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「1人だし……そんなに高いレベルは危険ね。
 レベル50にしましょ。危なくなったら逃げれるように『脱出の羽根』も忘れずに、っと」

 花子はレベル50のダンジョンに入る。
 レベル90クリアしたことで麻痺してしまっているが、本来レベル50のダンジョンもソロではかなりの難易度だ。

「ソロ冒険じゃ体力を使い果たしたら即死だからね……うまく魔力を使っていかなきゃ」
 襲いかかるモンスターを炎魔法で撃退する花子。
 すっかり魔法のコントロールも上手くなり、無駄のない力で炎魔法を繰り出す。

 大勢モンスターが襲いかかると、花子は自分の周りに炎の輪っかの壁を作る。
 近づくモンスターは炎の壁に飲まれていく。
 炎の球を飛ばすだけではなく、魔法を上手く使い、炎の壁を作り敵の攻撃を防ぐなどもできるようになってきた。

 彼女は自分では気づいていなかったが、魔法をコントロールする力、魔法センスは世界トップクラスの才能を持っていた。
『炎帝のブレスレット』が強力なのは間違いないが、それを使いこなせる冒険者は多くない。

「ふう、ダメね、私……『炎帝のブレスレット』の力だけだわ。ほんと……」
 ……しかし、彼女はそれに気づいていなかった……。

 ◇

 花子はそのままレベル50のダンジョンをクリアし続け、10回目のダンジョンガチャが現れた。

「レベル50を10回……お願い! レア度★★★★★来てちょうだい!」

『ガチャ!』
『冒険者の弓 レア度★★★☆☆』

「ゆ、弓!? レア度★★★☆☆かぁ……これはハズレね。弓なんて使ったことないわよ」
 花子は弓を手に取り構えてみる。もちろん触るのは初めてだ。

「でもカッコいいわね! こう構えて……バーンと射ったら気持ち良いでしょうね」
 花子は弦を引っ張り、弾いてみる。すると――

『ビューン!』
「キャッ! な、なに!?」
 何かが弓から放たれた。遠くの壁に炎が刺さっている。

「なに……? 矢を持ってないのに……弦を弾いただけよ!?」
 花子は弓を見る。
「……矢の代わりに魔法を射ることができるのかしら……?」

 花子は早速、次のダンジョンで弓を試してみる。
 モンスターに向かって弦を弾き、炎の矢で射る。
 矢が刺さったモンスターは燃え盛る。
 はじめての弓だが、器用な花子は狙いを定められた。

「うん! いい感じね。魔法との相性も良さそうだわ。弓矢にこんな使い方があったなんて……
 弓のおかげか、魔力の消費も少なくなるみたいだわ」

 花子は新アイテム『冒険者の弓』をうまく使い、ソロ冒険を続けた。

「フフフ……こうなってくると、袴でも着たくなってきちゃうわね……」
 花子は形から入るタイプだった。
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