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ばんざーい!
ある兵士の一日(ギド)
しおりを挟む俺達は無事に最初の赤い花を、やっと一本を手に入れたっす。
それにしても・・・
「再び戻った部屋には、誰もいなかったすよね?」
「さっきの奴らは何だったでしょうか?」
「てか、アンデットが複数居るのも問題だったけど、それよりも何でアンデットがアンデットを診察してるの?」
「まぁ皆落ち着け、確かにアンデットが、診察を受けているのもよくわからない状況だが、目的の花は手に入った。ただ、まだ一本目だ。残りの六本を探しに行こう」
謎だらけな場所なのに、先輩は冷静に先を見据えてた。
先輩の何事にも動じない姿勢が、俺は凄く好きだ。
先輩は俺の憧れっすよ!
で、先に進む通路は直ぐに壁で右に曲がっていた。
その先の突き当りに扉が・・・
「また、何か出てくるのかしら?」
「ちょっとだけ開けてみるっすよ?」
「僕は大丈夫です!」
それぞれの、意見を聞き先輩が俺にGOサインを出した。
・・・・が、扉を開けても何もなかった。
そう、物も何も・・・。なんかミスしたんすかね?
「何もないのも気になるが、ないなら先に進もう」
そう言って、先輩は通路の先を指した。
だが、左手に直ぐに通路がある。
チラッと見た感じでは、突き当りになっているし、扉もこの先にはない・・・。
なんの為の通路なんすか?愛し子様の考える事は不思議っす・・・。
暫く歩くと、先に扉が・・・・。
警戒して進む俺達の後ろから、何だか音が・・・。
振り返ったら、先に気が付いていた先輩も来た通路を見ていた。
続いて他のメンバーも後ろを見る。
イ・・タイ・・・イタイ・・誰カ・・・
そこには全身を包帯が覆い、足を引きずりながら歩いて来る人が。
さっきの通路!?確認した時には誰も居なかったっすよ!?
そんな考えもお構いなしに、少年?少女?・・・どちらとも取れない人がこちらを向いたっす。
手を伸ばしてくる、見るからに痛そうっす・・・。
ボトリ・・・
腕が落ちたっす・・・。
そう思った次の瞬間に、腕が凄まじい速さで這ってくる。
「ギィヤーーーーーーーーーー!!!!!」
一泊の後に誰かが叫んだ。
と、同時に走り出す!!
俺を追い越して、走り出したのは魔導士のアルさんっす。
それに続いて走り出す俺達。
目の前の扉を開き、勢いよく閉めた。
ゼーハー、ゼーハー・・・。
「コレって間違いなく訓練っすよね?」
「そうなの?!」
「アル、大丈夫か?」
先輩の声で、先に部屋に入ったアルさんを見たっす・・・。
顔面蒼白の上、ガタガタ震えてるっす・・・。
「ボ・・僕、モウ、ムリ・・・」
片言になってるっす・・・。
「ギド、確か近くに非常口があったな?」
「あっハイっす。地図によると確かこの部屋ですよ」
そう言って周りを見渡すと、部屋の奥に非常口が。
「先輩、奥に非常口が見えるっすよ。あと、黄色の花もあるっす」
「それにしても・・・この部屋ってなんの部屋なのかしら?」
そうアンさんの言葉に、俺も部屋を見渡す。
ごちゃごちゃと物が置いてある。
中央には青い布が被せられた台が。
その上には、大型の照明が取り付けられている。
台の近くには、可動式の台があり、上を見ると刃物が並ぶ。
「どちらにしても、良い場所ではないだろう」
先輩の声に振り向くと、先輩はアルさんを背負っていた。
「アルはこれ以上歩けそうにない。棄権した方がいいだろう」
そう言って、非常口の方へ歩いていく。
ガッ!!
掴まれたっす・・・。
「アーーーーーー!!!!!」
先輩の耳元で大音量で叫ぶアルさん。
その後、ぐったりと・・・。
「なっ?!何が?!」
「・・・・その台から伸びてきた腕が、アルさんの足を・・・・」
自分以外がこうも怖がると、何だか冷静になってくるっす・・・。
「ギド!まだ掴んでるか?!」
「もう離れてるっす!」
「何なのよ!もう!!」
そう言って今度は、アンさんが台にかかった布を取る。
なんと胆の据わった・・・惚れそうっす。
剥がされた台の上には、死体が。
特に変哲のない死体。
突いてみたがもう動かないようみたいっすね。
死体を横目に通り過ぎ、非常口に。
何だかここまでが異常に長く感じるっすね・・・。
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