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 配信を終え、部屋に戻ってきた3人。

「ふう……撮影ありがとうございましたわ。おかげでいい配信が出来ました」
 一仕事終えた まどかはヘルメットを脱ぎ、汗を拭きながら言う。

「よかったら、今後も『まどかチャンネル』のカメラマンとして雇って差し上げてもいいですわよ? フフッ」

「クッ! ……このガキィ!! アキラさん! 私たちも今すぐダンジョンへ行きましょう!」

「ま、まあ落ち着いて花子さん……」

「ダメですよ! まどかちゃんの配信を見てたでしょ? このままじゃ……『アキラちゃんねる』は喰われますよ!」
 大盛況だいせいきょうだった『まどかチャンネル』を見た花子は荒れていた。

「ふふふ、私の恐ろしさが今頃分かったようですわね! さて、今日のチップで新しい武器でも買いに行こうかしら?」
 大量のチップとチャンネル登録者を得たまどかは余裕の表情。

「キーッ! 行きますよ、アキラさん! さあ早くヘルメットを被って!」
 アキラに無理やりヘルメットを被せる花子。

「ちょ、ちょっと……って、このヘルメットはまどかちゃんの……!」

 それからというもの『アキラちゃんねる』と『まどかチャンネル』は競い合うように配信を続け、お互いチャンネルを成長させていった。

 ◇

 数週間後

 アキラと花子は貯まったダンジョンアイテムを売りに行こうと町へ出る。

「髭モジャ店長は元気かな?」

「久しぶりですね。何個か集まった強化石きょうかいしのことも聞いてみましょう」

「アイテムショップは初めてですわ! 楽しみです」

「……って、なんでアンタも付いてくるのよ?」
 まどかを睨みつける花子。

「う、うぅ……私、お買い物は1人で行ったことがありませんので……」

「チッ! これだから箱入はこいり娘は困ったもんですよ」

「い、いいじゃないか。たまには3人で! ねっ?」

「ふん、アキラさんはいつもまどかちゃんに甘いんだから!」
 ふてくされる花子。

 アキラと花子、そして付いて来たまどかの3人は前回アイテムを買った、髭モジャ店長の古アイテムショップへ向かう。

 ◇

「ここが俺たち行きつけのアイテムショップだよ」
 アキラは来店2回目の行きつけ? の店をまどかに紹介する。

「ここ……ですか。なんというか、思ったより汚……おもむきのある……コンパクトなお店ですわね……」
 古アイテムショップの外観を見て言葉に詰まるまどかであった。

「ここより、アッチの大きいアイテムショップがいいんじゃありませんか……?」

「……アッチの店はね、最悪なのよ! 思い出しただけで腹が立ってくるわ!」
 大型店舗での失礼な接客を思い出し、イラつく花子。

「はは……で、でもここはいい店なんだよ?」

 アキラが古アイテムショップの扉を開くと、店内から声が聞こえる。

「あれ? 今日はお客さんがいるみたいですね?」
 花子は中を覗き込む。カウンターで数人の客が髭モジャ店長と何やら話し込んでいるようだ。

「そうみたいだね。狭いお店だし、ちょっと外で待ってようか?」

 店の入り口で待つ3人。

『お願いしますよ。あなたに協力をお願いしたいんです』
『しつけェなぁ! とっとと出ていけ!』

 店内の何やら揉めているような会話が聞こえ漏れる。

「……なんでしょうね?」

 しばらくして客が出てくる。
 スーツを着た数人の男たちは困ったような表情で店をあとにする。

「うーん……こんな店に似つかわない客だね……さ、行こうか」

「おーっ、久しぶりだな! 生きてたか!」
 3人が店に入ると前と同じような豪快ごうかいなあいさつで迎え入れてくれる店長。

「お久しぶりです」

「お、嬢ちゃんもまた来たのか! あぁ? そのガキは初めてか?」
 店長はまどかをジロリと見る。

「は……はじめ……まして……」
 声と体の大きい、髭モジャ店長に怯えているまどか。おそらくお嬢様の彼女の人生で初めて会うタイプの人種なのだろう。

「んー? ボウズ、やるじゃねェか! また女を仲間に入れたのか?」

「ち、違いますよ!」
 慌てて否定するアキラ。

「で、どっちがお前の本命なんだ?」

「……まったく、相変わらず下品なおっさんね……この子も私たちと同じダンジョン配信者よ」
 花子は店長に言う。

「なに? このガキも? かーっ! 嫌だねェ、どいつもこいつも配信者か!」

「ひっ!」
 店長の言動ひとつひとつに怯えるまどか。

「このガキもあれか? 最近流行りのスカートをヒラヒラさせてパンツでも見せて配信してんのか? ガッハッハッハ!」

「サイテーね……このおっさんは……」

「カエル……カエリタイ……」

 あきれれる花子と涙目になるまどかだった。
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