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第17話 ハラハラドキドキの体験入部
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教室を出たリエリナは笑顔で、料理部がある部室に向かう。
余程機嫌が良いのか鼻歌を歌っている。
その姿を後ろから見ながら、ザガードは内心で不味いと思った。
(不味いな。お嬢様の手料理は、かなり不味いんだよな)
ザガードは歩きながら、どうにか止めようと口を開けようとしたが、リエリナの顔を見て何も言えなかった。
内心で溜め息を吐きながら、ザガードはリエリナの料理の数々を思い出す。
クッキーを作ろうとして大爆発。
ケーキを作ろうとして大爆発。
ベーコンを焼くという簡単な事なのに、何故か大爆発。
という、簡単な料理を作るだけでも、何故か大爆発を起こすのだ。
ちなみに、パンを作るのと紅茶を淹れるのだけは、何故か文句なしに美味い。
あまりに美味いので、パン屋を出せるのではと知り合いから言われている。
ザガードがそう考えている間にも、部室が近づく。
(このままでは、まずいっ)
意を決して、ザガードはリエリナを止める事にした。
此処で一時の不興を買ったとしても、公爵家の名誉を守れるのであれば安い物だと思い、ザガードは口を開こうとしたが。
「あら? 体験入部の方達?」
部室の前に居る女生徒が声を掛ける。
部屋の前に机を置いて、机の上にはノートが置かれている。
そのノートには名前が書かれているので、見た所、体験入部の生徒の名前が書かれているのだろう。
この女生徒は受付のようだ。
「はい。そうなんです」
「じゃあ、このノートに名前とクラスを書いてね」
その女生徒はノートをリエリナに見せる。
ノートに名前は書かれている所に、リエリナは自分の名前を書いた。
止める間もなく書かれたてしまい、ザガードは天井を見上げた。
「はい。OK。貴方は?」
女生徒はザガードを見る。
ザガードは首を横に振り、女生徒を見る。
「あ、あの。自分も良いですか?」
「ええ、男子生徒だろうと女子生徒だろうと構いませんよ」
ザガードはノートに自分の名前を書いた。
「はい。OKです。中に入ったら、エプロンは貰えます。髪が長い方は髪を縛って下さい」
「分かりました」
リエリナはそれを聞いて、部室に入っていく。
「ちなみに、今日は何を作るのですか?」
ザガードは部室に入る前に、女生徒に訊ねた。
「今日はパウンドケーキよ」
「パウンドケーキか」
それを聞いて、ザガードは顔を顰めた。
等量の小麦粉、バター、砂糖、卵を混ぜて型に入れて焼くという、御菓子の中では簡単な方だ。
しかし、リエリナの手に掛かれば、どんな料理になるか分からない。
(精一杯、フォローせねば)
そう、ザガードは心に誓い、部室に入る。
その後ろ姿は、まるで戦場に向かう兵士のようであった。
部室に入ると、部員の人達にそれぞれの身体に合ったサイズのエプロンを渡してくれた。
ザガードはリエリナの準備を手伝いながら、部室にいる者達を見る。
体験入部の者は全員女子で、しかも部員も全員女子であった。
男女比率があまりにも有り過ぎた。
(・・・やりずらいな)
ザガードは女子しか居ない空間には無縁な生活をしていた為、どうにも、女性特有の甘いニオイと言うのがどうにも慣れない。
しかし、リエリナが体験入部でこの部に来た以上、頑張るしかない。
(お嬢様が料理を爆発させない様に、注意して見なければ)
そう思うと、この料理部の部員と思われる人が、黒板の近くで声を出す。
「はい。今から組に分かれて、料理を作って貰います。皆さん、前に来てクジを引いて下さい」
部員は箱を持っていた。
皆、言われた通りにその箱の中に手を入れて紙を一枚取り、紙に書かれている文字を読み上げる。
リエリナも箱の中に手を入れて、紙を取り、書かれている文字を見る。
「Fです」
「はい。F班の所に行ってください」
部員に言われた通りに、リエリナはFと書かれたプレートが掛かっている調理台の所に行く。
(Fでろ。Fでろ)
と祈りながら、ザガードは箱の中に手を入れて紙を取る。
その紙に書かれている文字を見た。
「・・・・・・Gです」
ザガードは自分のクジ運の悪さを呪った。
余程機嫌が良いのか鼻歌を歌っている。
その姿を後ろから見ながら、ザガードは内心で不味いと思った。
(不味いな。お嬢様の手料理は、かなり不味いんだよな)
ザガードは歩きながら、どうにか止めようと口を開けようとしたが、リエリナの顔を見て何も言えなかった。
内心で溜め息を吐きながら、ザガードはリエリナの料理の数々を思い出す。
クッキーを作ろうとして大爆発。
ケーキを作ろうとして大爆発。
ベーコンを焼くという簡単な事なのに、何故か大爆発。
という、簡単な料理を作るだけでも、何故か大爆発を起こすのだ。
ちなみに、パンを作るのと紅茶を淹れるのだけは、何故か文句なしに美味い。
あまりに美味いので、パン屋を出せるのではと知り合いから言われている。
ザガードがそう考えている間にも、部室が近づく。
(このままでは、まずいっ)
意を決して、ザガードはリエリナを止める事にした。
此処で一時の不興を買ったとしても、公爵家の名誉を守れるのであれば安い物だと思い、ザガードは口を開こうとしたが。
「あら? 体験入部の方達?」
部室の前に居る女生徒が声を掛ける。
部屋の前に机を置いて、机の上にはノートが置かれている。
そのノートには名前が書かれているので、見た所、体験入部の生徒の名前が書かれているのだろう。
この女生徒は受付のようだ。
「はい。そうなんです」
「じゃあ、このノートに名前とクラスを書いてね」
その女生徒はノートをリエリナに見せる。
ノートに名前は書かれている所に、リエリナは自分の名前を書いた。
止める間もなく書かれたてしまい、ザガードは天井を見上げた。
「はい。OK。貴方は?」
女生徒はザガードを見る。
ザガードは首を横に振り、女生徒を見る。
「あ、あの。自分も良いですか?」
「ええ、男子生徒だろうと女子生徒だろうと構いませんよ」
ザガードはノートに自分の名前を書いた。
「はい。OKです。中に入ったら、エプロンは貰えます。髪が長い方は髪を縛って下さい」
「分かりました」
リエリナはそれを聞いて、部室に入っていく。
「ちなみに、今日は何を作るのですか?」
ザガードは部室に入る前に、女生徒に訊ねた。
「今日はパウンドケーキよ」
「パウンドケーキか」
それを聞いて、ザガードは顔を顰めた。
等量の小麦粉、バター、砂糖、卵を混ぜて型に入れて焼くという、御菓子の中では簡単な方だ。
しかし、リエリナの手に掛かれば、どんな料理になるか分からない。
(精一杯、フォローせねば)
そう、ザガードは心に誓い、部室に入る。
その後ろ姿は、まるで戦場に向かう兵士のようであった。
部室に入ると、部員の人達にそれぞれの身体に合ったサイズのエプロンを渡してくれた。
ザガードはリエリナの準備を手伝いながら、部室にいる者達を見る。
体験入部の者は全員女子で、しかも部員も全員女子であった。
男女比率があまりにも有り過ぎた。
(・・・やりずらいな)
ザガードは女子しか居ない空間には無縁な生活をしていた為、どうにも、女性特有の甘いニオイと言うのがどうにも慣れない。
しかし、リエリナが体験入部でこの部に来た以上、頑張るしかない。
(お嬢様が料理を爆発させない様に、注意して見なければ)
そう思うと、この料理部の部員と思われる人が、黒板の近くで声を出す。
「はい。今から組に分かれて、料理を作って貰います。皆さん、前に来てクジを引いて下さい」
部員は箱を持っていた。
皆、言われた通りにその箱の中に手を入れて紙を一枚取り、紙に書かれている文字を読み上げる。
リエリナも箱の中に手を入れて、紙を取り、書かれている文字を見る。
「Fです」
「はい。F班の所に行ってください」
部員に言われた通りに、リエリナはFと書かれたプレートが掛かっている調理台の所に行く。
(Fでろ。Fでろ)
と祈りながら、ザガードは箱の中に手を入れて紙を取る。
その紙に書かれている文字を見た。
「・・・・・・Gです」
ザガードは自分のクジ運の悪さを呪った。
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