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 まどかは続々とアイテムをダンボールから取り出す。

「次は……ヘルメットに合わせたピンクの衣装ですわ!」

 お姫様のようなヒラヒラの衣装だ。
 動きづらいそうだな……と思ったが、黙っていたアキラだった。

「子供っぽい服ですね……まどかちゃんはプリキュア世代ですかね? ボンバーマンにプリキュアって……」

「うるさいわね、おばさん! 私はあなたと違って若いのよ!」
 バカにしたように笑う花子に怒るまどか。
 その後もゴツいブーツや武器の剣など次から次へと出てくる。

「どんだけ買ったんだよ……爆買ばくがい中国人か!?」

「いいじゃない! アルバイトで頑張って貯めたお金ですわ!」

 ◇

 新しい衣装に着替えるまどか。

「ど、どうですかね……?」
 すこし恥ずかしそうに聞く。
 アイドルのようなヒラヒラでフリフリなしつこい服だが、不思議とまどかにはよく似合っていた。

「いいね! 似合ってるよ!」
「うん……うるさい感じがピッタリですね」

「うるさいって……失礼ね!
 あ、そういえば昨日の『アキラちゃんねる』の録画見ましたわ。あなたたちも新アイテム買ったようですわね」

「お! そうなんだよ。見てくれよ!」
 アキラは嬉しそうに『銀の盾』や『鋼の剣』を見せびらかす。

「ぐぐ……たしかに良いアイテムのようね」
 悔しそうにアキラのアイテムを見るまどか。

「そうだろう、どうだい? この輝き! さすがはレア度★★★☆☆って感じだろ?」

「レ、レア度★★★☆☆!? 初めて見たわ……いくらするのよ……」

 驚くまどか。この新アイテム達は『アキラちゃんねる』の全財産で買った、勝負のアイテムだ。
 高校生のまどかには、とても手の届かない値段なのだ。

「ふふふ、ちなみに……私のこの『防御の指輪』もレア度★★★☆☆ですよ?」

「えぇ!?」
 花子は指につけた輝く指輪をまどか見せつける。

「くっ……金に物を言わせて! 下品なチャンネルだわ!」
 悔しそうに歯を食いしばるまどかであった。

「あらあら、お子ちゃまにはとても買えないでしょくね! フフフ!」

「ク、クソババア! 大人気おとなげないわね!」

「花子さん……最近はアンタが悪い気がしてきたよ……」


 準備を終えたまどかはいよいよダンジョンへ向かう。
「さあ! 行くわよ。あなた達も準備は良いかしら?」

「あ、俺達も行くの?」

「当たり前でしょ! アキラちゃんねるのダンジョンは初めてだし、顔出し配信なんだからカメラマンが必要なのよ!」

 今までは『まどかチャンネル』はネックレス型のカメラで、前方だけ映せばよかったのだが、今日からはまどか本人を映す必要がある。

「ああ、俺たちはカメラマンか……」
「まあ……アキラさんのダンジョンで好き勝手されたら困りますからね。監視がてらついて行きましょう」

「……花子お姉さんは別に来なくてもよかったんですけどね……」

「ん? なんか言ったッ!?」

「いえ……なにも……」

「はは……。じゃあ……行こうか!」

 アキラは引き出しを開く。
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