人形師の少女

神無月

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入学 1

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  「…まだ少し変…?」

 木の匂いと糊の匂いが混ざって独特な香りがする自室、この匂い好きだ。
部屋の襖がスっと開いた。
 「村雨、そろそろ寝なさいな。明日は高校の入学式だろう?」
部屋のカレンダーを見ると明日の日付に赤い丸が書いてあった。明日から高校1年生になるのか…。
実感があまりなく夜遅くまで人形を作っていた私、斉藤村雨。
 「おばあちゃん、この人形の顔の輪郭少し変じゃない?」
おばあちゃんは木でできた人形の顔を優しく私の手から受け取り真剣な目で観察をする。
 「そうねぇ…左右で頬の幅が異なっているね」
祖母と祖父は人形師、今風の言葉で言うと人形作家だ。
 「ありがとうおばあちゃん」
お礼を言うとおばあちゃんは笑って返してくれた。
そして私はおばあちゃんの言う通り、明日に備えて寝ることにした。高校の入学式になんの期待もないまま布団にもぐりこむ。




友達、できなくてもいいや
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