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「アキラさん、本当に神を倒すなんて……こんなボロボロになって……」
「2人だってあの魔法使いに勝ったんだろ? 四天王最強って言ってたよ」
 魔力が復活した花子は、回復魔法でアキラの傷を癒す。

「うーん、なかなか治りませんね……アイテムが上手く使えないというか……」
「あー……そうだ。神が死んだからアイテムはそのうち使えなくなるって――」

『ゴゴゴゴゴッ!』
 その時、地震のような振動が草原を揺らす。

「じ、地震!?」
「くっ……神がいなくなったからダンジョンが崩壊するんだ……」
「そんな……虎石さんたちを追いましょう! 早く扉から脱出しないと!」
「実は……そのことなんだけど……」

 アキラは扉を壊されたことを2人に告げる。

 ◇

 その頃、虎石、金剛寺、ナオコの3人は扉のあったところに到着していた。

「……くそっ! これは無理だな」
「ああ……『魔法の糸電話』で言ってた通りみてェだな」

 人間界で破壊された扉は、ダンジョン側でも粉々になっていた。

「ごめんなさい、2人とも……私のせいでみんなを巻き込んでしまって……」
 ナオコは涙を流す。

「馬鹿野郎! まだあきらめるんじゃねェ!」
 金剛寺はナオコの肩を抱き寄せる。

「しかし、どうするか……それにアキラ君たちは大丈夫だろうか……」
「心配すんな! アイツらなら絶対やってくれるぜ!」

『ゴゴゴゴゴッ!』

「な、なんだ!? 地震か?」
「危ない! 洞窟から出るぞ!」

 3人は崩れ落ちる洞窟から抜け出す。洞窟は地震の振動で崩壊した。

「危ねェ……何が起こってるんだ?」
「今の地震……もしかして神が消滅したのかも……」
 ナオコは言う。

 ダンジョンを維持する神が消滅し、ダンジョン崩壊が始まったとナオコは気づいた。

「ってことは……アイツらやったんだなっ!」
「すごい……本当に神を倒すなんて!」
 アキラたちの勝利を喜ぶ金剛寺と虎石。

「……でも、あの子たちもここから脱出することができないなんて……申し訳ないわ……」
 うつむくナオコ。

「……なあ? その事だけどよ……アイツらは前に一度、アキラの部屋のダンジョンの扉からこの世界に来たことあるんだよな……?」
 金剛寺が言う。

「……あっ!」
 なにかに気づいた虎石とナオコ。

 ◇

「店長ー! 虎石さーん!」
 アキラたちは虎石たちと合流する。

「アキラ! お前ら……よくやったぞ!」
 アキラを抱きしめる金剛寺。
「ちょ、ちょっと店長!」

 アキラは今の状況を説明した。
 神が消滅し、ダンジョンは崩壊を始めた。
 ダンジョンアイテムを徐々に能力を失っていく。

「くそ……やっぱりこのダンジョンが崩壊し始めたのか」
「……扉が壊されたってことですけど……?」
 アキラが尋ねる。

「ああ……俺たちがさっきこの世界に入ってきた扉は、粉々になっていたよ……」
「そうですか……」
 うつむくアキラ。

 そんな3人に虎石は口を開いた。
「アキラくん、花子さん、まどかさん。
 本当に君たちはよくやってくれた。感謝しているよ。
 ……君たちだけでも、元の世界に戻りなさい」

「え? で、でも……」
 アキラは虎石の言う意味がわからない。
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