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『お兄ちゃんのバカ! 私、最近ダンジョン配信見始めて、『まどかチャンネル』のファンなんだよ!』
 電話の向こうでは凛が怒鳴り続けている。

「そ、そうなのか……」
(妹よ……お兄ちゃんは人間界のピンチに直面しているんだぞ……!?)

『まどかさんはお兄ちゃんの仕事仲間なの!?
 なんで冒険者のまどかさんとお兄ちゃんが!?』

「……ほら、俺、動画編集の仕事をしてるからさ、その絡みで少し……」
(妹よ……『アキラちゃんねる』は見てないのか……? まあヘルメットしてるけどさ……)

『私、まどかさんと冒険行ってみたい! お兄ちゃんからお願いしてみて!』

「んー……聞いてみるよ……」

 電話切るアキラ。

「はぁ……まったく、うるさい妹だ」
「はは……それより、私も凛ちゃんに会ったことあるのに、私のことには気づいてないんですね……はは……顔出ししてるのにな……」
「は、花子さん……」
 落ち込む花子だった。

 ◇

 数日後、錬成が終わったと連絡をもらい、アキラたちは店長の店に受け取りに出向く。

「ありがとうございました」
「ホッホッホ、なかなか強化できたはずじゃよ!」
 自信満々の老婆。
 3人はそれぞれアイテムを手に取る。

「……うん! 確かに前よりもオーラを感じますね!」
 見た目は変わってはいないが、アイテムの雰囲気が変わっている気がする。
 早くダンジョンで使ってみたい! 3人はそう思った。

「ホッホッホ、確かに前よりはパワーアップしているのは間違いない。しかし、結局は使い手じゃ。
 錬成師がこんなこと言ってはイカンのかもしれんがのぅ。
 戦いまくるんじゃ! ゲームみたいなパラメーターは冒険者には無い。しかし、戦った分、しっかり冒険者自身も成長しているとアタシは思ってるよ」
 老婆はアキラたちに言う。

「お婆さん……いや、武者小路さん!
 このアイテムを使って、俺たち必ずレベル90をクリアします! その時は……」

「おお、分かっとる。
 アタシも今、虎石と協力して人生大一番の計画をしているところじゃ。
 それまでに……世界一の冒険者になっておいてくれ」
 老婆はニヤッと笑う。

「せ、世界一!?」

「お前たちなら何とかしてくれると信じておるぞ」

 ◇

 アキラの家に戻る3人。
 早速、ダンジョンで強化されたアイテムを試してみることに。

「世界一の冒険者か……」
 アキラは老婆に言われた言葉を思い出す。

「レベル100のダンジョンをクリアするなら、当然、それくらい強くないと無理ですよね……」

「そうだね……でも、虎石さんはレベル100のダンジョンに人間界にモンスターが現れる原因があるんじゃないかって言ってたけど……それも本当なのかは誰にも分からないんだよね……」

「レベル100ですか。怖かったですけど……綺麗な所でしたわね」
 まどかは美しい草原を思い出していた。

「そういえば、大きなお城が空に浮いてましたね」

「あー、そうだったなぁ。……ってことは、あの空に浮く城にダンジョンの主が!? ……そんなわけないか。
 とにかく、俺たちはまずレベル90のダンジョンをクリアしよう。そして武者小路さんに20年前、レベル100のダンジョンに行った冒険者の話を聞こう!」

 3人はレベル60のダンジョンへと入って行った。
 今のアキラたちに出来ることは、強くなることだけだ。
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