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破片

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「わっ!」
 
 動き出したボスは僕に向かって殴りかかる。
「くっ!」

 ――瞬間移動――

 『ガッシャーーン!』
 僕は間一髪でボスの攻撃を回避した。完全に油断していた……

「はあはあ……危なかった……」
 僕が避けた拳は床に当たった。その床は砕けている……

「とんでもないパワーね……この床もオリハルコンで出来てるのよ!?」

「こいつ……物理攻撃には反撃するのか!?」
 魔法では何の反応もしなかったボス。オオカミの牙には反応し反撃をしてきた。

 ひとまず距離をとる僕ら。攻撃をしなければ危険は無いようだ。

「うーん……困ったわね。私たちの魔法は効かないし、召喚獣の攻撃は反撃されちゃうわね」

「そうですね……となると……」
 僕とグリンダさんの魔法使いチームはオリビアさんに熱い視線を注ぐ。

「うっ! そうだな……私が斬るしかないようだな! 私の武器のためのダンジョンだ。そろそろ私が活躍しなきゃな!」
 オリビアさんは剣を抜く。

「いくぞッ!」
 ボスに向かって飛び掛かるオリビアさん。

「はあッ!」
 ボスに剣を振り下ろす。僕の目には見えないくらいのスピードだ。しかし……

 『キンッ!』

「なに!?」
 オリビアさんの鉄の剣が砕ける。

 ボスは拳を振り上げる。
 攻撃したばかりで、避けられる体勢ではないオリビアさん。 

「オリビアさん! 危ない!」

 ――瞬間移動――
 僕はオリビアさんの元へワープをし抱え込む。瞬時に再び瞬間移動で回避する。しかし――

 『ガッ!』

「ううっ!!」

 瞬間移動で回避の瞬間、ボスのパンチが僕の腕をかすめた。

「ペルーサ!!」

「う……だ、大丈夫ですか……オリビアさん」

「す、すまない……私のせいで……」

「大丈夫!? ペルーサ君!」

「はい……」
 かすめただけとはいえ、ボスは全身オリハルコンだ。
 この痛み……腕の骨が折れていているようだ……

「まずいわね。魔法が効かなくって、オリビアの剣も折れちゃったし……一旦撤退しましょう! ペルーサ君のケガを回復魔法で治さないと」

「そうだな……ペルーサ、立てるか?」

「すみません……」
 僕はオリビアさんに抱えられる。
 脱出を図る僕ら。

 しかし――

 『ダッダッダッダ』

「えぇーー!!」

 今まで反撃しかしてこなかったボスが走り寄ってくる。

「ちょ、ちょっと! 話と違うじゃない!」

「……まあ攻撃しないってボスが言ったわけじゃないですけどね……」

「ぺ、ペルーサ! 瞬間移動だッ!」

 ――瞬間移動――

 ボスから離れた部屋の端へ瞬間移動する。

「うぅ……」
 折れた腕を押さえる僕。回復魔法をする暇もなさそうだ。
 ボスは休む間もなく追いかける。

「ま、まずいわねぇ……」

 魔法の効かない強敵に追いつめられる。

「くっ……武器さえあれば……あっ!!」

 その時、僕は気が付いた。
 床に散らばるボスが殴って砕いたオリハルコンの破片に。

「あの破片って……剣に錬成できませんかね……?」
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