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序章
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遥か昔、魔界より『魔神王』と呼ばれる存在が人間界に襲来した。
魔界を統べる『魔神王』は配下の魔王軍と共に世界中を蹂躙した。
その暴挙に人間だけではなく亜人達も立ち上がり、共に魔王軍と戦った。
だが、魔族の力は強大であった。
その力に魅せられて多くの人、亜人達が魔族に寝返り嘗ての同胞仲間達と戦う事になった。
逆も然り、魔族達も長き戦に疲れ果て人間側に寝返る者達も少なからず居た。
長く続く戦争により多くの国を滅ぼされたが、人間・亜人連合軍通称『連合軍』は魔族と戦い続けた。
幾度の戦いにより両軍には『英雄』『勇者』と謳われる程の者達が多数出て来たが、それで戦争が終わるという事はなかった。
何時までも続くと思われる戦争に『連合軍』の上層部は一大作戦を決行する。
それは『連合軍』の中から選抜した『英雄』『勇者』達からなる『英勇隊』を魔族達の首魁である『魔神王』が居る本拠地『万魔宮殿』へと突入させて『魔神王』を討ち取るという作戦であった。選抜された人数は五百人に及んだ。
魔族達もその動きを察知して『万魔宮殿』には魔神王は魔族軍の精鋭中の精鋭を配備した上に『十三魔将王』と言われる魔族軍幹部を配した。
『万魔宮殿』に待ち構える魔王軍。立ち向かう『連合軍』の『英勇隊』。その戦いは後に『魔人戦役』と言われる程の激しい戦いとなった。
その激烈な戦いで両軍の九割が死亡した。
最終決戦にて魔神王と生き残った『英勇隊』の者達が戦い、ようやく魔神王を討ち取る事が出来た。
首魁を失った魔王軍は『十三魔将王』で唯一残った『幽冥の支配者』バレベルトを新しき首魁にして何処かに去った。魔界に帰ったとも、何処かの大陸で侵攻の機会を狙っていると言われている。
魔神王を討ち取った者達は二十四人居たので、その者達は『二十四英勇』と言われる様になった。
こうして、『二十四英勇』のお蔭で千年に及ぶ魔族と人間と亜人との戦が終わった。
この戦を百年続いた事から『千年戦争』と呼ばれる事となった。
「この後は諸君らが知っている通り『連合軍』は戦争に荒れ果てた国を復興し、今日に至る」
手に教科書を持っている教師を見ながら黒板に大事な事を書かれていた。
「それと此処が重要だ。その『二十四英勇』の内、我らがアルカディア皇国には何人いる?」
「「「八人です」」」
教師の問いかけに授業を受けている生徒達は自信満々に答えた。
「そう、その通りだ」
教師は生徒達の答えを聞いて満足げに頷きつつ、チラリと一番後ろの窓側の席に居る生徒を見た。
其処には白皙の肌に濃紺色の少し長めの髪をしている男子生徒がいた。
右半分から見える顔立ちは端麗で切れ目をしていた。
頬杖をつきながらも真面目に授業を聞いているので何の問題はない。
気になる点で言えば、その生徒は左半分の顔が眼帯で覆われている事と言えた。
気になりはするが、何か事情があるのだろうと思い教師は訊ねなかった。
何せ、その生徒の両親は『二十四英勇』の二人『魔神殺し』と『万能』の二人の間に出来た子であった。
その生徒の名前はエドワード=エウプュクテスという。
授業の続きをしようとしたら、終業を告げる鐘が鳴った。
「今日は此処までとする。礼」
教師がそう言って頭を下げると生徒達は立ち上がり教師に向かって一礼した。
教師は黒板に書かれた字を消して、教室から出て行った。
魔界を統べる『魔神王』は配下の魔王軍と共に世界中を蹂躙した。
その暴挙に人間だけではなく亜人達も立ち上がり、共に魔王軍と戦った。
だが、魔族の力は強大であった。
その力に魅せられて多くの人、亜人達が魔族に寝返り嘗ての同胞仲間達と戦う事になった。
逆も然り、魔族達も長き戦に疲れ果て人間側に寝返る者達も少なからず居た。
長く続く戦争により多くの国を滅ぼされたが、人間・亜人連合軍通称『連合軍』は魔族と戦い続けた。
幾度の戦いにより両軍には『英雄』『勇者』と謳われる程の者達が多数出て来たが、それで戦争が終わるという事はなかった。
何時までも続くと思われる戦争に『連合軍』の上層部は一大作戦を決行する。
それは『連合軍』の中から選抜した『英雄』『勇者』達からなる『英勇隊』を魔族達の首魁である『魔神王』が居る本拠地『万魔宮殿』へと突入させて『魔神王』を討ち取るという作戦であった。選抜された人数は五百人に及んだ。
魔族達もその動きを察知して『万魔宮殿』には魔神王は魔族軍の精鋭中の精鋭を配備した上に『十三魔将王』と言われる魔族軍幹部を配した。
『万魔宮殿』に待ち構える魔王軍。立ち向かう『連合軍』の『英勇隊』。その戦いは後に『魔人戦役』と言われる程の激しい戦いとなった。
その激烈な戦いで両軍の九割が死亡した。
最終決戦にて魔神王と生き残った『英勇隊』の者達が戦い、ようやく魔神王を討ち取る事が出来た。
首魁を失った魔王軍は『十三魔将王』で唯一残った『幽冥の支配者』バレベルトを新しき首魁にして何処かに去った。魔界に帰ったとも、何処かの大陸で侵攻の機会を狙っていると言われている。
魔神王を討ち取った者達は二十四人居たので、その者達は『二十四英勇』と言われる様になった。
こうして、『二十四英勇』のお蔭で千年に及ぶ魔族と人間と亜人との戦が終わった。
この戦を百年続いた事から『千年戦争』と呼ばれる事となった。
「この後は諸君らが知っている通り『連合軍』は戦争に荒れ果てた国を復興し、今日に至る」
手に教科書を持っている教師を見ながら黒板に大事な事を書かれていた。
「それと此処が重要だ。その『二十四英勇』の内、我らがアルカディア皇国には何人いる?」
「「「八人です」」」
教師の問いかけに授業を受けている生徒達は自信満々に答えた。
「そう、その通りだ」
教師は生徒達の答えを聞いて満足げに頷きつつ、チラリと一番後ろの窓側の席に居る生徒を見た。
其処には白皙の肌に濃紺色の少し長めの髪をしている男子生徒がいた。
右半分から見える顔立ちは端麗で切れ目をしていた。
頬杖をつきながらも真面目に授業を聞いているので何の問題はない。
気になる点で言えば、その生徒は左半分の顔が眼帯で覆われている事と言えた。
気になりはするが、何か事情があるのだろうと思い教師は訊ねなかった。
何せ、その生徒の両親は『二十四英勇』の二人『魔神殺し』と『万能』の二人の間に出来た子であった。
その生徒の名前はエドワード=エウプュクテスという。
授業の続きをしようとしたら、終業を告げる鐘が鳴った。
「今日は此処までとする。礼」
教師がそう言って頭を下げると生徒達は立ち上がり教師に向かって一礼した。
教師は黒板に書かれた字を消して、教室から出て行った。
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