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第二十五話【気の所為】後
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「じゃあ、忍者が逃げる車をバイクで捕まえるシーン撮るぞ!」
「お願いします」
「孝仁は線のとこまで走って、力也は自分のタイミングでいけるってとこで行け」
「はい、わかりました」
このシーンはバイクに乗った忍者が車で逃げだした犯人の上へ、斜め上の車線からバイクで飛び降りるというものだ。別名“ああ、車が!”シーン、いい車が無残な状態になる。
実際は、すでに廃車のものを使っているし、走らせてはいない。
孝仁さんは飛び出す少し前で止まるから、俺はそれを超えて一気に飛び出す。
飛び出すタイミングは俺に一任されているから、カメラは回りっぱなしだ。
大きく深呼吸をした後、一気にアクセルを吹かす、俺はなんの合図もなく走り出した。風を切り、ガードレールの前に置かれている飛び出し台を上り、そのまま飛び出した。
飛び出す寸前、前かがみになっていた体を後ろへと反らす、こうしないと前から墜落してしまう。
ドン!! 大きな音が鳴って俺は無事、車の上へと着地し、更にそのままの勢いで道路へと着地する。キキー! と大きな音を立て車体をひねり止まる。
「カット!」
息をつき、ヘルメットを取り、冬真へと視線を向ければ音のしない拍手をしていてくれた。
バイクを大道具さんに預け、俺は孝仁さんと冬真たちがいる場所へ戻った。
「さっすが力也君、完璧だったよ!」
「ありがとうございます」
一番後処理が大変だって最後に残されていたのが今のシーンだから、今日の撮影はこれで終わりだ。今日は大したことしてないから体を動かし足りない。
「お疲れ、上出来だった」
「怪我は無いか?」
「すっげ、かっこよかった。Good Boy力也」【よくできました】
神月監督と将人さんの言葉にお礼を返していたら、ガシっと冬真に抱きしめられた。
そのまま頭を軽く撫でてくれたかと思うとあっさりと離れた。
「冬真、オーバー」
「だって俺ぜってぇ無理だもん」
「そりゃ、練習してないのにできたら俺の出番なくなるだろ?」
俺だって練習なしでやれと言われたら躊躇するだろう。やらなければもっとひどいお仕置きをされるというならやるかもしれないけど。
「確かにそりゃそうだ」
「Subが優秀すぎると立つ瀬ねぇな」
「俺別に優秀じゃないと思いますけど…」
「力也は優秀だろ?最高のSubだ」
「またそうやって持ち上げる」
冬真はDomのプライドはどこへ行ったのだろうと思うぐらい、すぐに持ち上げようとしてくれる。主人にしたいと思えるDomからの出し惜しみのない賞賛はくすぐったく少し恥ずかしいが、とてもうれしい。
「そういや、お前ら講習会いったか?」
「講習会?」
神月監督にいきなり聞かれ、なんの話だろうと首を傾げる。
「冬真は知っているだろう?Playライフの講習会、この先も続けてくなら行っておいたほうがいい」
「あー、あれですか。そうですね、受けたほうがいいですね」
冬真は思い当たるものがあるらしい、孝仁さんをチラッとみると俺と同じように首をかしげていたから、Domの間では有名なものなのかもしれない。
「冬真、講習会って?」
「ああ、俺の行ってた学校の卒業生が開いてんだけど、Domの心得とかSubの心得とか教えてくれるやつ。これからさきも力也が俺に付き合ってくれるなら覚えてほしいこととか教えてくれる」
Subの心得と言われ、散々教え込まれた自らを最下層に置く調教が思い浮かぶ。講習会ではそういうことを教えられるのだろう。冬真はそういうのを好まないタイプだと思っていたのに、やっぱりそうではなかったのだろうか。それとも、これから知り合いも混ぜるからDomの前ではちゃんとしろということだろうか?
「…わかった。俺、会場にいったら冬真のいうことなんでも聞く」
「え?力也?」
「椅子にもなるし、脱げと言われたら脱ぐ」
「ちょっとまって」
「冬真の顔に泥を塗らないようにする」
「まって、なんか勘違いしてねぇ?」
したいことをすればいいと言ったけど、これもしたいことで間違いはない。主人としたい冬真が望んだんだから、それは俺がしたいことだ。
きっと終われば、冬真はたくさんほめてくれるだろうし、ただちょっとせっかく近づいた気がしたのが遠くなってしまったらと思うと不安になる。
「冬真君最低」
「お前、力也になにさせようとしてんだよ」
「孝仁さんも将人さんも、違うんです!」
やっぱり近すぎたのか、立場をわからせるために連れていくということだろう。神月監督も笑っていたけど、最高なんて言ってしまったから、思い上がらないようにってことなのかもしれない。たくさんほめてくれるから調子に乗ってる俺を、押さえつけたいんだ。
(それならなんであんなに俺を認めてくれたんだろう…。そうか…)
「いままでのって、そういうことだったんだ。俺が逃げ出さないようにやさしくしていただけなんだ」
「だから、力也聞いてお前勘違いしてる」
「俺が冬真がいいって思えるように、優しくして認めてくれていただけなんだ。俺、まんまとそれに引っかかって冬真じゃなきゃ…冬真がいいって…」
「え、マジ!?やった!じゃなくて!」
うれしかったし、あの幸せな時間を覚えているから、離れたくないって思える。
「いままで、優しくしてくれたから俺どんな内容も頑張れる」
「頑張んなくていい!違うから講習会ってそういうんじゃないから!違いますよね!?神月監督!」
「俺が誘われていったのは随分前だから、今はわからないな」
「神月監督!?」
冬真の声がどんどん大きくなるけど、俺の頭の中は講習会の内容を想像してグルグル回っていた。なにかやって見せなくてはいけないなら、練習したほうがいいかもしれない。
失敗したら冬真が困るだろうから。
「やっぱりそうなんだ。力也君!そんなの行くことないから!」
「晒しものになんかならなくていい」
「ありがとうございます。孝仁さん、将人さん、でも俺大丈夫です。大丈夫なんで…」
「力也君」
「冬真、練習しなくちゃいけないことがあるなら教えて、俺なるべくうまくやるから」
「力也…」
一瞬嬉しそうな顔へとなった冬真だったが、次の瞬間俺の肩をガシっと両手で捕まえた。
驚く俺へ真剣なまなざしを向けてきた。
「聞いて、力也。もし行こうとしている講習会がそんな内容なら俺はお前を連れてかないし俺も行かない。お前がどんな想像をしているかわからないけど、俺たちが言ってる講習会は誓ってそういうんじゃないから」
「椅子にさせられるんじゃなくて?」
「させるわけないだろ。ってか最悪Domが立つことになってもSubの分の椅子は必ずあるから」
「エロいことは?」
「エロい話はあるかもしれないけど、基本的には話聞くだけだから」
「力也君騙されちゃだめだよ。Domは自分に都合のいいようにしか言わないんだから!」
冬真がここまで言うなら気負わなくてもいいかもしれないと思いかけていたら、孝仁さんに念を押すように止められた。
「俺からも保証してやるよ。少なくとも、孝仁と将人が嫌がるような内容はないから」
「神月監督もDomじゃないですか」
「まあそうだが、ほかに誰も保証できないだろ」
「そうですけど…」
そこまで言われると、孝仁さんも言い返せなくなったのか、まだ疑う視線のまま引き下がった。
「力也、お前がどうしても俺の言うこと信じられないなら行かなくていい。もちろんいままでの態度を俺は変える気はないし、お前に変えてほしくもない。講習会ってのは本当にそういうんじゃないから、信じてほしい」
「わかった」
この人ならと思えるDomにここまで言われて、それでも疑うSubがいるだろうか。たとえちょっと話と違う内容があったとしても、冬真が傍にいてくれるのだから大丈夫。
グルグルと回っていた内容も、いまはどうでもいい、ただ信じればいい。
俺のご主人様に、ただついていけばいいんだと思えた。
「ってかマジで、力也にそういうことしたDom全員、ぶっ潰したい」
なんか不穏なつぶやきが聞こえたけど気のせいだと思っておこう。いくらヤンキーにみえても冬真は喧嘩強くないからそんなことできるわけがないし、空耳だよな?
思わず冬真をみるといつも通りの笑顔を浮かべていた。一瞬寒気もしたけどやっぱり空耳だったらしい。これ以上は考えるのはやめよう。
確か、今日はこの後冬真は仕事があるって言ってたし、ロッククライミングでもしにいこうかと俺は思考を切り替えた。
「お願いします」
「孝仁は線のとこまで走って、力也は自分のタイミングでいけるってとこで行け」
「はい、わかりました」
このシーンはバイクに乗った忍者が車で逃げだした犯人の上へ、斜め上の車線からバイクで飛び降りるというものだ。別名“ああ、車が!”シーン、いい車が無残な状態になる。
実際は、すでに廃車のものを使っているし、走らせてはいない。
孝仁さんは飛び出す少し前で止まるから、俺はそれを超えて一気に飛び出す。
飛び出すタイミングは俺に一任されているから、カメラは回りっぱなしだ。
大きく深呼吸をした後、一気にアクセルを吹かす、俺はなんの合図もなく走り出した。風を切り、ガードレールの前に置かれている飛び出し台を上り、そのまま飛び出した。
飛び出す寸前、前かがみになっていた体を後ろへと反らす、こうしないと前から墜落してしまう。
ドン!! 大きな音が鳴って俺は無事、車の上へと着地し、更にそのままの勢いで道路へと着地する。キキー! と大きな音を立て車体をひねり止まる。
「カット!」
息をつき、ヘルメットを取り、冬真へと視線を向ければ音のしない拍手をしていてくれた。
バイクを大道具さんに預け、俺は孝仁さんと冬真たちがいる場所へ戻った。
「さっすが力也君、完璧だったよ!」
「ありがとうございます」
一番後処理が大変だって最後に残されていたのが今のシーンだから、今日の撮影はこれで終わりだ。今日は大したことしてないから体を動かし足りない。
「お疲れ、上出来だった」
「怪我は無いか?」
「すっげ、かっこよかった。Good Boy力也」【よくできました】
神月監督と将人さんの言葉にお礼を返していたら、ガシっと冬真に抱きしめられた。
そのまま頭を軽く撫でてくれたかと思うとあっさりと離れた。
「冬真、オーバー」
「だって俺ぜってぇ無理だもん」
「そりゃ、練習してないのにできたら俺の出番なくなるだろ?」
俺だって練習なしでやれと言われたら躊躇するだろう。やらなければもっとひどいお仕置きをされるというならやるかもしれないけど。
「確かにそりゃそうだ」
「Subが優秀すぎると立つ瀬ねぇな」
「俺別に優秀じゃないと思いますけど…」
「力也は優秀だろ?最高のSubだ」
「またそうやって持ち上げる」
冬真はDomのプライドはどこへ行ったのだろうと思うぐらい、すぐに持ち上げようとしてくれる。主人にしたいと思えるDomからの出し惜しみのない賞賛はくすぐったく少し恥ずかしいが、とてもうれしい。
「そういや、お前ら講習会いったか?」
「講習会?」
神月監督にいきなり聞かれ、なんの話だろうと首を傾げる。
「冬真は知っているだろう?Playライフの講習会、この先も続けてくなら行っておいたほうがいい」
「あー、あれですか。そうですね、受けたほうがいいですね」
冬真は思い当たるものがあるらしい、孝仁さんをチラッとみると俺と同じように首をかしげていたから、Domの間では有名なものなのかもしれない。
「冬真、講習会って?」
「ああ、俺の行ってた学校の卒業生が開いてんだけど、Domの心得とかSubの心得とか教えてくれるやつ。これからさきも力也が俺に付き合ってくれるなら覚えてほしいこととか教えてくれる」
Subの心得と言われ、散々教え込まれた自らを最下層に置く調教が思い浮かぶ。講習会ではそういうことを教えられるのだろう。冬真はそういうのを好まないタイプだと思っていたのに、やっぱりそうではなかったのだろうか。それとも、これから知り合いも混ぜるからDomの前ではちゃんとしろということだろうか?
「…わかった。俺、会場にいったら冬真のいうことなんでも聞く」
「え?力也?」
「椅子にもなるし、脱げと言われたら脱ぐ」
「ちょっとまって」
「冬真の顔に泥を塗らないようにする」
「まって、なんか勘違いしてねぇ?」
したいことをすればいいと言ったけど、これもしたいことで間違いはない。主人としたい冬真が望んだんだから、それは俺がしたいことだ。
きっと終われば、冬真はたくさんほめてくれるだろうし、ただちょっとせっかく近づいた気がしたのが遠くなってしまったらと思うと不安になる。
「冬真君最低」
「お前、力也になにさせようとしてんだよ」
「孝仁さんも将人さんも、違うんです!」
やっぱり近すぎたのか、立場をわからせるために連れていくということだろう。神月監督も笑っていたけど、最高なんて言ってしまったから、思い上がらないようにってことなのかもしれない。たくさんほめてくれるから調子に乗ってる俺を、押さえつけたいんだ。
(それならなんであんなに俺を認めてくれたんだろう…。そうか…)
「いままでのって、そういうことだったんだ。俺が逃げ出さないようにやさしくしていただけなんだ」
「だから、力也聞いてお前勘違いしてる」
「俺が冬真がいいって思えるように、優しくして認めてくれていただけなんだ。俺、まんまとそれに引っかかって冬真じゃなきゃ…冬真がいいって…」
「え、マジ!?やった!じゃなくて!」
うれしかったし、あの幸せな時間を覚えているから、離れたくないって思える。
「いままで、優しくしてくれたから俺どんな内容も頑張れる」
「頑張んなくていい!違うから講習会ってそういうんじゃないから!違いますよね!?神月監督!」
「俺が誘われていったのは随分前だから、今はわからないな」
「神月監督!?」
冬真の声がどんどん大きくなるけど、俺の頭の中は講習会の内容を想像してグルグル回っていた。なにかやって見せなくてはいけないなら、練習したほうがいいかもしれない。
失敗したら冬真が困るだろうから。
「やっぱりそうなんだ。力也君!そんなの行くことないから!」
「晒しものになんかならなくていい」
「ありがとうございます。孝仁さん、将人さん、でも俺大丈夫です。大丈夫なんで…」
「力也君」
「冬真、練習しなくちゃいけないことがあるなら教えて、俺なるべくうまくやるから」
「力也…」
一瞬嬉しそうな顔へとなった冬真だったが、次の瞬間俺の肩をガシっと両手で捕まえた。
驚く俺へ真剣なまなざしを向けてきた。
「聞いて、力也。もし行こうとしている講習会がそんな内容なら俺はお前を連れてかないし俺も行かない。お前がどんな想像をしているかわからないけど、俺たちが言ってる講習会は誓ってそういうんじゃないから」
「椅子にさせられるんじゃなくて?」
「させるわけないだろ。ってか最悪Domが立つことになってもSubの分の椅子は必ずあるから」
「エロいことは?」
「エロい話はあるかもしれないけど、基本的には話聞くだけだから」
「力也君騙されちゃだめだよ。Domは自分に都合のいいようにしか言わないんだから!」
冬真がここまで言うなら気負わなくてもいいかもしれないと思いかけていたら、孝仁さんに念を押すように止められた。
「俺からも保証してやるよ。少なくとも、孝仁と将人が嫌がるような内容はないから」
「神月監督もDomじゃないですか」
「まあそうだが、ほかに誰も保証できないだろ」
「そうですけど…」
そこまで言われると、孝仁さんも言い返せなくなったのか、まだ疑う視線のまま引き下がった。
「力也、お前がどうしても俺の言うこと信じられないなら行かなくていい。もちろんいままでの態度を俺は変える気はないし、お前に変えてほしくもない。講習会ってのは本当にそういうんじゃないから、信じてほしい」
「わかった」
この人ならと思えるDomにここまで言われて、それでも疑うSubがいるだろうか。たとえちょっと話と違う内容があったとしても、冬真が傍にいてくれるのだから大丈夫。
グルグルと回っていた内容も、いまはどうでもいい、ただ信じればいい。
俺のご主人様に、ただついていけばいいんだと思えた。
「ってかマジで、力也にそういうことしたDom全員、ぶっ潰したい」
なんか不穏なつぶやきが聞こえたけど気のせいだと思っておこう。いくらヤンキーにみえても冬真は喧嘩強くないからそんなことできるわけがないし、空耳だよな?
思わず冬真をみるといつも通りの笑顔を浮かべていた。一瞬寒気もしたけどやっぱり空耳だったらしい。これ以上は考えるのはやめよう。
確か、今日はこの後冬真は仕事があるって言ってたし、ロッククライミングでもしにいこうかと俺は思考を切り替えた。
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