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序章

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 「はっ──・・ふっ、うぅっ・・」

 首にあるゴツゴツとした男の手は、俺の反応を弄ぶかのように徐々に力が込められていく。

 首の圧迫感で、上手く呼吸が出来ずに醜く開かれた口からは涎が垂れていて、首から上が沸騰したかのように熱くて、必死に解ほどこうと自分の手を首にある手に伸ばすけれど、思うようにいかない。

 「くぅっ・・ふっ、くはぁっ・・」

 苦しい──・・死にそうだ。

 そう思った時、首にある手は知ってか知らずか、ギリギリのタイミングで少しの迷いもなく一気に手離した。

 その瞬間、俺の喉からはヒュッと空を切ったような、心許ない音が漏れる。

 「かはっ・・はぁ、あっ、んはぁっ」

 酸素を求めて慌てて空気を吸うと、咽び泣くように遠慮のない咳が出ている所を、更に遠慮のない手が再び俺の首を締め付けた。

 もう嫌だ───っ!止めてくれっ、やめてっ・・

 俺は、食い縛った歯の隙間から涎を飛び散らせ、汗と鼻水で顔を汚し、柄にもなくひっきりなしに涙を流した。
 なんで、こんなことになったんだっ───!?

 朦朧とする意識の中、痛みと苦しさの中には、確かに快楽もあった───・・

 全身が、どうしようもない程に甘く震えて、痺れるような快楽が。
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