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ばんざーい!
花火大会だよ! 2
しおりを挟むあっちでもこっちでも、甲斐甲斐しく世話を焼かれながらも、男性陣も食べ始めた。
「あーーコレ旨いなぁ!」
「そうじゃろう?こっちのつまみと合わせるとよい」
「僕はこっちのが好きー」
「これとこれの組み合わせも良いですよ」
そんな声が聞こえてきて、なんの組み合わせだ?と思ったら、酒でした。
いやいやいや、猫が酒呑んでるなんて・・・・。
しかもつまみは、枝豆・焼イカ・チーズ・・・と屋台の食べ物に、酒はビール・日本酒・ワイン・・・と様々。
日本酒なんて殆ど作れてないから、数も少ないのに・・・・樽で呑んでる。
私もお酒呑みたい・・・強くはないが、楽しむことは出来る!
「ルーチェフルール、酒は成人してからにしよう」
シリウスにそっと窘められた・・・。
で、そのシリウスはワイン飲んでますけどね!
あーーー早く成人したいーー。
と、思うのと同時に子供時代をもっと楽しみたい!って言う思いもある。
大人になったら良識ある行動が必須になるからね!
無茶や我儘は子供の特権なんだよ?
大人になったら、周囲の目もある。
チャレンジ!ってのはいいが、無謀とは違うからね!
そんなことを考えつつも、みんなを眺める。
うむ。楽しそうだ。
これは良いことだ。
だが、にゃんこが両手でグラス持ってたり、お猪口を片手につまみ食ってるのはどうかと思う。
みんな座る時はぽて腹だ。
え?それなんだ?って?
よくテレビとかで、おっさん座りするにゃんこ見た事ない?
あの時って、にゃんこのお腹がぽてってなってるよね?
可愛くない?可愛いよね?
あのお腹を下からたぷたぷしたい・・・。
因みに家のにゃんこ達は、ぬいぐるみなのでぽて腹にはなりません。
残念だ。
ドーーーン!!
パラパラ~
目線を上げると、花火が始まったようだ。
最初は私の好きな『牡丹』からの『銀冠』だ。
赤い花が開き、それを追うように白い花が咲き、尾を引くように下に流れていく。
私はこの花火の組み合わせが好き!綺麗だよねぇ~。
さて、ここでルーチェさん豆知識!
花火はね、色々な鉱石を使って色を出します!
火薬とその配置で柄が変わったりするんだよ!すごいね!!
因みに打ち上げ花火は『星』と呼ばれているそうな。
夜空に花開く星!いいね!
銀冠は言葉の通り、『銀』を使用している。
銀は高い温度じゃないと、綺麗な白が出ない。
そして、銀は燃焼が早い。
この高い温度を保ちつつゆっくり燃焼させる高い技術が日本の・・・・。
て、あれ?
これって・・・もしや・・・。
「気づきましたか?私達が開発したのですよ!」
「ほんとーーーーに頑張ったぜ。ロートが」
「確かに素晴らしいな。今までの花火は、ただ大きいのが打ちあがるだけで、色彩も豊かではなかったからな。煙も殆ど出ていない」
うん。日本の花火の技術の高さは凄いけど、シリウスの観点って違くない?
凄い!だけじゃダメなん?
そしてリシェスよ。
君は何を手伝ったんだい?頑張ってんのロートじゃん!
知識はロワな気がするけど・・・。
「ロート、ありがとね。すっごく綺麗!またこの花火が見れるなんて思わなかった!」
「ありがとうございます」
あーーーーテレっちゃって可愛い~。
思わず抱き着いちゃったぜ!
・・・・・周りの視線が何故か痛いが。
仕方がないから後で一匹づつ抱っこしてあげるからね!
「ルーチェフルール。今日は一緒に花火を見てくれてありがとう。それから君を城に閉じ込める様な事をしていてすまない。これでは、元居た場所と変わらない事になってしまっている・・・」
そう言いながら悲しそうに、視線を下げるシリウス。
そう言えば確かに私は城からそうそうは出れない。
でも何か不自由があるか?と言われればそんなことはない。
「大丈夫だよシリウス。確かにお祭りの時とかに外に行けないのは寂しいけど、前みたいに同じ部屋でぼーっとすることしか出来ないわけじゃないから。ご飯も作れるし、畑や田んぼで新しい食材作れたりするし、図書室で本読み放題だし、私に新しい知識とか教えてくれてるでしょ?前の場所より全然今のがいいから!」
そう心から思うのだ。
私の言葉にシリウスも、嬉しそうにしてくれる。
うん。シリウスは基本的に王様の態度でいるから、大きな感情の変化とか表情とかがない。
そりゃあ愛想撒かないといけない時とかは、笑っているよ?でもさぁ、なんて言うか、楽しそうって言う感じではないんだよね。
だからこそ、私と一緒に居て、こうやって心から楽しそうとか嬉しそうな顔。
それから悲しそうな顔を見れることが、私には嬉しい。
この笑顔を、これからも側で見れるといいなぁ~。
「なぁ、ルーチェフルール。また、来年もこうして一緒に花火を見てくれるか?」
その言葉に、私も笑顔で答える。
「勿論!皆で見よう!!」
全ての人が笑顔で暮らせる世界・・・てのは、無理な話だろうが、自分の大切な人達が笑顔でいれるように頑張る事は出来る。
だから、この一瞬を、一分を、時間を大事にするんだ。
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