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6、味覚の戻る日
長くて短い夜が
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ふたりは大急ぎで食器を片づけ、残った食材を冷蔵庫に入れた。
代わる代わる風呂を使うと、長くて短い夜が待っている。
瞬のバイトは朝が早いし、食の細い瞬はあまり体力がなくて、寝不足するとフラフラになる。伸幸はそんな瞬を気づかって、いつも早く寝かせようとしてくれる。
バスルームから出た瞬がふとんにもぐりこむと、伸幸がその身体に腕を回した。
伸幸の胸に抱かれていると、瞬の鼓動が速くなる。
瞬は自分のまぶたに、頬に、伸幸の唇が触れるのを感じる。
そのたびチュッと高めの音がして、子供同士の遊びのキスの音のようなのに、この進む先はそれとは全く違っていることを、大人の瞬は知っている。
そのギャップは、瞬の感覚を鋭くした。
「あ……」
ピクリと瞬の身体が反る。
伸幸が舌でつついて呼びさました瞬の胸のつぼみを、容赦なく歯でかんだのだ。
舌でこすられながら、痛みになるギリギリの力加減で、息を継ごうとするたびにかまれ続けた。
「あ……あ……あ……っ」
息ができなくて耐えきれず代わりに声が出てしまう。かまれていない方のつぼみは指で攻められ、どうにかなってしまいそうだ。
「伸幸……さんっ……あ……」
つぼみをかみ続ける伸幸の歯のすきまから、苦しげな吐息が漏れていた。伸幸も自分の欲望が走り出さないようブレーキをかけている。瞬にはそれが分かった。
瞬はイヤイヤをするように首を振った。
「もうやめて……ストップストップ」
頼むから。
瞬の懇願に、伸幸はようやく口を離した。
あまりの感覚にパニックを起こしそうになっている瞬の耳許に、伸幸は吹きこんだ。
「気持ちよかった?」
「んっ」
耳に熱い息がかかって、瞬はまたピクリとふるえてしまう。
伸幸の指が、ずっとかまれてぷっくりふくれたつぼみをぬるぬると愛しつづけている。
「気持ちいい。気持ちいいから、伸幸さん」
瞬は自分の胸の上で動き続ける伸幸の手を握ってとめた。
「もうそこはいいから」
胸も、耳も。
こんなに自分を追いつめることがあるとは知らなかった。
痛みを経た先にある快感ではなくて。
痛みを起こさないギリギリのところの強い感覚。
快楽ってこういう感覚のことだったのかと、瞬は飛んでしまった意識のどこかでそう思う。
(俺はこれまで、大した「感覚」を感じてこなかったのかもしれない……)
悲しいのか、幸せなのか、瞬には分からない。
分からないまま、瞬は伸幸に翻弄されていた。
代わる代わる風呂を使うと、長くて短い夜が待っている。
瞬のバイトは朝が早いし、食の細い瞬はあまり体力がなくて、寝不足するとフラフラになる。伸幸はそんな瞬を気づかって、いつも早く寝かせようとしてくれる。
バスルームから出た瞬がふとんにもぐりこむと、伸幸がその身体に腕を回した。
伸幸の胸に抱かれていると、瞬の鼓動が速くなる。
瞬は自分のまぶたに、頬に、伸幸の唇が触れるのを感じる。
そのたびチュッと高めの音がして、子供同士の遊びのキスの音のようなのに、この進む先はそれとは全く違っていることを、大人の瞬は知っている。
そのギャップは、瞬の感覚を鋭くした。
「あ……」
ピクリと瞬の身体が反る。
伸幸が舌でつついて呼びさました瞬の胸のつぼみを、容赦なく歯でかんだのだ。
舌でこすられながら、痛みになるギリギリの力加減で、息を継ごうとするたびにかまれ続けた。
「あ……あ……あ……っ」
息ができなくて耐えきれず代わりに声が出てしまう。かまれていない方のつぼみは指で攻められ、どうにかなってしまいそうだ。
「伸幸……さんっ……あ……」
つぼみをかみ続ける伸幸の歯のすきまから、苦しげな吐息が漏れていた。伸幸も自分の欲望が走り出さないようブレーキをかけている。瞬にはそれが分かった。
瞬はイヤイヤをするように首を振った。
「もうやめて……ストップストップ」
頼むから。
瞬の懇願に、伸幸はようやく口を離した。
あまりの感覚にパニックを起こしそうになっている瞬の耳許に、伸幸は吹きこんだ。
「気持ちよかった?」
「んっ」
耳に熱い息がかかって、瞬はまたピクリとふるえてしまう。
伸幸の指が、ずっとかまれてぷっくりふくれたつぼみをぬるぬると愛しつづけている。
「気持ちいい。気持ちいいから、伸幸さん」
瞬は自分の胸の上で動き続ける伸幸の手を握ってとめた。
「もうそこはいいから」
胸も、耳も。
こんなに自分を追いつめることがあるとは知らなかった。
痛みを経た先にある快感ではなくて。
痛みを起こさないギリギリのところの強い感覚。
快楽ってこういう感覚のことだったのかと、瞬は飛んでしまった意識のどこかでそう思う。
(俺はこれまで、大した「感覚」を感じてこなかったのかもしれない……)
悲しいのか、幸せなのか、瞬には分からない。
分からないまま、瞬は伸幸に翻弄されていた。
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