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第6話
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部屋に案内された狂介は通訳の者から此処は何処なのかも訊ねた。
「此処ハ欧州の近くでにある内海だ」
内海と聞いて、瀬戸内海みたいなものかと思いながら話を続ける狂介。
「俺達を捕まえたオルチとは何者だ?」
「海賊だ。内海デは、欧州の国々二恐れらレている『バルバロス兄弟』の兄だ」
通訳が恐れながらも、オルチの事を知っている事を教えた。
海賊だと分かれば恐れるのも無理ないと思う狂介。
それから、二人は目的地の港に着くまで間、他の奴隷達に比べると快適に過ごす事が出来た。
数日後。
狂介達はジジェルに辿り着いた。
オルチ達が船から降りると、狂介達も一緒に船を降りた。
同時に捕まった乗組員と同郷の奴隷は鎖で数珠繋ぎにされながら連れて行かれた。
「何処に連れて行かれるんだ?」
「街中二ある奴隷競売場ダ。其処で売リ買いされル」
そう訊いた狂介は思わず奴隷の列を見た。
自分もオルチを助ける事をしなければ、ああやって連れて行かれたのだと思ってしまうと身がつまされる思いの様であった。
「~~~」
オルチが何かを言いながら、狂介達に手で付いて来る様に指示した。
言葉は分からないが、付いて来いと伝えているという事が分かり、狂介は奴隷の列を見るのを止めてその後を追った。勿論、通訳もその後を追った。
オルチ達の後を追かけると、ある家屋に案内された。
「~~~」
オルチがそう言って入る様に促したので、狂介達は家屋の中に入った。
家屋の中に入ると、まず目に入ったのは大きな炉であった。
狂介が故郷で使っていた炉とは材質は違うが、石炭や木炭などを燃やせる様に設備されていた。
他にも金床、槌、熱した材料を掴むための火箸など鍛造に使われる道具もあった。
一目見て鍛造の設備だと分かった狂介。
国は違えど鍛治場は同じだと思いながら見ていると、少し離れた所で円形の炉を見つけた。
狂介は何だろうと見ていると、形から見て恐らく鋳造に使う炉だと推測した。
父から刀を打つ技術を学ぶ際に砂鉄が取れない場合、鉄を溶かして刀を打つ方法なども教わった。
その時の見た鉄を溶かす炉と形が似ていた。
「~~~~~~」
其処にオルチが家屋に入って来て話しかけてきた。
狂介は言葉が湧かならないので、通訳を見た。
通訳は即座にオルチの言葉を翻訳した。
「鍛治ト一言言っても、色々あル。お前は何が出来ルと聞いているゾ」
そう訊かれて狂介は考えた。
父から刀の打ち方を教わったが、刀だけでは商いができるか分からないので包丁や農具、漁具、山林で使う刃物なども作れる様になっている。
狂介はとりあえず一番自信がある刀が出来るという事にした。
「刀」
狂介の言葉を通訳は、狂介の言葉を伝えた。
オルチはそれを聞いて、部下達に手で合図を送った。
すると、部下達は剣が入った箱を持って入って来た。
その箱を狂介達の前に置いた。
狂介は箱に入っている剣を何気なく取った。
その手に取った剣は刀身が半ば折れており無かった。
他の剣はどうかと思い手に取ると、折れているか錆が浮かんでいる物ばかりであった。
「~~~~」
オルチが剣を見ている狂介に言葉を告げた。
「これらの剣ヲ材料にやるカら、剣ヲ打て。出来ガ良けレば、相応ノ礼ヲすると言っていル」
通訳がオルチの言葉を翻訳して狂介に伝えてくれた。
「~~~」
「だガ、もし出来なカったラ、その時ハお前達ハ奴隷に逆戻リになるト思えだそうダ」
オルチの言葉を伝える通訳は顔を青ざめる。
それを聞いた狂介は胸を叩いた。
「心得た」
奴隷になると聞いた通訳はショックで、狂介の言葉を翻訳しなかった。
だが、狂介のジェスチャーから自信ありげそうだという事だけはオルチには分かった。
オルチはどうなるか楽しみなのか笑っていた。
「此処ハ欧州の近くでにある内海だ」
内海と聞いて、瀬戸内海みたいなものかと思いながら話を続ける狂介。
「俺達を捕まえたオルチとは何者だ?」
「海賊だ。内海デは、欧州の国々二恐れらレている『バルバロス兄弟』の兄だ」
通訳が恐れながらも、オルチの事を知っている事を教えた。
海賊だと分かれば恐れるのも無理ないと思う狂介。
それから、二人は目的地の港に着くまで間、他の奴隷達に比べると快適に過ごす事が出来た。
数日後。
狂介達はジジェルに辿り着いた。
オルチ達が船から降りると、狂介達も一緒に船を降りた。
同時に捕まった乗組員と同郷の奴隷は鎖で数珠繋ぎにされながら連れて行かれた。
「何処に連れて行かれるんだ?」
「街中二ある奴隷競売場ダ。其処で売リ買いされル」
そう訊いた狂介は思わず奴隷の列を見た。
自分もオルチを助ける事をしなければ、ああやって連れて行かれたのだと思ってしまうと身がつまされる思いの様であった。
「~~~」
オルチが何かを言いながら、狂介達に手で付いて来る様に指示した。
言葉は分からないが、付いて来いと伝えているという事が分かり、狂介は奴隷の列を見るのを止めてその後を追った。勿論、通訳もその後を追った。
オルチ達の後を追かけると、ある家屋に案内された。
「~~~」
オルチがそう言って入る様に促したので、狂介達は家屋の中に入った。
家屋の中に入ると、まず目に入ったのは大きな炉であった。
狂介が故郷で使っていた炉とは材質は違うが、石炭や木炭などを燃やせる様に設備されていた。
他にも金床、槌、熱した材料を掴むための火箸など鍛造に使われる道具もあった。
一目見て鍛造の設備だと分かった狂介。
国は違えど鍛治場は同じだと思いながら見ていると、少し離れた所で円形の炉を見つけた。
狂介は何だろうと見ていると、形から見て恐らく鋳造に使う炉だと推測した。
父から刀を打つ技術を学ぶ際に砂鉄が取れない場合、鉄を溶かして刀を打つ方法なども教わった。
その時の見た鉄を溶かす炉と形が似ていた。
「~~~~~~」
其処にオルチが家屋に入って来て話しかけてきた。
狂介は言葉が湧かならないので、通訳を見た。
通訳は即座にオルチの言葉を翻訳した。
「鍛治ト一言言っても、色々あル。お前は何が出来ルと聞いているゾ」
そう訊かれて狂介は考えた。
父から刀の打ち方を教わったが、刀だけでは商いができるか分からないので包丁や農具、漁具、山林で使う刃物なども作れる様になっている。
狂介はとりあえず一番自信がある刀が出来るという事にした。
「刀」
狂介の言葉を通訳は、狂介の言葉を伝えた。
オルチはそれを聞いて、部下達に手で合図を送った。
すると、部下達は剣が入った箱を持って入って来た。
その箱を狂介達の前に置いた。
狂介は箱に入っている剣を何気なく取った。
その手に取った剣は刀身が半ば折れており無かった。
他の剣はどうかと思い手に取ると、折れているか錆が浮かんでいる物ばかりであった。
「~~~~」
オルチが剣を見ている狂介に言葉を告げた。
「これらの剣ヲ材料にやるカら、剣ヲ打て。出来ガ良けレば、相応ノ礼ヲすると言っていル」
通訳がオルチの言葉を翻訳して狂介に伝えてくれた。
「~~~」
「だガ、もし出来なカったラ、その時ハお前達ハ奴隷に逆戻リになるト思えだそうダ」
オルチの言葉を伝える通訳は顔を青ざめる。
それを聞いた狂介は胸を叩いた。
「心得た」
奴隷になると聞いた通訳はショックで、狂介の言葉を翻訳しなかった。
だが、狂介のジェスチャーから自信ありげそうだという事だけはオルチには分かった。
オルチはどうなるか楽しみなのか笑っていた。
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