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凜の部屋は前の家とは違い、奇麗な広い部屋だ。
「見てよ! 立派な部屋でしょ! 街を見下ろせるんだよ。ふふ、人がアリンコみたいに見えるでしょう」
「り、凛!? なんてことをっ?」
無意識な妹のサイコパス発言に、将来が心配になる兄であった。
「あとこれ見てよ!」
凛は一本の棒を取り出す。
「ん? それは何だっけ?」
「ふふふ、これはこないだ、まどかさんと行ったダンジョンのダンジョンガチャで手に入れたアイテムだよ! 私の宝物なんだ!」
得意げに見せびらかす。
「おーそうなのか! あれ? レベル3のダンジョンに行ったんだっけ?
珍しいの取れたなぁ。レベル3なんて大体『木の棒』しか引けないのに」
「え? お兄ちゃん、結構ダンジョン詳しいんだね?」
不思議そうな凜。
「あ、ああ。ダンジョン配信者の動画を編集したりすることも多いからな……!」
ごまかすアキラ。
「これ『泡の棒』って言って、振るとシャボン玉が出て来てモンスターを惑わすアイテムなんだって!」
「ほうほう、それはなかなか愉快なアイテムだね」
「ね! ダンジョンアイテムだから、ダンジョンでしか使えないってまどかさんは言ってたんだけどね……見てて!」
凛は『泡の棒』を左右に振る。
「エェッ!?!?」
驚くアキラ。
部屋に無数のシャボン玉が舞う。
「ふふふ、ダンジョンの時よりは小さいけど、シャボン玉が出るようになったんだよ!」
「ど、どうして……!?」
ダンジョンアイテムが人間界でも使えるなんて事は今までなかった。
ダンジョンでしか生きられないモンスターが人間界に現れたように、この世界と異世界の繋がりが以前より強くなってきている?
(ダンジョンアイテムが人間界でも使えるなんて……これはまずいぞ!?)
アキラは虎石に報告しようと、スマートフォンを取り出す。
『ピーピーピー』
その時、スマートフォンが鳴りだす。
「ん!? ……マジかよ……」
スマートフォンの画面には『モンスター出現』と通知がある。
「……くそ! 凜! ごめん、ちょっと出かけてくる」
「え? いま!? これからデザートだよ?」
アキラは家族のパーティーを抜け出し、現場へと向かう。
『もしもし? アキラ君か? すまない、夜に駆り出して』
虎石から電話が来る。
「いえ! 今モンスターの出現場所に向かっています。
あの今回のモンスターは?」
『それが……なかなか強力なモンスターなんだ……』
「え?」
『ダンジョンのレベルで言うと……20レベルのボスクラスのモンスターだ!』
「レ、レベル20!?」
今までのスライム、ゴブリンといったモンスターとはレベルの違うモンスターのようだ。
『気をつけてくれ! 私たちも警察自衛隊の応援を要請しているところだ』
レベル20のボス、普段のアキラたちならなんの問題もないモンスターだ。
しかし、ここは人間界、剣として『ドラゴンの剣』を使うことは出来るが、普通の鉄の剣と同じ力しか発揮しない。
スピードアップも防御力アップアイテムも意味が生身の人間として戦わないといけないのだ。
「……でも……もしかしたら……」
アキラは急いで現場へと向かう。
「見てよ! 立派な部屋でしょ! 街を見下ろせるんだよ。ふふ、人がアリンコみたいに見えるでしょう」
「り、凛!? なんてことをっ?」
無意識な妹のサイコパス発言に、将来が心配になる兄であった。
「あとこれ見てよ!」
凛は一本の棒を取り出す。
「ん? それは何だっけ?」
「ふふふ、これはこないだ、まどかさんと行ったダンジョンのダンジョンガチャで手に入れたアイテムだよ! 私の宝物なんだ!」
得意げに見せびらかす。
「おーそうなのか! あれ? レベル3のダンジョンに行ったんだっけ?
珍しいの取れたなぁ。レベル3なんて大体『木の棒』しか引けないのに」
「え? お兄ちゃん、結構ダンジョン詳しいんだね?」
不思議そうな凜。
「あ、ああ。ダンジョン配信者の動画を編集したりすることも多いからな……!」
ごまかすアキラ。
「これ『泡の棒』って言って、振るとシャボン玉が出て来てモンスターを惑わすアイテムなんだって!」
「ほうほう、それはなかなか愉快なアイテムだね」
「ね! ダンジョンアイテムだから、ダンジョンでしか使えないってまどかさんは言ってたんだけどね……見てて!」
凛は『泡の棒』を左右に振る。
「エェッ!?!?」
驚くアキラ。
部屋に無数のシャボン玉が舞う。
「ふふふ、ダンジョンの時よりは小さいけど、シャボン玉が出るようになったんだよ!」
「ど、どうして……!?」
ダンジョンアイテムが人間界でも使えるなんて事は今までなかった。
ダンジョンでしか生きられないモンスターが人間界に現れたように、この世界と異世界の繋がりが以前より強くなってきている?
(ダンジョンアイテムが人間界でも使えるなんて……これはまずいぞ!?)
アキラは虎石に報告しようと、スマートフォンを取り出す。
『ピーピーピー』
その時、スマートフォンが鳴りだす。
「ん!? ……マジかよ……」
スマートフォンの画面には『モンスター出現』と通知がある。
「……くそ! 凜! ごめん、ちょっと出かけてくる」
「え? いま!? これからデザートだよ?」
アキラは家族のパーティーを抜け出し、現場へと向かう。
『もしもし? アキラ君か? すまない、夜に駆り出して』
虎石から電話が来る。
「いえ! 今モンスターの出現場所に向かっています。
あの今回のモンスターは?」
『それが……なかなか強力なモンスターなんだ……』
「え?」
『ダンジョンのレベルで言うと……20レベルのボスクラスのモンスターだ!』
「レ、レベル20!?」
今までのスライム、ゴブリンといったモンスターとはレベルの違うモンスターのようだ。
『気をつけてくれ! 私たちも警察自衛隊の応援を要請しているところだ』
レベル20のボス、普段のアキラたちならなんの問題もないモンスターだ。
しかし、ここは人間界、剣として『ドラゴンの剣』を使うことは出来るが、普通の鉄の剣と同じ力しか発揮しない。
スピードアップも防御力アップアイテムも意味が生身の人間として戦わないといけないのだ。
「……でも……もしかしたら……」
アキラは急いで現場へと向かう。
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