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第88話 手伝いしてもいいかな
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ローザアリアがしている事は分かったが、家の人達はしているのだろうか気になるザガード。
トントンっと肩を叩かれたので振り返るザガード。
其処には学園ではほぼ一緒にいるシオーネが居た。
「これはシオーネ殿」
知人に会ったので頭を下げるザガード。
シオーネも返礼をこめて頭を下げた。
「お嬢様がしている事を見たようですね」
「ええ、まぁ」
ザガードはローザアリアの方を見る。
ローザアリアは物陰に隠れながら餌の匂いに釣られてくる野良猫を待っていた。
「あのような行動をしているのを知っているのですか?」
「はい。暇な時間が出来るといつもそうしています」
「・・・・・・」
ザガードは言葉を詰まらせた。
野良猫の餌付けしているのは少しでも動物に好かれる様に努力していると取るべきか、それとも単に動物が好きだからしているのか分からないからだ。
「・・・・・・お嬢様がこのような事をしているのは理由がありまして」
隠しても仕方が無いと思ったのかシオーネが話し出した。
「お嬢様はその幼少の頃から、色々な事が出来るお方だったのですが、動物には嫌われるという体質なのですが困った事にお嬢様は動物が好きなのです」
「ああ、居ますよね。そういう人」
「その為、動物に好かれる様に努力したのです」
「それは大変ですね」
「ええ、それはもう・・・・・・」
遠い目をするシオーネ。
余程、大変だったんだろうなと思うザガード。
改めてローザアリアを見るザガード。
野良猫を餌付けしようと頑張っている姿を見ると、どうも努力は報われていないという事が分かる。
「何と言いますか、苦労されているようですね」
「お察しの通りです。未だに、動物に好かれない始末でして。犬猫どころか馬すら怯えて乗せないのです」
「それは、また」
馬は臆病な性質の生き物だから仕方がないと取るべきか、それとも馬にも嫌われる程の体質と言うべきか言葉に悩むザガード。
そうして話していると、餌の匂いに釣られて野良猫が餌に近付く。
野良だからか周囲を注意深く観ながら餌に近付き、安全だと判断すると餌に飛びついた。
美味しそうに餌を食べる猫。
気が緩んだのを見て、ローザアリアが徐々に近付くのだが。
猫が耳をビクンっ立てると、一目散に逃げてしまった。
その後ろ姿を見送りしょんぼりとするローザアリア。
「・・・・・・何と言うか可哀そうですね」
「ええ、わたし達には自分は気にしていない風を装うのですが、密かにこうして動物に好かれる様に頑張っているのです」
という事は、シオーネは陰で隠れながら護衛しているという事になるのかと理解したザガード。
(この事を報告すべきか? う~ん)
まさかスケジュールの空白の時間が動物に好かれる特訓をしていると言っても信じてもらえるかどうか分からないと思うザガード。
しかし、一応報告すべきではと思う自分も居た。
悩むザガード。
(・・・・・・とりあえず、今は)
報告などは後回しにしてザガードは有る行動をする事にした。
「・・・・・・はぁ~」
また野良猫に逃げられて溜め息を吐くローザアリア。
「御機嫌よう。ローザアリア様」
其処にザガードが声を掛けた。
手には野良猫を持っていた。
「あら、御機嫌よう」
挨拶を交わすローザアリア。
挨拶をしながら、その目はザガードの手の中に居る猫を見ていた。
「触りますか?」
「・・・・・・良いの?」
「はい。その先程から、猫に触ろうと頑張っていましたので」
「見ていたの?」
ローザアリアの問いにザガードは首を縦に振った。
「・・・・・・」
言葉を詰まらせるローザアリア。
「あの」
「何かしら?」
「僭越ではありますが、お手伝いしても良いですか?」
「えっ?」
呆けた顔をするローザアリア。
普段は凛々しくも毅然とした顔をしているので、そんな顔もするんだとザガードは思った。
トントンっと肩を叩かれたので振り返るザガード。
其処には学園ではほぼ一緒にいるシオーネが居た。
「これはシオーネ殿」
知人に会ったので頭を下げるザガード。
シオーネも返礼をこめて頭を下げた。
「お嬢様がしている事を見たようですね」
「ええ、まぁ」
ザガードはローザアリアの方を見る。
ローザアリアは物陰に隠れながら餌の匂いに釣られてくる野良猫を待っていた。
「あのような行動をしているのを知っているのですか?」
「はい。暇な時間が出来るといつもそうしています」
「・・・・・・」
ザガードは言葉を詰まらせた。
野良猫の餌付けしているのは少しでも動物に好かれる様に努力していると取るべきか、それとも単に動物が好きだからしているのか分からないからだ。
「・・・・・・お嬢様がこのような事をしているのは理由がありまして」
隠しても仕方が無いと思ったのかシオーネが話し出した。
「お嬢様はその幼少の頃から、色々な事が出来るお方だったのですが、動物には嫌われるという体質なのですが困った事にお嬢様は動物が好きなのです」
「ああ、居ますよね。そういう人」
「その為、動物に好かれる様に努力したのです」
「それは大変ですね」
「ええ、それはもう・・・・・・」
遠い目をするシオーネ。
余程、大変だったんだろうなと思うザガード。
改めてローザアリアを見るザガード。
野良猫を餌付けしようと頑張っている姿を見ると、どうも努力は報われていないという事が分かる。
「何と言いますか、苦労されているようですね」
「お察しの通りです。未だに、動物に好かれない始末でして。犬猫どころか馬すら怯えて乗せないのです」
「それは、また」
馬は臆病な性質の生き物だから仕方がないと取るべきか、それとも馬にも嫌われる程の体質と言うべきか言葉に悩むザガード。
そうして話していると、餌の匂いに釣られて野良猫が餌に近付く。
野良だからか周囲を注意深く観ながら餌に近付き、安全だと判断すると餌に飛びついた。
美味しそうに餌を食べる猫。
気が緩んだのを見て、ローザアリアが徐々に近付くのだが。
猫が耳をビクンっ立てると、一目散に逃げてしまった。
その後ろ姿を見送りしょんぼりとするローザアリア。
「・・・・・・何と言うか可哀そうですね」
「ええ、わたし達には自分は気にしていない風を装うのですが、密かにこうして動物に好かれる様に頑張っているのです」
という事は、シオーネは陰で隠れながら護衛しているという事になるのかと理解したザガード。
(この事を報告すべきか? う~ん)
まさかスケジュールの空白の時間が動物に好かれる特訓をしていると言っても信じてもらえるかどうか分からないと思うザガード。
しかし、一応報告すべきではと思う自分も居た。
悩むザガード。
(・・・・・・とりあえず、今は)
報告などは後回しにしてザガードは有る行動をする事にした。
「・・・・・・はぁ~」
また野良猫に逃げられて溜め息を吐くローザアリア。
「御機嫌よう。ローザアリア様」
其処にザガードが声を掛けた。
手には野良猫を持っていた。
「あら、御機嫌よう」
挨拶を交わすローザアリア。
挨拶をしながら、その目はザガードの手の中に居る猫を見ていた。
「触りますか?」
「・・・・・・良いの?」
「はい。その先程から、猫に触ろうと頑張っていましたので」
「見ていたの?」
ローザアリアの問いにザガードは首を縦に振った。
「・・・・・・」
言葉を詰まらせるローザアリア。
「あの」
「何かしら?」
「僭越ではありますが、お手伝いしても良いですか?」
「えっ?」
呆けた顔をするローザアリア。
普段は凛々しくも毅然とした顔をしているので、そんな顔もするんだとザガードは思った。
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楽しく拝読させていただいております。。
恐らくはそうならないだろうと思いつつも、ローザアリアとザガードが幸せになったら良いなあと願って読んでおります。
せめてイチャイチャしてる場面が読めればと… うう…
更新を楽しみにしております。
これからも頑張ってください。