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旅の支度

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 買い物も終わりご機嫌なオリビアさんとグリンダさん。
 途中でバタバタはあったが無事に終わってよかった。

「あっ そういえばオリビアさん。新しい剣の材料なんですけどオリハルコンはどうですか?」
 カノン様に教えてもらった剣の材料のことを思い出した。

「オリハルコン……聞いたことはあるな。どこかのダンジョンにある幻の金属だ」
「そうです。カノン様が教えてくれて。オリハルコンのダンジョン行ってみませんか?」
「オリハルコンのダンジョンか……行ってみるか!」
 剣が壊れたままではオリビアさんも可哀そうだからな。

「オリハルコンのダンジョンって……たしか凄い遠くにあるはずよ……? 気を付けて行ってきてちょうだいね?」
「いやいやグリンダさんも一緒に行きましょうよ」
「いやよ! オリビアのためにそんな遠くまで行くなんて!」
 駄々を込めるグリンダさん。

「グリンダは来なくていいよ」
「あら? 本当? 助かるわ!」
 グリンダさんは面倒に巻き込まれずホッとしたようだ。オリビアさんがそんなこと言うなんて珍しいな……

「オリハルコンのダンジョンは危険なダンジョンだ。グリンダは怖いんだろ?」
「な!? 怖いわけないでしょ!! 何言ってるのよアンタは!」
 オリビアさんの言葉にムキになるグリンダさん。

「キィー!! いいわ! 私も一緒に行ってあげるわよ!」
「お? いいのか? てっきり怖いのかと」
「舐めないでちょうだい! ちょうど新しい杖を試すいい機会だわ」
 オリビアさん、だんだんグリンダさんの扱いが上手くなってきてるみたいだな……

「で、そのオリハルコンのダンジョンってのはどこにあるんだ?」
「たしかここから西に3日くらい行ったところのはずよ。あー長旅だわ……いやだわ……」
「じ、じゃあ買い物ついでに旅の道具も買いに行きませんか!?」
「お、何から何まですまないなペルーサ!」
「えぇ……それも僕ですか……」
 余計なことを言ったようだ。


 ◇

「いらっしゃい!」
 大きい道具屋に着いた。野宿の道具や食料なんかを買おう。

「どんなテントがいいんですかね?」
「3人ならこのへんのテントでいいんじゃないか?」
「なるほど。組み立てたりできますかね?」
「簡単だよ! そんなこともできないのか?」
 手際よくテントを組み立てるオリビアさん。

「おおー! すごいですね!」
「調査団ではしょっちゅう野宿してるからな。慣れっこだよ」
 意外な野宿の達人がいたようだ。

「いやだわ……野宿なんて……虫とか出ないかしら」
「大丈夫ですよ。3人で行けば楽しいですよ!」
「ペルーサ君は遠足気分ね……」
 相変わらず行くといったことを後悔しているグリンダさん。

「それにこんな狭いテントでペルーサ君と寝るなんて! 何されるかわからないわ!」
 ……いつも人のベットに潜り込んでくるくせによくそんなこと言えるな……


 ◇


 一通りの旅の道具を購入し道具屋を出る。
「よし! これで準備完了ですね!」
「何言ってるの!」
「え?」
 怒り出すグリンダさん。

「まだお菓子を買ってないじゃない!」
「え?」
「お菓子のない旅なんてありえないわ!」
 ……一番遠足気分なのはグリンダさんなんじゃ……
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