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「……君たち3人は以前、このレベル100のダンジョンに来たことがあっただろ?
 アキラくんの部屋のダンジョンの扉から」

「はい……あっ!」
 アキラは虎石の言いたいことに気づいた。

「そうだ。この世界のどこに扉ができたか覚えているか?
 草原と空に浮かぶ城が見えたと言っていたから、おそらくこの近くだと思うんだが?」

「はい……確かにこのそばの洞窟に繋がっていたと思います……でも……!」
「でも! ダメですよ! アキラさんの部屋のダンジョンは……私たち3人しか入れないんですよ!?」
 花子が言う。

「ふふ、もちろんわかってるよ。
 俺たちが巻き込んでしまったんだ。
 君たちのおかげで神を滅ぼすことができて、人間界はモンスター災害の恐怖に怯える事はなくなった。
 それだけで充分だ!」

「ああ! 本当におめェら……よくやってくれたぜ!
 俺はこうしてナオコと会うことができた。
 俺は幸せもんだ!」
 虎石と金剛寺が笑顔で言う。

「危ない目に合わせてごめんなさいね。
 あなたの部屋のダンジョンは私が作ったの。
 私の力じゃ、あのダンジョンを使える人数は3人が限界だった。
 それにどこにあのダンジョンを作るかも選ぶこともできなかったから、たまたまあなたの部屋にできたんだと思う。
 でも、あなた達みたいな冒険者が選ばれてよかったわ。
 人間界を救ってくれてありがとうね!」
 ナオコはアキラたちの手を握りながら言う。

「う、うぅ……」
「アキラさん……」
 迷うアキラと花子。6人で脱出する方法はない……

「ほら! 早く行け、おめェら! また地震が来ちまうぞ!
 このカブトムシ。なかなかの乗り心地だったぜ。
 これに乗って、早くお前の部屋に繋がる扉に迎え!」
 金剛寺はアキラの背中を押す。

「ダ、ダメですわッ!」
 まどかは涙を流しながら言う。

「まだ何か手があるはずですわ!」
「まどかちゃん……そうよね! 何かできることがあるはずよ!」
 花子も言う。

「うん……そうですよ! 3人を置いて俺たちだけ帰るなんてできません! 諦めちゃダメです!」

「おめェら……」

「ち、ちょっと……アキラさんが諦めるなって……真剣な話してるんだからふざけないでくださいよ」

「花子さん……アンタね……」

「気持ちはありがたい。しかし、現実的にそれは難しい。君たちだけでも戻ってもらわな――」

『ピーピーピー』
 その時、『魔法の糸電話』が弱々しく鳴った。

 ◇

『アンタたち! 生きてるか!?』
「錬成師の……おばあさん!?」
 電話からは錬成師の老婆の声。

「はい! 生きてます。でも扉がなくなってまして……」
 虎石は言う。
「おばあちゃん!? ナオコよ! おばあちゃん……!」
 ナオコは20年ぶりのおばあちゃんの声に涙を流す。

『おぉ……ナオコかい……なに泣いとるんじゃ! 無事に帰ってくるまでが冒険じゃろ! まったく20年も帰ってこんで!』
 老婆は怒鳴り声を上げる。

「か、感動の再会のはずなのにな……でも武者小路さん! 扉がないんですよ……どうすることも……
 アキラ君たちだけでも彼の部屋のダンジョンから戻ってもらおうと思っていたんですが」

『アホか虎石ッ! 壊された扉、アキラの部屋の扉、レベル100のダンジョンの扉はもう1つあるじゃろ! 南極の地下に眠る扉じゃ!』
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