンとした顔をしている。
『ドドドド……』
荒野の彼方からとどろく足音にミルリーフも気づいた。
「……嘘でしょ!?」
地平線の向こうから数体の紫ライオンが姿を現す。
「どうしよう……ちょっとアルカンタラ、いつまで座ってんのよ。アンタも起きて戦いなさいよ。ずっと休んでるんだから体力も回復したでしょ」
「3体くらいか? まあ少し休めたしアレくらいならサクッと追っ払うか」
さすがの今のミルリーフに3頭のモンスターは荷が重いと見て、アルカンタラが腰を上げた。その時
「だ、大丈夫ですかー!?」
アルカンタラたちの背後から男の声が響く。
「ん? 誰だ……?」
息を切らせながら、2人の方へ駆けてくる青年の姿。
「はぁはぁ……お二人とも大丈夫ですか? モンスターの足音がして」
「あなた、もしかして冒険者?」
大きな荷物、腰につけた剣、まさに冒険者という姿の青年にミルリーフが尋ねる。
「はい! 僕は冒険者のバーランダーといいます。暗黒水晶を壊すために僕らパーティーで最北端の大陸を目指しているところです」
バーランダーと名乗る冒険者の青年は爽やかな笑顔を二人に返した。アルカンタラたちと同じくらいの青年だ。
「ほう、お前も……ん? パーティーって……お前1人なのに?」
「え? 僕らは3人組のパーティー、『バーランダーズ』と言いまして……ってアレ!? 仲間がいない!?」
焦りながら辺りをキョロキョロとするバーランダー。彼の遥か後方をゼイゼイ息を切らせながら2人の冒険者が走り寄ってくる。
「あ、あんな後ろに……ったく、アイツら! バーランダーズのメンバーとして情けないぞ!」
現代の冒険者を始めてみるアルカンタラは頭をかかるバーランダーを奇妙なものを見るように眺める。
「……なんかコイツ、弱そうだな……」
「ち、ちょっと、アルカンタラ! やめなさいよ」
呆れたようにボソッとつぶやいたアルカンタラの言葉にミルリーフは怒る。幸い、バーランダーには聞こえていなかったようだ。
「そ、そんなことより! モンスターがすぐそこまで迫っています! 僕の後ろに隠れてください!」
アルカンタラたちを守ろうとバーランダーは剣を抜く。新品のようにピカピカの剣だ。
「え? お前が守ってくれんの?……?」
突然のことにキョトンとするアルカンタラ。
「もちろんです! 世界を平和にするために……勇者になるために僕は冒険者になったんです! 冒険者たるもの、ここであなたたちを救わなければ!」
恥ずかしげもなくクサいセリフを放つバーランダー。
「お、おう……なんか熱いなコイツ……」
「でも…… 大丈夫なのかしら……モンスター3体を1人で……」
バーランダーの背中を心配そうに眺める2人。
「……いや案外、こいつ強者かもしれないぞ? 昔も一見、弱そうな戦士が実は凄腕だったなんて言う事はいくらでもあるぜ?」
「そ、そういうものなのね……奥が深いわね……」
ゴクリと唾を飲み込むミルリーフ。
「まあ現代の冒険者ってやつのレベルを見ておきたい。ここはあのバーランダーとか言う奴に任せてみるか」
モンスターはもう目の前まで来ている。ノロノロ走ってくるバーランダーズの2人はとても間に合いそうにない。
バーランダーと紫ライオン3体の戦いだ。
ミルリーフ初のモンスター討伐を静かにニヤリと笑うアルカンタラだった。
「……でも、そんな喜んでるヒマもなさそうだぞ?」
「……え?」
アルカンタラの言葉の意味がよくわからず、ミルリーフはキョトンとした顔をしている。
『ドドドド……』
荒野の彼方からとどろく足音にミルリーフも気づいた。
「……嘘でしょ!?」
地平線の向こうから数体の紫ライオンが姿を現す。
「どうしよう……ちょっとアルカンタラ、いつまで座ってんのよ。アンタも起きて戦いなさいよ。ずっと休んでるんだから体力も回復したでしょ」
「3体くらいか? まあ少し休めたしアレくらいならサクッと追っ払うか」
さすがの今のミルリーフに3頭のモンスターは荷が重いと見て、アルカンタラが腰を上げた。その時
「だ、大丈夫ですかー!?」
アルカンタラたちの背後から男の声が響く。
「ん? 誰だ……?」
息を切らせながら、2人の方へ駆けてくる青年の姿。
「はぁはぁ……お二人とも大丈夫ですか? モンスターの足音がして」
「あなた、もしかして冒険者?」
大きな荷物、腰につけた剣、まさに冒険者という姿の青年にミルリーフが尋ねる。
「はい! 僕は冒険者のバーランダーといいます。暗黒水晶を壊すために僕らパーティーで最北端の大陸を目指しているところです」
バーランダーと名乗る冒険者の青年は爽やかな笑顔を二人に返した。アルカンタラたちと同じくらいの青年だ。
「ほう、お前も……ん? パーティーって……お前1人なのに?」
「え? 僕らは3人組のパーティー、『バーランダーズ』と言いまして……ってアレ!? 仲間がいない!?」
焦りながら辺りをキョロキョロとするバーランダー。彼の遥か後方をゼイゼイ息を切らせながら2人の冒険者が走り寄ってくる。
「あ、あんな後ろに……ったく、アイツら! バーランダーズのメンバーとして情けないぞ!」
現代の冒険者を始めてみるアルカンタラは頭をかかるバーランダーを奇妙なものを見るように眺める。
「……なんかコイツ、弱そうだな……」
「ち、ちょっと、アルカンタラ! やめなさいよ」
呆れたようにボソッとつぶやいたアルカンタラの言葉にミルリーフは怒る。幸い、バーランダーには聞こえていなかったようだ。
「そ、そんなことより! モンスターがすぐそこまで迫っています! 僕の後ろに隠れてください!」
アルカンタラたちを守ろうとバーランダーは剣を抜く。新品のようにピカピカの剣だ。
「え? お前が守ってくれんの?……?」
突然のことにキョトンとするアルカンタラ。
「もちろんです! 世界を平和にするために……勇者になるために僕は冒険者になったんです! 冒険者たるもの、ここであなたたちを救わなければ!」
恥ずかしげもなくクサいセリフを放つバーランダー。
「お、おう……なんか熱いなコイツ……」
「でも…… 大丈夫なのかしら……モンスター3体を1人で……」
バーランダーの背中を心配そうに眺める2人。
「……いや案外、こいつ強者かもしれないぞ? 昔も一見、弱そうな戦士が実は凄腕だったなんて言う事はいくらでもあるぜ?」
「そ、そういうものなのね……奥が深いわね……」
ゴクリと唾を飲み込むミルリーフ。
「まあ現代の冒険者ってやつのレベルを見ておきたい。ここはあのバーランダーとか言う奴に任せてみるか」
モンスターはもう目の前まで来ている。ノロノロ走ってくるバーランダーズの2人はとても間に合いそうにない。
バーランダーと紫ライオン3体の戦いだ。
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