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 3ヶ月後、レベル100のダンジョンへの出発まで1ヵ月を切っていた。
 富士山地下に眠るレベル100の扉の発掘工事も着々と進んでいる。

 現在は、モンスター災害が以前より増えていた。
 政府公認冒険者の活躍で、何とか被害を最小限に抑えられているが非常に危険な状態だった。

 そして、もう一つ、大きな問題が……
 それはダンジョンアイテムの能力を使い、悪事を働く犯罪者が増えたことだ。
 以前よりも、ダンジョンアイテムが能力を発揮するようになった人間界。
 異世界とのトンネルがどんどん広がってきている証拠だ。
 スピードアップアイテムを使い、ひったくりをする者。
 攻撃力アップアイテムを使っての暴力事件など、警察でも手に負えない犯罪が増えていた。

 レベル100のダンジョン遠征を直前に迎えて、人間同士が争うと言う状況に困っていたが、それもすぐに解決した。

 ◇

『ピーピーピー A町で強盗が現れた。対応を頼む』
 アキラのスマートフォンにダンジョン省からの要請が来る。
「強盗か…… まったく、なに馬鹿なことをやってるんだか……」
「最近増えてきましたね。ダンジョンアイテムを犯罪に使うなんて」
「A町ですか。それじゃあ、私行ってきますわ」
「お願いね、まどかちゃん。私はここから手伝うわ」

 窓からまどかが飛び立つ。まどかの背中には羽根が生えている。
 強盗の元を空を飛び向かう。

「さてと……んー、加減しないと炭になっちゃいますからね……
 優しく優しく……」
『ビュン ビュン ビュン』
 花子は空に向け数本の炎の矢を放つ。
 炎の矢はA町の方へ自動で向きを変え、突き進む。

 ◇

 時計店から高級時計を盗む強盗たち。
「へへ、これを売り捌けばとんでもねぇ金になるぜ!
 このダンジョンアイテムはスゲェな!」
 力の能力アップアイテムをつけた強盗。
 店のシャッターを簡単に引きちぎり盗みを働いた。

「ん? アレはなんだ……?」
 空を見上げる強盗たち。空から炎の矢が向かって飛んでくる。
 矢は彼らの体に降り注ぐ。
「ぐわぁ! あ、熱ぃ!! 死ぬぅ!」

 突然、体が燃え出し、ジタバタと転げ回る強盗たちのところへまどかが到着する。

「あ、あれは天使!? お、俺たちのお迎えに来たのか!?」
 背中に大きな白い羽根を生やしたまどかをあの世からの使いと勘違いする強盗たち。
 しかし、もちろんこの羽根はまどかのダンジョンアイテムだ。
『大天使の羽根 レア度★★★★★』
「まったく……早く盗んだ物を返しなさい!」

 ダンジョンアイテムで犯罪を犯す者が現れたが、所詮、ダンジョンアイテムの扱いは素人の犯罪者たち。
 政府公認冒険者の圧倒的な力で取り締まりを行い、今では犯罪をするものも少なくなってきた。
 監視の目が光る中、犯罪などできるわけないと気づき始めたのだ。
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