1 / 38
一、転生人魚姫の悩み
しおりを挟む
海の真ん中で呟いても叶わないことはわかっている。それでも口にせずにはいられないことがあった。
「わたあめが食べたい……」
もう一度食べたい、懐かしいお菓子の名前。
空と海の境目から生まれたような入道雲。白くふわふわとしたそれは祭りや縁日で売られていた綿菓子を彷彿とさせる。舌に乗せれば瞬く間に消え、口の中に広がる砂糖の甘さ。
「こんなことになるのなら、もっとたくさん食べておけば良かったのよね」
懐かしさに少しだけ泣きたくなった。
もしかして私、今、大人気ないと思われたかしら……。でもでも、大人だって恋しくなるのよ、あの味が! 子どもが並んでいるところに混じって買いにくいだとか、遠慮なんてしなければ良かったのよね。二度と食べられなくなることがわかっていたらもっとたくさん食べたのに!
いくら後悔したって遅いけれど、こんなことになるなんて一体誰に想像が出来た?
「まさか生まれ変わって人魚になるなんて思わないでしょう!?」
やり場のない憤りにばしばしと海面を叩く。
雲を見上げる私は陸地から遠く離れ、見渡す限りの海の真ん中にぽつりと浮かんでいる。決して遭難しているわけではありません。上半身は人間と同じだけれど、私の腰から下は青い鱗に覆われている。
私の名前はエスティーナ。見ての通り、人魚よ。
けれどそれとは別にもう一人、私には別の世界で人間として生きた記憶があった。体験したこともないような経験に、知るはずもない知識が蓄積されてたのだから混乱もしたけれど、ある一言がすんなりと現状を受け入れさせてくれたわ。
これが異世界転生――ってね。
ここは異世界? 生まれ変わって二度目の人生? その手の小説ならお腹いっぱい読んできたもの、私は大人しく新しい人生を全うするだけよ。
そうして現実を受け入れ辺りを見渡すと、この世界は私が生きた世界とは明らかに違っていた。
かつて私が生きていた世界で人魚は空想上の生き物。絵本や物語の中にしか登場しないことは発達した文明によって証明済み。人ですら深海までたどり着けるのだから思い返せば凄い時代だったと思う。
この世界の文明は、まだそこまでの発展を見せてはいない。海から何度か港町の様子を偵察したこともあるけれど、コンクリートのビルなんて一つも存在していなかった。町行く人たちの服装も、まるで歴史の授業。西洋ファンタジーの世界を覗いているみたいだった。
ところで前世の私についてだけれど。前世の私はよほど働き者だったのね。思い出す場面ではひたすら仕事に打ち込んでいたわ。
毎日書類を相手にしては机に向かっていた。常に疲労と肩こりに悩まされていたけれど、その点人魚は素晴らしいわね。立って机に向かう必要がないのよ。
まあそれはいいとして、人魚には他に重大な問題があった。ええ、それはもう大問題よ……
「どうして人魚はお腹が空かないのよー!!」
仕事を頑張った自分へのご褒美って、なんだった?
私にとってのご褒美はね、美味しい物だったわ。
辛い仕事もその後に待ち受けているごはんのことを思えば頑張ることが出来た。奮発して、ちょっといいお肉を食べたり。おかわり自由のレストランで端から順にお皿に盛ったり。限定スイーツのために何時間も並んだり。そんなことが日々の楽しみだった。もちろん小説や漫画も楽しみの一つだけれど。
朝から晩まで働いて、時には残業もして徹夜して。仕事帰りにはコンビニでごはんを買うのが日課。季節によって品を変えるコンビニは私の心を掴んで離さず、頑張った日には贅沢にデザートも添えたわ。
休みの日にはネットでおすすめの店を訪ねた。そこに美味しいと評判の料理やお菓子が待っているのなら、何時間でも並んでいられたわ。
ボーナスが入った日には高級ホテルのレストランでディナー。ホテルの雰囲気や、食事に恥じない自分になりたくて、このためだけに精一杯のおめかしとテーブルマナーを学んだ。
そうして美味しいものを食べて、また仕事に戻る日々。長く働くうちに難しい仕事も任されるようになった。後輩もできて、責任も生まれて、時には酷く疲れてしまうこともある。でも美味しいものを食べたのなら、また頑張ろうと思えた。
けど人魚なんてやってたら永遠にチャンスはないじゃない! 海水飲み放題!? そんなの嬉しくないわよ! やってられないわ! 私はごはんが食べたいの!!
だって私は知っている。前世で食べていた料理の美味しさを、食材の味を。身体が、舌が、脳が憶えている。
はっきり言いましょう。私は一つ、仲間に隠していることがある。十七年間、ひた隠しにしてきた私の本当の思い。それは……
「野菜が食べたい。お肉が食べたい。魚が食べたーい!!」
転生してから十七年、この感情は禁断症状のように募っていくばかり。こうして人間がいない海の中心で欲望を叫ぶことが現在私の日課だ。
虚しいって言わないで!
通常人魚は海面に姿を見せることはしない。海の中だと誰に聞かれるかもしれないけれど、こうして海から顔を出してしまえば叫び放題なのよ。滅多に船も通らないしね。
けれどいつまでも見上げていて涎が伝うなんてはしたないわ。いくら見上げても雲は食べられないし、千切れもしないのよ。
思いきって背後に倒れ込むと優しい海が私を受け止めてくれる。どれだけ沈んでも、どれほど長く潜っていても、息が苦しくなることはない。見渡す限りの海を前に、自分が人魚なのだと改めて自覚する。
波に身を任せて漂えば、海の世界はどこまでも自由だ。視線の先では前世の海では見たこともないような色鮮やかな魚たちが泳ぎ回り、彼らも自由気ままであることを見せつけられる。
塩焼き、寿司、刺身、てんぷら、煮付け、ソテー、ムニエル……
「はっ! 落ち着きなさい、私!」
揺れる海藻を見ればワカメか昆布か……貝殻を見れば真珠よりも牡蠣……
「ううぅ……私ってば人魚失格ね」
情緒の欠片もない。ファンタジーの王道・人魚に転生したっていうのに思い返すのはごはん、ごはん、そしてごはんのことばかり。
仮にも父親はこの海を統べる王。これでもれっきとした人魚の姫、人魚姫だっていうのに私ったら……
「ここに王子様がいたら残念な人魚姫だって、呆れられてしまうのよ。こんな人魚姫でもいいと言ってくれる王子様はいるかしら……」
でもごはんが食べたーい!!
この時の私はまだ知らずにいた。後悔十七年目にして転機が訪れることを。
「わたあめが食べたい……」
もう一度食べたい、懐かしいお菓子の名前。
空と海の境目から生まれたような入道雲。白くふわふわとしたそれは祭りや縁日で売られていた綿菓子を彷彿とさせる。舌に乗せれば瞬く間に消え、口の中に広がる砂糖の甘さ。
「こんなことになるのなら、もっとたくさん食べておけば良かったのよね」
懐かしさに少しだけ泣きたくなった。
もしかして私、今、大人気ないと思われたかしら……。でもでも、大人だって恋しくなるのよ、あの味が! 子どもが並んでいるところに混じって買いにくいだとか、遠慮なんてしなければ良かったのよね。二度と食べられなくなることがわかっていたらもっとたくさん食べたのに!
いくら後悔したって遅いけれど、こんなことになるなんて一体誰に想像が出来た?
「まさか生まれ変わって人魚になるなんて思わないでしょう!?」
やり場のない憤りにばしばしと海面を叩く。
雲を見上げる私は陸地から遠く離れ、見渡す限りの海の真ん中にぽつりと浮かんでいる。決して遭難しているわけではありません。上半身は人間と同じだけれど、私の腰から下は青い鱗に覆われている。
私の名前はエスティーナ。見ての通り、人魚よ。
けれどそれとは別にもう一人、私には別の世界で人間として生きた記憶があった。体験したこともないような経験に、知るはずもない知識が蓄積されてたのだから混乱もしたけれど、ある一言がすんなりと現状を受け入れさせてくれたわ。
これが異世界転生――ってね。
ここは異世界? 生まれ変わって二度目の人生? その手の小説ならお腹いっぱい読んできたもの、私は大人しく新しい人生を全うするだけよ。
そうして現実を受け入れ辺りを見渡すと、この世界は私が生きた世界とは明らかに違っていた。
かつて私が生きていた世界で人魚は空想上の生き物。絵本や物語の中にしか登場しないことは発達した文明によって証明済み。人ですら深海までたどり着けるのだから思い返せば凄い時代だったと思う。
この世界の文明は、まだそこまでの発展を見せてはいない。海から何度か港町の様子を偵察したこともあるけれど、コンクリートのビルなんて一つも存在していなかった。町行く人たちの服装も、まるで歴史の授業。西洋ファンタジーの世界を覗いているみたいだった。
ところで前世の私についてだけれど。前世の私はよほど働き者だったのね。思い出す場面ではひたすら仕事に打ち込んでいたわ。
毎日書類を相手にしては机に向かっていた。常に疲労と肩こりに悩まされていたけれど、その点人魚は素晴らしいわね。立って机に向かう必要がないのよ。
まあそれはいいとして、人魚には他に重大な問題があった。ええ、それはもう大問題よ……
「どうして人魚はお腹が空かないのよー!!」
仕事を頑張った自分へのご褒美って、なんだった?
私にとってのご褒美はね、美味しい物だったわ。
辛い仕事もその後に待ち受けているごはんのことを思えば頑張ることが出来た。奮発して、ちょっといいお肉を食べたり。おかわり自由のレストランで端から順にお皿に盛ったり。限定スイーツのために何時間も並んだり。そんなことが日々の楽しみだった。もちろん小説や漫画も楽しみの一つだけれど。
朝から晩まで働いて、時には残業もして徹夜して。仕事帰りにはコンビニでごはんを買うのが日課。季節によって品を変えるコンビニは私の心を掴んで離さず、頑張った日には贅沢にデザートも添えたわ。
休みの日にはネットでおすすめの店を訪ねた。そこに美味しいと評判の料理やお菓子が待っているのなら、何時間でも並んでいられたわ。
ボーナスが入った日には高級ホテルのレストランでディナー。ホテルの雰囲気や、食事に恥じない自分になりたくて、このためだけに精一杯のおめかしとテーブルマナーを学んだ。
そうして美味しいものを食べて、また仕事に戻る日々。長く働くうちに難しい仕事も任されるようになった。後輩もできて、責任も生まれて、時には酷く疲れてしまうこともある。でも美味しいものを食べたのなら、また頑張ろうと思えた。
けど人魚なんてやってたら永遠にチャンスはないじゃない! 海水飲み放題!? そんなの嬉しくないわよ! やってられないわ! 私はごはんが食べたいの!!
だって私は知っている。前世で食べていた料理の美味しさを、食材の味を。身体が、舌が、脳が憶えている。
はっきり言いましょう。私は一つ、仲間に隠していることがある。十七年間、ひた隠しにしてきた私の本当の思い。それは……
「野菜が食べたい。お肉が食べたい。魚が食べたーい!!」
転生してから十七年、この感情は禁断症状のように募っていくばかり。こうして人間がいない海の中心で欲望を叫ぶことが現在私の日課だ。
虚しいって言わないで!
通常人魚は海面に姿を見せることはしない。海の中だと誰に聞かれるかもしれないけれど、こうして海から顔を出してしまえば叫び放題なのよ。滅多に船も通らないしね。
けれどいつまでも見上げていて涎が伝うなんてはしたないわ。いくら見上げても雲は食べられないし、千切れもしないのよ。
思いきって背後に倒れ込むと優しい海が私を受け止めてくれる。どれだけ沈んでも、どれほど長く潜っていても、息が苦しくなることはない。見渡す限りの海を前に、自分が人魚なのだと改めて自覚する。
波に身を任せて漂えば、海の世界はどこまでも自由だ。視線の先では前世の海では見たこともないような色鮮やかな魚たちが泳ぎ回り、彼らも自由気ままであることを見せつけられる。
塩焼き、寿司、刺身、てんぷら、煮付け、ソテー、ムニエル……
「はっ! 落ち着きなさい、私!」
揺れる海藻を見ればワカメか昆布か……貝殻を見れば真珠よりも牡蠣……
「ううぅ……私ってば人魚失格ね」
情緒の欠片もない。ファンタジーの王道・人魚に転生したっていうのに思い返すのはごはん、ごはん、そしてごはんのことばかり。
仮にも父親はこの海を統べる王。これでもれっきとした人魚の姫、人魚姫だっていうのに私ったら……
「ここに王子様がいたら残念な人魚姫だって、呆れられてしまうのよ。こんな人魚姫でもいいと言ってくれる王子様はいるかしら……」
でもごはんが食べたーい!!
この時の私はまだ知らずにいた。後悔十七年目にして転機が訪れることを。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
闇黒の悪役令嬢は溺愛される
葵川真衣
恋愛
公爵令嬢リアは十歳のときに、転生していることを知る。
今は二度目の人生だ。
十六歳の舞踏会、皇太子ジークハルトから、婚約破棄を突き付けられる。
記憶を得たリアは前世同様、世界を旅する決意をする。
前世の仲間と、冒険の日々を送ろう!
婚約破棄された後、すぐ帝都を出られるように、リアは旅の支度をし、舞踏会に向かった。
だが、その夜、前世と異なる出来事が起きて──!?
悪役令嬢、溺愛物語。
☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる