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3. 私、 詳細を聞くようです。

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詳しく聞いてるみると、どうやら私、有坂結子が死んだ理由は目の前の美少年が関わっているらしい。
区域毎の人々の運調整をしていた所、手違いで私という個体に穴が空いたとか…

個体?運調整?穴?と聞けば
もともと幸運量はそれぞれで上限が決まっており、人はその幸運が詰まった袋、個体を有している。
それをメンテナンスするのが運調整だという。
滅多に不具合を来すことは無いがのだが
何かの拍子に私の個体に穴が空き、気が付かれずスルーされた結果…
その穴から運が流れ出続け死に至ったらしい。

「2、3年前からやけについて無いなぁと思っていたんです。
まさか管理もれだったなんて…」

そうなのだ、ここ数年のついてなさと言ったら酷いものだった。
列に並べば私の前で打ち切られる。なんにもない所で転び溝に嵌る。泥棒に会う。交通事故に会う。仕事が何故か必ず失敗し残業三昧。嫌な上司に仕事を押し付けられる。
不規則な生活が祟って、病気にもなった。
小さい事から大きな事まで何でもござれ状態。
更に酷いことに、私が不幸を被るほど周りにラッキーなことが起こるなどと言う信じられない噂が流れた。
そしてついたあだ名は「福の神」。

お陰で、噂に踊らされた奴からのいじめまで勃発した。
正直…神は私を見捨てたと思った。

「はい…個体の穴から漏れだした運気は近くの者に渡り、貴女の運は底をついてしまって…
気がついた時には既に貴女が亡くなった後でした。
ですので、急いで貴女の魂をこちらに引っ張ってきた訳なのです。」

美少年が申し訳なさそうに言い、
更に言葉を続けようとした時、部屋に「ピーー…」という電子音が聞こえてきた。
音に反応した美少年は慌てた様子で
「思ったより時間がない」とボヤいた。

「端的に言います。この騒動のお詫びに貴女の願いを出来るだけ優先する事になりました。
貴女が異世界転生をする事は決定事項です。
何が希望することはありますか?」

その言葉に、不運続きで疲れ果てていた私は即答した。



「スローライフがしたい…不自由無い穏やかな生活がしたいです…健康な体で幸せに暮らしたい…。」



そんなささやかな願いだった。


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