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5、優しくって、ひどいひと
ふたりでお茶を
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「あんたさあ。そんなんだから愛想つかされたんじゃねーの?」
「え?」
「だから……誠さん、だよ」
何でこの流れできょとんとしてられるんだ。瞬はイラッとした。
「……ああ」
伸幸はスポンジを持ったまま肩をすくめた。
「『そんなん』って?」
「連絡くらいしろってこと。驚くじゃんか、予定も何もあったもんじゃないし」
メシが終わって伸幸がそれを片づけて。
その横で、瞬は湯を沸かした。
こうかいがいしくされちゃ、茶でも淹れないと落ちつかない。
「連絡な。俺の苦手なヤツ」
伸幸は洗った食器をふきんで拭きあげながらニヤリと笑った。
その横顔はまた瞬をイラッとさせる。
「だろーね」
やかんがピーと鳴った。
瞬は茶葉を入れた急須に湯を注いだ。伸幸の腕にはねないよう、ゆっくりと。
「俺の番号教えたろ? ショートメッセージでもいいんだからさ」
無精にもほどがある。
瞬はむっとしたままカップに茶を淹れ、台所を離れた。
背後で伸幸が小さな食器棚に皿をしまう音がする。
かちゃかちゃ。ことり。からから。
懐かしいような、小さな頃を思いだすような。
生活の、音だ。
この部屋にいるときは、瞬の手料理を食べるために、伸幸はいそいそと買いものをしたり、食器を片づけたりする。
瞬にも優しい。
なぜだか瞬の顔を見ると、いつもにこにこと笑っている。
なのに、一旦部屋を出ると、次にいつ戻ってくるのか分からない。予定も知らされないし連絡もない。
「ごめんな。俺、ひとつのことに集中すると、ほか全部忘れちゃうから」
伸幸は瞬の淹れた茶のカップを持って、しゅんとしおれた。
「まあ、どうせそうなんだろうね」
瞬はカップを持ってない方の肘をテーブルについて、そっぽを向いた。
瞬の背中が温かくなった。
伸幸が瞬の背に寄りかかっていた。
(抱けば何とかなると思ってんのか)
瞬はまた何か毒づいてやろうと思って口を開いた。
なのに。
「あんたは……優しいのか、ひどいヤツなのか、どっちだよ」
カップをテーブルに置いて、伸幸は瞬の身体に腕を回した。
瞬の指から瞬のカップを取り上げて。
「さあ……どっちかな」
伸幸は「俺にもよく分からないよ」と呟いて瞬の首筋にキスをした。
「え?」
「だから……誠さん、だよ」
何でこの流れできょとんとしてられるんだ。瞬はイラッとした。
「……ああ」
伸幸はスポンジを持ったまま肩をすくめた。
「『そんなん』って?」
「連絡くらいしろってこと。驚くじゃんか、予定も何もあったもんじゃないし」
メシが終わって伸幸がそれを片づけて。
その横で、瞬は湯を沸かした。
こうかいがいしくされちゃ、茶でも淹れないと落ちつかない。
「連絡な。俺の苦手なヤツ」
伸幸は洗った食器をふきんで拭きあげながらニヤリと笑った。
その横顔はまた瞬をイラッとさせる。
「だろーね」
やかんがピーと鳴った。
瞬は茶葉を入れた急須に湯を注いだ。伸幸の腕にはねないよう、ゆっくりと。
「俺の番号教えたろ? ショートメッセージでもいいんだからさ」
無精にもほどがある。
瞬はむっとしたままカップに茶を淹れ、台所を離れた。
背後で伸幸が小さな食器棚に皿をしまう音がする。
かちゃかちゃ。ことり。からから。
懐かしいような、小さな頃を思いだすような。
生活の、音だ。
この部屋にいるときは、瞬の手料理を食べるために、伸幸はいそいそと買いものをしたり、食器を片づけたりする。
瞬にも優しい。
なぜだか瞬の顔を見ると、いつもにこにこと笑っている。
なのに、一旦部屋を出ると、次にいつ戻ってくるのか分からない。予定も知らされないし連絡もない。
「ごめんな。俺、ひとつのことに集中すると、ほか全部忘れちゃうから」
伸幸は瞬の淹れた茶のカップを持って、しゅんとしおれた。
「まあ、どうせそうなんだろうね」
瞬はカップを持ってない方の肘をテーブルについて、そっぽを向いた。
瞬の背中が温かくなった。
伸幸が瞬の背に寄りかかっていた。
(抱けば何とかなると思ってんのか)
瞬はまた何か毒づいてやろうと思って口を開いた。
なのに。
「あんたは……優しいのか、ひどいヤツなのか、どっちだよ」
カップをテーブルに置いて、伸幸は瞬の身体に腕を回した。
瞬の指から瞬のカップを取り上げて。
「さあ……どっちかな」
伸幸は「俺にもよく分からないよ」と呟いて瞬の首筋にキスをした。
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