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アキラたちの剣道修行も続いていた。
「はぁはぁ……キツい……」
ひたすら基礎練習をするアキラとまどか。
ダンジョンでは能力アップアイテムを装備しているアキラたち。
アイテムの能力で筋力やスピードを上げて剣を振っている。
しかし、ここはダンジョンではない。能力アップアイテムを装備せず、生身の体で竹刀を振っている。
「ホッホッホ! 情けないのぅ。最近の若者はどいつもこいつもダンジョンでは能力アップアイテムとやらに頼っているようじゃな。
アイテムも大切じゃが、結局は体を鍛えんことには、上は目指せんぞ?」
「はぁはぁ……た、確かに……」
柳生の言葉が身に染みるアキラだった。
そんな中、乱れのない素振りを続ける剣道経験者の御剣。
「やるなぁ、御剣君は。剣道はどれくらいやってるの?」
「15年くらいですね。でもまだまだ未熟者ですよ」
「ほー、強いわけだ! 大会とかにも出たりしてるの?」
「はい。何度か全国1位になりました。でも……まだまだ未熟者ですよ」
「ほー……強いわけだ……」
「ぜ、全国1位!? すごいですわ……」
「御剣はなかなか筋がいいのぅ。しかし、冒険者研修ではアキラに負けておったのぅ?」
「いや! あれは俺が召喚獣を使ったりしたからで……」
研修での戦いはアキラがカブトムシを召喚し、御剣の注意を引いたことでギリギリで勝つことが出来た。
「純粋な剣術なら御剣に敵うはずのないアキラが、アイテムをうまく使い勝つことができる。
それが冒険者の面白いところじゃな」
柳生が言った。
「その通りです。アキラ先輩に破れてから、僕はダンジョンに入りまくりました。
アキラ先輩のような冒険者の戦い方ができるようになるために!」
「……御剣君、俺を買いかぶりすぎだよ」
全国1位の剣道家に憧れを抱かれ、複雑な気持ちのアキラだった。
「ホッホッホ。頼もしいな。アキラも負けてられないのぅ。
もっと鍛えて、ナオコを救い出してやってくれよ……」
「はい……柳生さんもナオコさんと親しかったんですか?」
アキラは柳生に尋ねる。
「そうじゃな……パーティーは違ったが、同じ時期……20年ほど前に鎬を削り合った仲じゃな。
ワシは剣士、ナオコは魔法使いじゃったが、心優しいすばらしい冒険者じゃったよ」
「そうなんですか……」
「だからこそ、ナオコを失ってからの金剛寺の落ち込みが酷かった……
そのナオコが生きていると分かったんじゃ。虎石と金剛寺もトレーニングを頑張っておるぞ」
「あー虎石さんたちも頑張ってるみたいですね」
電話の向こうで息切れをしていた虎石を思い出すアキラだった。
「お前たちなら、レベル100のダンジョンをクリアできると信じておるぞ……」
「はい! でも、柳生さんも半年後のダンジョン遠征には参加するんですよね?」
世界一の剣豪は当然参加するものだと思っているアキラ。しかし、
「んー、どうかのぅ? ワシは剣は得意じゃが、ダンジョンアイテムの扱いは苦手じゃからな。
それに有力な冒険者がみんなレベル100のダンジョンに行ってしまったら、人間界に現れるモンスターと誰が戦うんじゃ?」
「あ、確かにそうですね……」
ダンジョンクリアの事ばかり考えていたアキラ、自分たちがいない人間界でモンスター災害から一般人を守ることを考えていなかった。
「レベル100のダンジョンとなると数日、長ければ数週間の冒険になるはずじゃ。
その間、ワシはこの世界を守ろうと思っとるよ。ダンジョンのことをお前たち若者に任せてな!」
「……はい! ダンジョンの方は俺たちに任せてください!」
「ホッホッホ! ならもっと強くならんとダメじゃな!」
それから1週間。柳生の剣の修行は続いた。
「はぁはぁ……キツい……」
ひたすら基礎練習をするアキラとまどか。
ダンジョンでは能力アップアイテムを装備しているアキラたち。
アイテムの能力で筋力やスピードを上げて剣を振っている。
しかし、ここはダンジョンではない。能力アップアイテムを装備せず、生身の体で竹刀を振っている。
「ホッホッホ! 情けないのぅ。最近の若者はどいつもこいつもダンジョンでは能力アップアイテムとやらに頼っているようじゃな。
アイテムも大切じゃが、結局は体を鍛えんことには、上は目指せんぞ?」
「はぁはぁ……た、確かに……」
柳生の言葉が身に染みるアキラだった。
そんな中、乱れのない素振りを続ける剣道経験者の御剣。
「やるなぁ、御剣君は。剣道はどれくらいやってるの?」
「15年くらいですね。でもまだまだ未熟者ですよ」
「ほー、強いわけだ! 大会とかにも出たりしてるの?」
「はい。何度か全国1位になりました。でも……まだまだ未熟者ですよ」
「ほー……強いわけだ……」
「ぜ、全国1位!? すごいですわ……」
「御剣はなかなか筋がいいのぅ。しかし、冒険者研修ではアキラに負けておったのぅ?」
「いや! あれは俺が召喚獣を使ったりしたからで……」
研修での戦いはアキラがカブトムシを召喚し、御剣の注意を引いたことでギリギリで勝つことが出来た。
「純粋な剣術なら御剣に敵うはずのないアキラが、アイテムをうまく使い勝つことができる。
それが冒険者の面白いところじゃな」
柳生が言った。
「その通りです。アキラ先輩に破れてから、僕はダンジョンに入りまくりました。
アキラ先輩のような冒険者の戦い方ができるようになるために!」
「……御剣君、俺を買いかぶりすぎだよ」
全国1位の剣道家に憧れを抱かれ、複雑な気持ちのアキラだった。
「ホッホッホ。頼もしいな。アキラも負けてられないのぅ。
もっと鍛えて、ナオコを救い出してやってくれよ……」
「はい……柳生さんもナオコさんと親しかったんですか?」
アキラは柳生に尋ねる。
「そうじゃな……パーティーは違ったが、同じ時期……20年ほど前に鎬を削り合った仲じゃな。
ワシは剣士、ナオコは魔法使いじゃったが、心優しいすばらしい冒険者じゃったよ」
「そうなんですか……」
「だからこそ、ナオコを失ってからの金剛寺の落ち込みが酷かった……
そのナオコが生きていると分かったんじゃ。虎石と金剛寺もトレーニングを頑張っておるぞ」
「あー虎石さんたちも頑張ってるみたいですね」
電話の向こうで息切れをしていた虎石を思い出すアキラだった。
「お前たちなら、レベル100のダンジョンをクリアできると信じておるぞ……」
「はい! でも、柳生さんも半年後のダンジョン遠征には参加するんですよね?」
世界一の剣豪は当然参加するものだと思っているアキラ。しかし、
「んー、どうかのぅ? ワシは剣は得意じゃが、ダンジョンアイテムの扱いは苦手じゃからな。
それに有力な冒険者がみんなレベル100のダンジョンに行ってしまったら、人間界に現れるモンスターと誰が戦うんじゃ?」
「あ、確かにそうですね……」
ダンジョンクリアの事ばかり考えていたアキラ、自分たちがいない人間界でモンスター災害から一般人を守ることを考えていなかった。
「レベル100のダンジョンとなると数日、長ければ数週間の冒険になるはずじゃ。
その間、ワシはこの世界を守ろうと思っとるよ。ダンジョンのことをお前たち若者に任せてな!」
「……はい! ダンジョンの方は俺たちに任せてください!」
「ホッホッホ! ならもっと強くならんとダメじゃな!」
それから1週間。柳生の剣の修行は続いた。
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