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番外編【【俺のSub】】前

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 まったくもってやっかいだと、冬真は一人思っていた。
 自分の大事なSubである力也が希に見るほど優秀で、グレアに対する抵抗力もあり、仲間達を守っていけるぐらい優しく強い。
 更に、頼りがいのあるSランクのサポートタイプで、物事に対する飲み込みも早く、人望もある。まだ未熟な自分さえも引っ張ってくれ、いつでも支えてくれる。
 最高のSubだと、胸を張って言えるのに、時にこうして面倒ごとも持ってくる。
 甘やかし過ぎているとか、手綱をゆるめすぎだとか言われるが、自由を奪いたくない。
 仲間を守り、ひたすら前に進む力也がまぶしく、冬真は大好きなのだ。


 王のSubに興味を持った海外のDomが尋ねてくると傑に言われ、冬真はすぐにその相手が力也を狙っているのではないかと思った。
 パートナーはいると言っていたが会いにくると言いながら、王のSubである力也を手に入れたいと思っているのだと決めつけた。
 いくら珍しい王のSubだとはいえ、わざわざここまで尋ねてくるにはそれなりの理由や目的があるはずだ。そう思ったのは冬真だけでなく傑もそう思ったらしく力也にはパートナーがいることも、会って話しをするだけならばオンラインをつなげると言ったのだが、相手はそれを断った。
 本人が言うには王のSubとして教育中の自分のSubの参考にしたいから、実際に会って見たいらしい。

「って事で、気が進まないのはわかるが。少しだけでも来れるか?」

 その電話がかかってきたとき、二人きりの甘い時間を過ごしていた冬真は、眠ったままの力也の頭を撫でながら傑の話に顔をしかめた。
 今日の力也も可愛かった。王のSubでありながらPlayではこれほど可愛い力也をみて、ただ会いに来ただけですむわけがない。

「それって断ることできないんですか?」
「気持ちはわかるが、協力関係にあるDomだからなるべくなら叶えたい」
「わかりました。でも、まず俺が会ってからでいいですか? 力也に会わせても大丈夫だって思ったら呼ぶんで」
「ああ、それで構わない」

 そうして、せっかくの一緒の休みの日に冬真は朝から傑のマンションに来ていた。
 相手の情報を詳しく聞き、本人が来るのを待っていると約束の時間を過ぎてマンションに誰かが来たらしくマコが対応した。
 驚いた顔をしたマコが、チラリとこちらを見たので、なにが合ったのかと思えば、何故か力也が一緒に来た。
 結局、当初の予定は全て意味がなくなってしまったが、色々あり力也に手出しをされることはなかった。相手は予想以上に気に食わない人物だったが、力也に影響を及ぼすほどの力はなかったのだ。
 それでも、散々冬真を煽ったことで険悪になり、結果力也がSubモードに入った。
 “Present”に応じ首を晒しおねだりした姿はとても愛らしかった。
 
(可愛すぎんだろ)

 速攻連れて帰って可愛がりたいのを抑えつつ、話しを済ませ力也を連れ自宅へ帰ってきた。力也の母にリビングに近づかないように言い渡し、そのままその唇を貪るように奪った。
 触れるだけのキスを繰り返し、少し口を離すと唇を舐める。

「力也、舌だせ」

 言われて素直にだした舌に、絡ませるというよりも舌同士をキスするように何度も触れさせる。
軽く触れ合わせるのが面白いのだろう、楽しそうな力也の頭を抑え自分が噛み跡を残した場所と同じ場所へくっつける。

「力也、さっき俺がしたみたいに証つけてみろよ」
「え」

 跡を残すために少し力を入れて噛んだのを覚えている為、躊躇う様子を見せる力也の頭を抑え逃げないように自らの首元に押しつける。

「どうした? やり方わからないか?」

 力也は首元に押しつけられた顔をあげ、わからない訳ではないが、やりたくないと言うように冬真を見つめ返した。

「これお仕置き?」

 冬真の命令だとしても嫌だと拒否することもできるが、前例があるためお仕置きからもしれないと考え拒否できずに聞き返した。

「お仕置きじゃないとできないか?」
「やりたくない」

 NGはないと言う力也だが、この手の命令は苦手としているため珍しくそういった。

「うーん、じゃあキスマークにしてやるよ」
「ありがとう」
「その代わり、沢山つけろよ」
「・・・・・・メイクさんに怒られる」
「力也がわがまま言うから仕方ないな」

 これ以上譲歩するつもりはないと言うように、言い返せば力也は押し黙り諦めたように首筋に唇を押し当てた。
 噛むのを嫌がった代わりというように、何度か唇で首筋をハムハムと挟み、強く吸い付く。沢山という言葉通り、場所を変え何度もキスマークをつけるように吸い付いていく。

「うまくついたか?」
「ついた」
「力也、Take」【とってこい】

 そう言えばすぐに力也はテーブルの上にあった鏡を持ち、戻ってくると手渡した。
 貰った鏡で、首元を確認すれば“駆け出しのくせに浮かれるな”と言われてしまいそうな程、はっきりとしたキスマークがいくつもついていた。

「どう?」
「Good」【よし】

 マネージャーに怒られるのを想像し、笑えば、逆に力也は軽く睨んだ。

「こら、なんだよその顔。お前が嫌って言うから変えてやったんだろ」

 その反応に全てがわざとだとわかったが、折れてもらっている手前文句を言えず、力也は目線をそらした。

「これはお仕置き追加かな」

 そう言われ、力也は唇をとがらせた。その唇を奪い濃厚なキスをする。

「力也、さっきはよくできたな。偉かった」
「よかった」

 あの場では軽く褒められただけだったが、もう一度褒めたくて褒めればもっとと言うように力也は体を寄せてきた。
 普段どのような姿であってもこうして、何の気兼ねなく甘えることができる関係を築けている事が二人の関係がうまくいっている証だ。
 ライナーが言っていた通り、真面目で頼りがいのある力也の普段の姿しか知らない人はこの姿を見ると驚くだろうが、冬真や親しい者達には既に馴染みの姿になっている。
 言われるがまま取り繕った姿だけしか引き出せないご主人様では本当のご主人様トは言えない。
 犬でいえば、腹をだし無防備に眠り、悪戯をして飼い主を困らせる。それが本当に心を許していると言え、それが冬真や王華学校出身のDom達が目指す姿だ。
 例え、お仕置きをしたとしてもこうして気兼ねなく甘え、わがままを言ってくれる姿こそご主人様としての自分の価値がある。

「もう怒ってない?」
「それとこれとは別」

 こうしてなかったことにしようとするのは困ったところだが。

「お仕置きからは逃げれないからな」
「別に逃げようとしたわけじゃないけど」

 さすがに今日の内容が不味かったことがわかっている力也は、目線をそらした。とはいえお仕置きが嫌な訳でもない。

「じゃあ、なんて言うんだ?」
「また心配かけた俺をお仕置きしてください」
「いいこだ」

 お仕置きと言いながら甘えるように体を寄せてきた力也を撫で、首筋にキスをした。


「冬真」
「力也、俺話していいって言ったっけ?」
「言ってない」

 目の前には秘部を無防備に晒し、興奮と期待で息を荒くする目隠しされた力也がいる。
 クスコと言う器具で、ギリギリまで広げられた内部は力也が息をする度に、冬真を欲しがるようにうごめく。
 身動きできないようにベンチプレスに両足を皮で固定され、両手は本来重りが乗っている場所に手錠によって固定されている。今日はそれだけでなく、可愛がって貰えるとわかった瞬間立ち上がり、期待に涎を流す力也の自身も自由を奪われている。
 根元を縛られ、欲を吐き出すこともできずに、いるそこを突けば力也の息が荒くなる。

「話すなって言ったけど、噛むなよ?」

 声を耐えすぎて口の中に怪我をさせる気はないのでそう言えば、力也は頷いた。
元々、話すなとは言ってあるが、声を出すなとは言っていない。だが、そう言ってしまえば声を出すことも我慢するかもしれない。

(まあ、耐えられるもんでもないけどな)

 どうせ耐えきれないだろうと思いつつ、冬真は手にしたそれで力也の体を一撫でした。
 何をあてられたのか、目隠しされている所為でわからないのだろう。ピクッと力也の体が強ばり軽く震えた。
 よく使われる優しくくすぐったい感触の羽根などよりもしっかりとした硬さでありながら、傷つけない柔らかさで羽根よりも広い範囲を刺激できる。
 無論、羽根も用意してあるし、他にも色々使えそうな物も用意してある。達射できないように縛ってあるので、敏感な力也はイキたくてもイクこともできず耐えるしかない。
 外気に晒され、軽く立っている乳首を撫でれば、力也の体が震えた。羽根よりもはっきりとした刺激を与える固めの草の草でできたそれは、天然素材でできた狭いところや棚の上などを掃く時に使う小さい箒だ。
 古い傷痕が未だに残っている所為で更に敏感になっている体中を撫でるように掃いていくと力の入れ方によっては軽い筋ができる。
 草でできているため、力を入れても白い筋ができるだけで血が出るほどの傷になることはないが、敏感な場所には十分な刺激になる。

「気持ちいいか?」
「っつ・・・・・・」

 動かない体をよじらせ耐える姿に嗜虐心が沸き起こり、もっといじめたいとDomの本能が騒ぎ出す。
 チクチクとした痛みと、擦っていく痛みは痛すぎる事もなく、敏感な乳首を刺激する。硬さを帯び立ち上がる乳首を繰り返し掃けば、その度に途切れ途切れに艶めく声が上がる。
 
「にしても俺の力也は何でこうも色々巻き込まれるかな」

 問いかけのように聞こえる言い方に、一度力也は口を開きかけるが、先ほどの事を思い出し口を閉じた。

「せっかく、黙ってでてきたのに無駄になったじゃないか」
(って言われてもな)

 声に出して答えたくとも、話すなという命令は続いている為それもできない。目隠しもされているので、目で訴えることもできず、冬真の顔色をうかがうこともできない。

「どうせ警戒しすぎだとか思ってんだろ。余計なお世話って」
(警戒しすぎだと思ってはいるけど)

 正直打たれ強く、体力もDomに対する抵抗力もある自分相手に、そこまで警戒する必要はないだろうと力也も思ってはいる。だが、何度も巻き込んで、そのたびに心配させている自覚もあるので、余計なお世話とも言えない。
それとは別で、冬真のその愛情たっぷりの独占欲と支配欲が心地よく嬉しい。支配されるのを幸せと思うSubらしい想いもあるが、力也には同時に自由に生きたいという想いもある。

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