20 / 31
第二十話
しおりを挟む
「とまぁ、こんな所だな。他に聞きたい事はあるか?」
「もう無いな」
聞きたい事を聞けた。
なので、問題ないと言えた。
「うむ。ならば、もう此処に居る理由は無いな」
マールスはそう言って、拳を握った。
そして、拳に魔力が込めて行く。
「では、行くとしようか。ふうううう」
息を吐くと同時にマールスの拳が輝きだした。
「いくぞ。はああああっっっ」
マールスが拳を天へと突きだすと同時に、拳から衝撃波が放たれた。
放たれた衝撃波は黒い空間に当たった。
当たった所から、ヒビ割れ出した。
そのヒビは徐々に広がっていく。蜘蛛の巣の様に。
やがて、ヒビ割れた黒い空間から穴が生まれた。
パキーン!
そんな音と共に穴が空いた黒い空間は、穴が空いた所から壊れ始めた。
黒い空間が消えると共に青い空が見えて来た。
「この岩山は空間ごと封印されていたのか」
だとしたら、マールスを壺に封印した上に土地ごと封印したという事になるな。
どんだけ怒らせたんだよ。
「この地の封印もいずれ消えるだろう。その前に、我は行くとしよう」
「そうか。じゃあな、師匠。縁があれば会おうぜ」
「うむ。お主も壮健でな」
そう言ってマールスは姿を消した。
姿は無かったが、色々と教えてくれた事ので、俺は暫くの間お礼を込めてマールスが消えた方向に頭を上げた。
少しすると、黒い空間が完全に消えた。
改めて周りを見ると、雲がまばらにある青い空と見た事も無い街並みが広がっていた。
「ようやく、人がいる所に出れたそうだな」
これでようやく、人と話す事が出来るぜ。
金は無いが、街にいけば金を稼ぐはあるだろう。
そう思い階段を下りて行った。
階段を下りて行くと、封印が解かれた事で扉が無くなっていた。
此処から降りれるのか。
草木が生えた地面が見えた。
後一歩踏み出せば、この岩山から出る事が出来る。
口の中に溜まった唾を飲み込んで、俺は一歩踏み出した。
草木の上に足が乗った。
ただ、それだけなのに、俺は嬉しいと思った。
ゴツゴツとした何も無い岩ではない、土の上に足を置く事が出来たからだろう。
そして、そのまま歩き、俺は岩山を完全に出た。
出た瞬間、岩山に連れ戻される事は無く。そのまま歩く事が出来た。
岩山から十分に離れたので後ろを振り返り岩山を見た。
すると、俺は今までの事を思い出してしまい、目から涙が流れた。
死にかけたではなく、何度も死んだからな。
痛みとか苦しいとか感じるよりも、何が起こったのか分からなかった。
地面に夥しい血が流れていた。
それで死んだのだと分かったが、正直に言って実感が湧かなかった。
本当にあの脳筋残念馬鹿男神は加減と言う言葉を知らない様だ。
まぁ、色々と教えてもらった事だけは感謝しているがな。
そう思いながら、俺は歩いて行った。
そうして、街の入り口の門まで来た。
門番の人達は俺を怪しそうな人物を見る目で見ていた。
不審な目に晒されつつ、俺は勇気をもって訊ねた。
「あの、街に入りたいのですが?」
「何処から来た?」
門番がそう訊ねると、日本から来たと言っても通じないよなと思った。
何処から来たと言えば良いだろうか。
「・・・・・・山を三つ超えた所にある所から来た」
適当にそう言ったが、門番は特に怪しむ気配を見せなかった。
「そうか。では、通行料を出せ」
「えっ、・・・・・・魔物に襲われて逃げる際に金を落した」
金を持っていないので、適当に金が払えない理由を述べた。
「では、入れる事は出来んな」
・・・・・・嘘だろう。
「もう無いな」
聞きたい事を聞けた。
なので、問題ないと言えた。
「うむ。ならば、もう此処に居る理由は無いな」
マールスはそう言って、拳を握った。
そして、拳に魔力が込めて行く。
「では、行くとしようか。ふうううう」
息を吐くと同時にマールスの拳が輝きだした。
「いくぞ。はああああっっっ」
マールスが拳を天へと突きだすと同時に、拳から衝撃波が放たれた。
放たれた衝撃波は黒い空間に当たった。
当たった所から、ヒビ割れ出した。
そのヒビは徐々に広がっていく。蜘蛛の巣の様に。
やがて、ヒビ割れた黒い空間から穴が生まれた。
パキーン!
そんな音と共に穴が空いた黒い空間は、穴が空いた所から壊れ始めた。
黒い空間が消えると共に青い空が見えて来た。
「この岩山は空間ごと封印されていたのか」
だとしたら、マールスを壺に封印した上に土地ごと封印したという事になるな。
どんだけ怒らせたんだよ。
「この地の封印もいずれ消えるだろう。その前に、我は行くとしよう」
「そうか。じゃあな、師匠。縁があれば会おうぜ」
「うむ。お主も壮健でな」
そう言ってマールスは姿を消した。
姿は無かったが、色々と教えてくれた事ので、俺は暫くの間お礼を込めてマールスが消えた方向に頭を上げた。
少しすると、黒い空間が完全に消えた。
改めて周りを見ると、雲がまばらにある青い空と見た事も無い街並みが広がっていた。
「ようやく、人がいる所に出れたそうだな」
これでようやく、人と話す事が出来るぜ。
金は無いが、街にいけば金を稼ぐはあるだろう。
そう思い階段を下りて行った。
階段を下りて行くと、封印が解かれた事で扉が無くなっていた。
此処から降りれるのか。
草木が生えた地面が見えた。
後一歩踏み出せば、この岩山から出る事が出来る。
口の中に溜まった唾を飲み込んで、俺は一歩踏み出した。
草木の上に足が乗った。
ただ、それだけなのに、俺は嬉しいと思った。
ゴツゴツとした何も無い岩ではない、土の上に足を置く事が出来たからだろう。
そして、そのまま歩き、俺は岩山を完全に出た。
出た瞬間、岩山に連れ戻される事は無く。そのまま歩く事が出来た。
岩山から十分に離れたので後ろを振り返り岩山を見た。
すると、俺は今までの事を思い出してしまい、目から涙が流れた。
死にかけたではなく、何度も死んだからな。
痛みとか苦しいとか感じるよりも、何が起こったのか分からなかった。
地面に夥しい血が流れていた。
それで死んだのだと分かったが、正直に言って実感が湧かなかった。
本当にあの脳筋残念馬鹿男神は加減と言う言葉を知らない様だ。
まぁ、色々と教えてもらった事だけは感謝しているがな。
そう思いながら、俺は歩いて行った。
そうして、街の入り口の門まで来た。
門番の人達は俺を怪しそうな人物を見る目で見ていた。
不審な目に晒されつつ、俺は勇気をもって訊ねた。
「あの、街に入りたいのですが?」
「何処から来た?」
門番がそう訊ねると、日本から来たと言っても通じないよなと思った。
何処から来たと言えば良いだろうか。
「・・・・・・山を三つ超えた所にある所から来た」
適当にそう言ったが、門番は特に怪しむ気配を見せなかった。
「そうか。では、通行料を出せ」
「えっ、・・・・・・魔物に襲われて逃げる際に金を落した」
金を持っていないので、適当に金が払えない理由を述べた。
「では、入れる事は出来んな」
・・・・・・嘘だろう。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる