悪役令嬢に恋した黒狼

正海広竜

文字の大きさ
上 下
43 / 88

第43話 これは珍しい

しおりを挟む
 コウリーン達にブラッシングを受けた翌日。

 ザガードの部屋に朝日が差しこんだ。
 その陽光により、目を覚ますザガード。
「・・・・・・・」
 そして、直ぐに昨日の事を思い出して、布団に包まる。

「~~~~~~~」
 ブラッシングを受けた翌日は、何時もこうして布団に包まる。
 そして、羞恥心を出来るだけ減らしてからベッドに出る。
 それがいつものパターンなのだが。
「うん?」
 ザガードはベッドに包まっていると、自分の身体に違和感を感じた。
 
 自分の身体に触れると、毛が深くない身体だ。
 なので、人狼ではなく人間の姿だ。
 それは分かるのだが、何故か尻の付け根あたりから、何かが動く感触があった。
 更には頭頂部にも動く何かがあった。

 ザガードはそれが気になり、ベッドから降りた。
 そして、洗面所に行き、鏡で自分の姿を見た。
「なっ⁉」
 ザガードは自分の姿を見て驚愕した。

 人間の頭の上に犬耳があったからだ。
 犬耳があるので、もしかしてと思い、ザガードは首を動かして、尻を見ると、其処には尻尾があった。
「これは、また・・・・・・」
 ザガードは今までにない事に言葉を失っていた。
 
 満月になると稀に獣人にある事はあるが、人狼になった翌日に獣人になるのは今までなかった。
 なので、この場合どうするべきか悩んだ。
 コンコン。
 悩んでいると、ドアがノックされた。
 一人で悩んでも仕方がないので、ザガードはこの事を話す事にした。
「今開ける」
 とだけ言って、ザガードはドアを開けた。
 ドアを開けると、そこに居たのはリエリナであった。

「これは、お嬢様。こんなに朝早くから何用で」
 ザガードはその場で畏まった。
 今日は学園は休みの日なので、てっきり、まだ寝ていると思っていたザガード。
「ああ、今日は出掛けるから、お供をしてもらおうと来たのだけど」
 リエリナはザガードの頭の上にある耳を見て、目をパチクリさせた。
「珍しいわね。人狼になった翌日に犬耳を生やすなんて」
「はっ。わたしも驚いております」
「・・・・・・まぁ、会話が出来ない状態ではないから来てもらえるかしら?」
「お嬢様が望むのであれば」
 ザガードはそう答えると、耳がピコピコと動いた。
「・・・・・・」
「何か?」
 リエリナが黙り込んだので、ザガードは不審に思い訊ねた。
「あ、ああ、何でもないわ。じゃあ、準備して頂戴ね」
 リエリナはそう言ってその場を離れた。
 ザガードは急ぎ、着替えの準備に取り掛かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

処理中です...