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その頃、アキラと花子はダンジョン省を訪れていた。
虎石に、昨日のゴブリン討伐の説明だ。
とは言っても、まどかが一撃で倒したため、特に話すこともなかった。
「ご苦労だった。とにかく、一般人や君たちが無事でよかった。
しかしゴブリンか……以前はスライムが多かったが、確実に少しずつモンスターは強力になっているな……」
「そうですね。スライムなら子供でも倒せますけど……ゴブリンは凶暴ですからね。
それもあんな街中に……」
「あの……ゴブリンはどこから現れたんでしょうか?
昨日、ゴブリンが現れた近くにダンジョンはありませんよね?」
花子が尋ねる。
「そうなんだよ。人間界に現れるモンスターがどこから発生しているのか、まだ分かっていないんだ……
そもそも、モンスターは異世界でしか生存できない。
人間界にいる事自体おかしいんだが……
近くにダンジョンがあれば、そこから逃げ出してきたのかと考えられるが、そういうわけではないようだ」
頭を抱える虎石。
「……となると、異世界から、突然ワープでもしてくると言うことでしょうか?」
アキラは錬成師の老婆の言っていた『トンネル』という話を虎石にする。
「ああ、金剛寺から聞いたよ。武者小路さんに錬成お願いしてるんだって?」
「む、武者小路!? あのお婆さんですか?」
人のこと言えないが、苗字だな……。九アキラは思った。
「そう、あの婆さんだ。私たちの師匠みたいな人だよ。
最近はモンスター災害のことも相談して、アドバイスをもらってるんだ。
あの人の予知はよく当たるからね。本当に『トンネル』からモンスターがワープしてきているのかもしれないな……」
「……どうすればモンスターの出現を食い止めることができるんですか?」
「……それは誰にも分からない。
ダンジョンができて、かれこれ30年が経つ。
なぜできたかのかも、分かっていないままだ。
そのダンジョンが、人間に危害を及ぼすんだったら……私はダンジョンそのものを壊すしかないと思っている……!」
虎石は真剣な眼差しで言う。
「ダ、ダンジョンを壊す!?」
「ああ、どうすれば壊せるのか? それはまだ分からない。
しかし、最高難易度レベル100のダンジョンに、何か秘密があるのではないかと私たちは考えている」
「レベル100……ですか」
「……まだ詳しい事は言えないが、レベル100のダンジョンの入り口も、目星がつき始めてるんだ。
その時が来たら、君たち政府公認冒険者にも協力してもらうつもりだ。
君たちは今まで通り冒険をして、さらなるパワーアップに努めてくれ!」
◇
虎石への報告が終わった帰り道。
「あの……アキラさんの部屋のダンジョンの事や、ガチャをパスしてレアアイテムを引きやすくする裏技……
そろそろ虎石さんたちに伝えたほうがいいんじゃないでしょうか……?」
花子は思い詰めたようにアキラに言う。
「うん……俺もそう思ってたところなんだよ。
モンスター災害なんて聞くと、今までみたいに俺たちだけ強くなればトップ配信者に近づける! なんて吞気なことを言ってられないよね……」
もうダンジョン配信を楽しむだけの時は、終わりが近づいてきていると感じる2人だった。
『ピピピピッ!』
その時、アキラのスマートフォンが鳴る。
「……ん? 凛??」
電話は妹の凛からだった。
『もしもし!? お兄ちゃん? 昨日のゴブリンのニュース見た!? あの女の子って……お兄ちゃんの部下の円山さんだよね!?』
「あー……うん。そうかも……」
キレの悪い返事をするアキラ。
『もー! なんで円山さんが『まどかチャンネル』だって教えてくれなかったのよっ!』
やれやれ……忙しい時に面倒な電話がかかってきたなぁ。
お兄ちゃんはそう思った。
虎石に、昨日のゴブリン討伐の説明だ。
とは言っても、まどかが一撃で倒したため、特に話すこともなかった。
「ご苦労だった。とにかく、一般人や君たちが無事でよかった。
しかしゴブリンか……以前はスライムが多かったが、確実に少しずつモンスターは強力になっているな……」
「そうですね。スライムなら子供でも倒せますけど……ゴブリンは凶暴ですからね。
それもあんな街中に……」
「あの……ゴブリンはどこから現れたんでしょうか?
昨日、ゴブリンが現れた近くにダンジョンはありませんよね?」
花子が尋ねる。
「そうなんだよ。人間界に現れるモンスターがどこから発生しているのか、まだ分かっていないんだ……
そもそも、モンスターは異世界でしか生存できない。
人間界にいる事自体おかしいんだが……
近くにダンジョンがあれば、そこから逃げ出してきたのかと考えられるが、そういうわけではないようだ」
頭を抱える虎石。
「……となると、異世界から、突然ワープでもしてくると言うことでしょうか?」
アキラは錬成師の老婆の言っていた『トンネル』という話を虎石にする。
「ああ、金剛寺から聞いたよ。武者小路さんに錬成お願いしてるんだって?」
「む、武者小路!? あのお婆さんですか?」
人のこと言えないが、苗字だな……。九アキラは思った。
「そう、あの婆さんだ。私たちの師匠みたいな人だよ。
最近はモンスター災害のことも相談して、アドバイスをもらってるんだ。
あの人の予知はよく当たるからね。本当に『トンネル』からモンスターがワープしてきているのかもしれないな……」
「……どうすればモンスターの出現を食い止めることができるんですか?」
「……それは誰にも分からない。
ダンジョンができて、かれこれ30年が経つ。
なぜできたかのかも、分かっていないままだ。
そのダンジョンが、人間に危害を及ぼすんだったら……私はダンジョンそのものを壊すしかないと思っている……!」
虎石は真剣な眼差しで言う。
「ダ、ダンジョンを壊す!?」
「ああ、どうすれば壊せるのか? それはまだ分からない。
しかし、最高難易度レベル100のダンジョンに、何か秘密があるのではないかと私たちは考えている」
「レベル100……ですか」
「……まだ詳しい事は言えないが、レベル100のダンジョンの入り口も、目星がつき始めてるんだ。
その時が来たら、君たち政府公認冒険者にも協力してもらうつもりだ。
君たちは今まで通り冒険をして、さらなるパワーアップに努めてくれ!」
◇
虎石への報告が終わった帰り道。
「あの……アキラさんの部屋のダンジョンの事や、ガチャをパスしてレアアイテムを引きやすくする裏技……
そろそろ虎石さんたちに伝えたほうがいいんじゃないでしょうか……?」
花子は思い詰めたようにアキラに言う。
「うん……俺もそう思ってたところなんだよ。
モンスター災害なんて聞くと、今までみたいに俺たちだけ強くなればトップ配信者に近づける! なんて吞気なことを言ってられないよね……」
もうダンジョン配信を楽しむだけの時は、終わりが近づいてきていると感じる2人だった。
『ピピピピッ!』
その時、アキラのスマートフォンが鳴る。
「……ん? 凛??」
電話は妹の凛からだった。
『もしもし!? お兄ちゃん? 昨日のゴブリンのニュース見た!? あの女の子って……お兄ちゃんの部下の円山さんだよね!?』
「あー……うん。そうかも……」
キレの悪い返事をするアキラ。
『もー! なんで円山さんが『まどかチャンネル』だって教えてくれなかったのよっ!』
やれやれ……忙しい時に面倒な電話がかかってきたなぁ。
お兄ちゃんはそう思った。
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