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8、さようなら休憩期間
さびた包丁
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突然やってくるものは、また突然去っていく。
当然のことだ。
嵐が来るのも、それが去るのも、人間が制御できることではない。
出会いと別れもそれと同じ。
まして、伸幸は、現れるのも消えるのも、予測のつかない嵐のようなものだった。
瞬は、いっとき、嵐に吹かれる葉っぱのようなものだっただけだ。
寄る辺ない葉っぱのような生き方。
それを選んできたのも、瞬自身だ。
これからも葉っぱでいるのか。
それとも、何か別の生き方をするのか。
(また、『生きて』みようか)
瞬は考えた。
特定の誰かのために料理を作るのは、その誰かがいなくなったとき寂しいから。
不特定の誰かのために、何かを作ってみようか。
不特定の誰かが、「おいしい」と笑ってくれたら。
好きなひとと暮らせる幸せの、何分の一かにはならないだろうか。
瞬はこの部屋へ引っ越してきてから、一度も手を触れていない荷物を開けた。
バイトしてゼリーを飲んで眠るだけの毎日に必要のない、封印していた品々。
荷物の奥から、布と新聞紙に厳重に包まれた仕事道具を取りだした。
包みを一枚、一枚をめくっていく。
すっかり鈍い色にくすんだ包丁が現れた。
自分の腕と同じようにさび付いた包丁たち。
自分の舌も、気持ちも、同じくらいにさびている。
瞬はそれを台所に持っていった。
一緒に出てきた砥石を使い、一本一本砥いでいった。
腕や舌は包丁と同じようには輝かないが。
瞬は求職サイトに登録してみた。
当然のことだ。
嵐が来るのも、それが去るのも、人間が制御できることではない。
出会いと別れもそれと同じ。
まして、伸幸は、現れるのも消えるのも、予測のつかない嵐のようなものだった。
瞬は、いっとき、嵐に吹かれる葉っぱのようなものだっただけだ。
寄る辺ない葉っぱのような生き方。
それを選んできたのも、瞬自身だ。
これからも葉っぱでいるのか。
それとも、何か別の生き方をするのか。
(また、『生きて』みようか)
瞬は考えた。
特定の誰かのために料理を作るのは、その誰かがいなくなったとき寂しいから。
不特定の誰かのために、何かを作ってみようか。
不特定の誰かが、「おいしい」と笑ってくれたら。
好きなひとと暮らせる幸せの、何分の一かにはならないだろうか。
瞬はこの部屋へ引っ越してきてから、一度も手を触れていない荷物を開けた。
バイトしてゼリーを飲んで眠るだけの毎日に必要のない、封印していた品々。
荷物の奥から、布と新聞紙に厳重に包まれた仕事道具を取りだした。
包みを一枚、一枚をめくっていく。
すっかり鈍い色にくすんだ包丁が現れた。
自分の腕と同じようにさび付いた包丁たち。
自分の舌も、気持ちも、同じくらいにさびている。
瞬はそれを台所に持っていった。
一緒に出てきた砥石を使い、一本一本砥いでいった。
腕や舌は包丁と同じようには輝かないが。
瞬は求職サイトに登録してみた。
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