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第82話 内紛の気配Ⅱ
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その数時間後。
王都の裏町にとある場所。
其処は空き地で広く、何も無かった。
その場所に男性が一人居た。
男性の足元には目隠しと口枷を掛けられて縄で縛られた女性が居た。
男は頻りに周囲を警戒していた。
そうして、少しすると。
その空き地に男性達が入って来た。
顏が見えない様にフード付きのマントを被っていた。
「約束の者を連れて来たか?」
「ああ、此処に」
男性はその目隠しされている女性を指差した。
「そうか」
男性の一人がその女性に近付き、ジロジロと見回した。
「・・・・・・間違いない。本物だ」
「そうか。良し」
男性は女性を連れて来た男を見る。
「他の者達はどうした?」
「邪魔だと思って連れて来てないだけだ」
「そうか」
「で、成功報酬はくれるのか?」
男は男性に訊ねた。
「ほれ、受け取れ」
男性が懐から革袋を出して男に投げ渡した。
「へへ、ありがてえ。じゃあ」
革袋を受け取った男は空き地を出て行った。
男が出て行くと、男性達は女性の目隠しを取った。
「本当にカルディアだな」
「ふっ、上手くいったな」
男性達はカルディアを見るなり顔を緩ませた。
逆にカルディアは男性達を見て眦を上げた。
「それでは話も出来ないな」
男性が口縄を解いた。
「ぷはっ、貴方達。確か、分家の」
「その通り」
「お久しぶりです。次期当主様」
男達はフードを取って顔を見せた。その者達は前にザガードに敗れたリウンシュハイム家の分家の者達であった。
「人に頼んでわたしを誘拐させるなんてどういうつもり⁉」
「それは簡単な事」
「あなたには消えてもらう為です」
男達は暗い笑みを浮かべた。
「わたしを消すという⁈」
「そうです。貴方が居なくなれば、本家の跡取りは居なくなり、分家筆頭の者が次期当主になります」
「その者は我らの同士ですから」
「これから行う我らの大願成就の為に貴方は消えてもらう」
「大願成就?」
カルディアがオウム返しの様に言うと、男は喋り過ぎたと思い口をつぐんだ。
「喋り過ぎたな」
「まぁ、良いだろう。此処で消えるのだからな」
男の一人が腰に差している剣を抜いた。
銀色に輝く。
その剣の切っ先をカルディアに向ける。
「ではな」
男が剣を振り上げた瞬間。
ビュンっという音が聞こえ、そして矢が地面に刺さった。
「なに⁉」
「これは⁉」
地面に突き刺さった矢を見て周りを見る男達。
すると、空き地の塀から人が出て来た。
更に空き地の出入りする所にも多くの人達が集まり、出れない様に塞いでいた。
「な、何だ。お前達は⁉」
男性の一人がそう尋ねると、出入り口を封鎖している者達の中から一人、前に出て来た。
「ここまで上手くいくとは思わなかったな」
前に出て来たのはザガードだった。
王都の裏町にとある場所。
其処は空き地で広く、何も無かった。
その場所に男性が一人居た。
男性の足元には目隠しと口枷を掛けられて縄で縛られた女性が居た。
男は頻りに周囲を警戒していた。
そうして、少しすると。
その空き地に男性達が入って来た。
顏が見えない様にフード付きのマントを被っていた。
「約束の者を連れて来たか?」
「ああ、此処に」
男性はその目隠しされている女性を指差した。
「そうか」
男性の一人がその女性に近付き、ジロジロと見回した。
「・・・・・・間違いない。本物だ」
「そうか。良し」
男性は女性を連れて来た男を見る。
「他の者達はどうした?」
「邪魔だと思って連れて来てないだけだ」
「そうか」
「で、成功報酬はくれるのか?」
男は男性に訊ねた。
「ほれ、受け取れ」
男性が懐から革袋を出して男に投げ渡した。
「へへ、ありがてえ。じゃあ」
革袋を受け取った男は空き地を出て行った。
男が出て行くと、男性達は女性の目隠しを取った。
「本当にカルディアだな」
「ふっ、上手くいったな」
男性達はカルディアを見るなり顔を緩ませた。
逆にカルディアは男性達を見て眦を上げた。
「それでは話も出来ないな」
男性が口縄を解いた。
「ぷはっ、貴方達。確か、分家の」
「その通り」
「お久しぶりです。次期当主様」
男達はフードを取って顔を見せた。その者達は前にザガードに敗れたリウンシュハイム家の分家の者達であった。
「人に頼んでわたしを誘拐させるなんてどういうつもり⁉」
「それは簡単な事」
「あなたには消えてもらう為です」
男達は暗い笑みを浮かべた。
「わたしを消すという⁈」
「そうです。貴方が居なくなれば、本家の跡取りは居なくなり、分家筆頭の者が次期当主になります」
「その者は我らの同士ですから」
「これから行う我らの大願成就の為に貴方は消えてもらう」
「大願成就?」
カルディアがオウム返しの様に言うと、男は喋り過ぎたと思い口をつぐんだ。
「喋り過ぎたな」
「まぁ、良いだろう。此処で消えるのだからな」
男の一人が腰に差している剣を抜いた。
銀色に輝く。
その剣の切っ先をカルディアに向ける。
「ではな」
男が剣を振り上げた瞬間。
ビュンっという音が聞こえ、そして矢が地面に刺さった。
「なに⁉」
「これは⁉」
地面に突き刺さった矢を見て周りを見る男達。
すると、空き地の塀から人が出て来た。
更に空き地の出入りする所にも多くの人達が集まり、出れない様に塞いでいた。
「な、何だ。お前達は⁉」
男性の一人がそう尋ねると、出入り口を封鎖している者達の中から一人、前に出て来た。
「ここまで上手くいくとは思わなかったな」
前に出て来たのはザガードだった。
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