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第39話
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敷地を警備していた三人の哨兵が、琴乃の雷光を受けて倒れた。
異様な光と音に敵も異常事態を察したのか、宿舎と思しき建物に次々と明かりが灯る。
鏡花も宝典を出現させると、魔術名を声にした。
《――フレンジィ・ターコイズ》
発動により、宝典は青と緑が入り乱れる無数の粒子に分解されて四散する。
鏡花が薙刀を水平に構える。飛び散った粒子は刃に吸い込まれ、まとわりつく。
彼女は薙刀を掲げると、得物を縦に素振りした。
動作に呼応して、周囲に強烈な風が巻き起こる。
谷底に落ちかけた車体を吹き飛ばしたときほどではないが、周りの土が巻き上がる。立っていることすら困難な暴風が、背後にいる慧にまで及ぶ。
《ちょちょちょ、鏡花ぁ!? あたしがいんのよっ! ここで暴れないでくれる!?》
《あ、ごめんね、吉永さん。久しぶりだったので試してみたかったんです》
《吹き飛ばされるとこだったじゃない! あたし軽いんだから気をつけなさいよねっ!》
《はい。気をつけます》
琴乃は身体を低く丸くして、髪を逆立て必死に踏ん張った。
嵐が弱まる。
敵地に、青紫の衛星で周囲を固めた琴乃が侵入する。鏡花も淑やかな歩みで敵陣に進み、琴乃の隣に並ぶ。
慧もふたりに歩み寄りつつ、右手で刀を引き抜いた。
もう一本も抜こうとしたが、やめておいた。
感覚を覚醒させる技は無制限に使えるわけではない。体力が限界に達すれば覚醒状態は保てない。連続して発動していられるのは、疲労がない状態で五分前後。宝典魔術師である千奈美と対峙する前座では、浪費は避けておきたかった。
鮮やかな光を展開する鏡花と琴乃。刀を握るだけの慧も追いついた。
「俺はヘリのある建物の屋上に向かう。琴乃、援護をお願いしたい」
「悪いけど、そんな暇はないわ」
「そうか……ならば、一人で切り抜けるしかないか」
「早とちりな奴ね。暇じゃないけど、手を貸さないとはいってないじゃない」
言葉の意味を理解しかねていた慧に、琴乃は人差し指を向けた。
まさか雷撃を食らわせようとしているのかと彼は身構えたが、そんなことはなかった。
彼女を軸に公転する十個の衛星。そのうちの二つが軌道を外れ、ゆらゆらと慧の身体に接近する。それらの青紫の輝石は軸を琴乃から慧に替え、ゆったりと規則的な公転を再開した。
「貸してあげるわ。といっても攻撃はできないわよ。アンタは魔術師じゃないからね。できるのは防御だけ。二回だけ、アンタの命を守ってくれるわ」
「敵が何人いると思っている。これでは紙同然だ」
「はぁ? 文句いってんじゃないわよ! 没収するわよ!」
「いや……わるい。失言だった。ありがたく頼らせてもらおう」
「まったく。アンタ宝典魔術師の女に勝たなきゃいけないんでしょ? そんくらいで弱音吐いてんじゃないわよ」
苦言する彼女を見て、慧は俊平に聞かされた台詞を思い出した。
吉永琴乃という少女の魅力が、少しだけ理解できたような気がした。
「――敵が来ました」
宿舎の陰から続々と人影が現れ、ライフルの銃口が向けられる。
敵は即座には火花を散らさない。どういうつもりなのかと出方を窺う。
膠着を破るように、敵の群れから二人の男女が悠然と歩み出る。
他の構成員とは違い、ふたりはライフルを装備していない。服装も盗賊組織とは場違いなスーツだ。
「傭兵ね。自分たちだけじゃ勝てないから金で雇うなんて、フリーフロムの頭目、なかなかやるじゃない。少しは楽しめそうだわ」
琴乃の挑発に、藤沢に雇われた眼鏡の男が鼻で笑った。
「どんなヤバい奴が出てくるかと思いきや、未熟なガキとはな」
もう片方の薄化粧の女性が、油断する相方を手で制する。
「気を抜くな。私の調べたところ、AMYサービスは創立以来、一人も戦死者を出していない。若くとも相当な手練に違いない」
「敵前逃亡したって戦死にはならない。勝てない相手にはそうしてきたんだろう」
「そうかもな。どちらにせよ私たちの依頼内容は目標の抹殺だ。弱いなら、それに越したことはない」
「それだと、こちらは楽しめそうにないな」
傭兵の二人は挑発を返すなり、腕を伸ばし手先に燐光を発生させる。次の瞬間には宝典が現れた。それぞれが異なる魔術の番号を唱える。
「慧、アンタの助けたい女がヘリのある建物に逃げたわ」
琴乃は二人の傭兵を捉えながら言った。
彼自身の目でも、宿舎から出た千奈美が奥の建物に移動するのを目撃した。
敵の挑発に激昂せず、琴乃は周囲の状況に気を配っていた。
しかし会話を聞いていなかったわけではない。彼女は唇に嘲りを浮かべた。
「何も知らないっていうのは幸せね。第四宝典魔術は主に降りかかる全ての障害を排除する魔術よ。それは守られるに値する高貴な者にしか許されない。金さえもらえば何でもするアンタたちみたいな下衆じゃ、束になっても敵わないわ」
琴乃の身体を巡る衛星が、より鮮烈な雷光をまとう。
蒼い輝きに照らされ、琴乃は隣に立つ慧を横目で見た。
「早く行きなさい。誰のためにこんな面倒を起こしてると思ってるわけ?」
「あ、ああ。……わかった。予定通り、俺は千奈美を追う」
「――上倉くん」
慧が駆け出した直後、鏡花は彼の名前を呼んだ。足が止まる。
以前にも同じことがあったと、彼は思い出した。
魔術を帯びた薙刀の起こす風に、鏡花の長髪が揺れる。戦闘の最中であるというのに、彼女はいつもと変わらず優しく微笑んでいた。
「頑張ってね」
かけられたのは、そんな短い言葉。
わざわざ呼び止めてまで言う必要は感じられず、いい加減で適当な発言とも受け取られかねない。そんな単純すぎる言葉。
ただ、慧の胸には響いた。
単純だからこそ、応援してくれる意思が確実に伝わる。
一人で全てをこなそうとしていた慧には、支えてくれる鏡花の存在が素直に嬉しかった。
「任せろ」
気恥ずかしさを覚えながらも勇ましく返答する。
千奈美を求めて駆け出した。
直後、彼の背後で苛烈な銃撃と魔術が沸き起こった。
◆
二棟並ぶ高層建造物のうち、千奈美と藤沢はヘリが鎮座する奥の建物に逃げ込んだ。
慧の目的地はそこなのだが、直線で移動するには、鏡花と琴乃が敵と衝突している戦場を横切る必要がある。それはあまりにも無謀だ。彼は可能な限り危険を避けるため、外側から迂回することにした。
手前の建物を壁沿いに進み、奥の建物を結ぶ連絡通路の下まで到達した。
頭上を確認する。高所に敵は潜んでいない。
好機を逃すわけにはいかない。慧は連絡通路の影に紛れ、奥の建物を目指す。
眼前を数発の閃光が通過した。
頭上に敵がいないから安全というわけではない。弾丸の飛んできた方角を見ると、宿舎にいる敵の一部が彼を捕捉していた。
だが、動く的に当てるのは困難だ。琴乃の守護もあるのだから恐れる必要などない。飛来する弾丸に構わず駆け抜ける。
「くっ――!」
青紫の光がはじけ、雷鳴が慧の耳元で炸裂する。
運が悪いと愚痴をこぼしたくなる。その感情を抑え、彼は一つに減った衛星とともに奥の建物に到達した。
ガラスのない窓枠から、建物内に身体を投げ入れる。
「……なんだ、ここは」
内部の構造を目の当たりにした彼の口から、声が漏れた。
広大な面積を誇る建物だが、内部は点々と支柱が立っているだけ。部屋がまったく区切られておらず、階全体が巨大な広間になっていた。
ここは廃墟なのか。そうだとすれば、元は何を目的とした施設だったのか。じっくりと見物したい欲が慧に芽生える。
だが、いまは優先すべきことがある。
ヘリが脱走手段であるならば、藤沢が屋上に向かったことは確実だ。
殺風景な広間の片隅に、慧の暗順応した瞳が上階に続く階段を発見する。足音を殺すこともせず駆け寄り、彼は階段の前に立つ。
――この先か。
階段の一段目に足をかけようとして、すぐに足を引き戻した。
斜め上に見える二階への入口は、灰色の厚い氷で塞がれていた。
異様な光と音に敵も異常事態を察したのか、宿舎と思しき建物に次々と明かりが灯る。
鏡花も宝典を出現させると、魔術名を声にした。
《――フレンジィ・ターコイズ》
発動により、宝典は青と緑が入り乱れる無数の粒子に分解されて四散する。
鏡花が薙刀を水平に構える。飛び散った粒子は刃に吸い込まれ、まとわりつく。
彼女は薙刀を掲げると、得物を縦に素振りした。
動作に呼応して、周囲に強烈な風が巻き起こる。
谷底に落ちかけた車体を吹き飛ばしたときほどではないが、周りの土が巻き上がる。立っていることすら困難な暴風が、背後にいる慧にまで及ぶ。
《ちょちょちょ、鏡花ぁ!? あたしがいんのよっ! ここで暴れないでくれる!?》
《あ、ごめんね、吉永さん。久しぶりだったので試してみたかったんです》
《吹き飛ばされるとこだったじゃない! あたし軽いんだから気をつけなさいよねっ!》
《はい。気をつけます》
琴乃は身体を低く丸くして、髪を逆立て必死に踏ん張った。
嵐が弱まる。
敵地に、青紫の衛星で周囲を固めた琴乃が侵入する。鏡花も淑やかな歩みで敵陣に進み、琴乃の隣に並ぶ。
慧もふたりに歩み寄りつつ、右手で刀を引き抜いた。
もう一本も抜こうとしたが、やめておいた。
感覚を覚醒させる技は無制限に使えるわけではない。体力が限界に達すれば覚醒状態は保てない。連続して発動していられるのは、疲労がない状態で五分前後。宝典魔術師である千奈美と対峙する前座では、浪費は避けておきたかった。
鮮やかな光を展開する鏡花と琴乃。刀を握るだけの慧も追いついた。
「俺はヘリのある建物の屋上に向かう。琴乃、援護をお願いしたい」
「悪いけど、そんな暇はないわ」
「そうか……ならば、一人で切り抜けるしかないか」
「早とちりな奴ね。暇じゃないけど、手を貸さないとはいってないじゃない」
言葉の意味を理解しかねていた慧に、琴乃は人差し指を向けた。
まさか雷撃を食らわせようとしているのかと彼は身構えたが、そんなことはなかった。
彼女を軸に公転する十個の衛星。そのうちの二つが軌道を外れ、ゆらゆらと慧の身体に接近する。それらの青紫の輝石は軸を琴乃から慧に替え、ゆったりと規則的な公転を再開した。
「貸してあげるわ。といっても攻撃はできないわよ。アンタは魔術師じゃないからね。できるのは防御だけ。二回だけ、アンタの命を守ってくれるわ」
「敵が何人いると思っている。これでは紙同然だ」
「はぁ? 文句いってんじゃないわよ! 没収するわよ!」
「いや……わるい。失言だった。ありがたく頼らせてもらおう」
「まったく。アンタ宝典魔術師の女に勝たなきゃいけないんでしょ? そんくらいで弱音吐いてんじゃないわよ」
苦言する彼女を見て、慧は俊平に聞かされた台詞を思い出した。
吉永琴乃という少女の魅力が、少しだけ理解できたような気がした。
「――敵が来ました」
宿舎の陰から続々と人影が現れ、ライフルの銃口が向けられる。
敵は即座には火花を散らさない。どういうつもりなのかと出方を窺う。
膠着を破るように、敵の群れから二人の男女が悠然と歩み出る。
他の構成員とは違い、ふたりはライフルを装備していない。服装も盗賊組織とは場違いなスーツだ。
「傭兵ね。自分たちだけじゃ勝てないから金で雇うなんて、フリーフロムの頭目、なかなかやるじゃない。少しは楽しめそうだわ」
琴乃の挑発に、藤沢に雇われた眼鏡の男が鼻で笑った。
「どんなヤバい奴が出てくるかと思いきや、未熟なガキとはな」
もう片方の薄化粧の女性が、油断する相方を手で制する。
「気を抜くな。私の調べたところ、AMYサービスは創立以来、一人も戦死者を出していない。若くとも相当な手練に違いない」
「敵前逃亡したって戦死にはならない。勝てない相手にはそうしてきたんだろう」
「そうかもな。どちらにせよ私たちの依頼内容は目標の抹殺だ。弱いなら、それに越したことはない」
「それだと、こちらは楽しめそうにないな」
傭兵の二人は挑発を返すなり、腕を伸ばし手先に燐光を発生させる。次の瞬間には宝典が現れた。それぞれが異なる魔術の番号を唱える。
「慧、アンタの助けたい女がヘリのある建物に逃げたわ」
琴乃は二人の傭兵を捉えながら言った。
彼自身の目でも、宿舎から出た千奈美が奥の建物に移動するのを目撃した。
敵の挑発に激昂せず、琴乃は周囲の状況に気を配っていた。
しかし会話を聞いていなかったわけではない。彼女は唇に嘲りを浮かべた。
「何も知らないっていうのは幸せね。第四宝典魔術は主に降りかかる全ての障害を排除する魔術よ。それは守られるに値する高貴な者にしか許されない。金さえもらえば何でもするアンタたちみたいな下衆じゃ、束になっても敵わないわ」
琴乃の身体を巡る衛星が、より鮮烈な雷光をまとう。
蒼い輝きに照らされ、琴乃は隣に立つ慧を横目で見た。
「早く行きなさい。誰のためにこんな面倒を起こしてると思ってるわけ?」
「あ、ああ。……わかった。予定通り、俺は千奈美を追う」
「――上倉くん」
慧が駆け出した直後、鏡花は彼の名前を呼んだ。足が止まる。
以前にも同じことがあったと、彼は思い出した。
魔術を帯びた薙刀の起こす風に、鏡花の長髪が揺れる。戦闘の最中であるというのに、彼女はいつもと変わらず優しく微笑んでいた。
「頑張ってね」
かけられたのは、そんな短い言葉。
わざわざ呼び止めてまで言う必要は感じられず、いい加減で適当な発言とも受け取られかねない。そんな単純すぎる言葉。
ただ、慧の胸には響いた。
単純だからこそ、応援してくれる意思が確実に伝わる。
一人で全てをこなそうとしていた慧には、支えてくれる鏡花の存在が素直に嬉しかった。
「任せろ」
気恥ずかしさを覚えながらも勇ましく返答する。
千奈美を求めて駆け出した。
直後、彼の背後で苛烈な銃撃と魔術が沸き起こった。
◆
二棟並ぶ高層建造物のうち、千奈美と藤沢はヘリが鎮座する奥の建物に逃げ込んだ。
慧の目的地はそこなのだが、直線で移動するには、鏡花と琴乃が敵と衝突している戦場を横切る必要がある。それはあまりにも無謀だ。彼は可能な限り危険を避けるため、外側から迂回することにした。
手前の建物を壁沿いに進み、奥の建物を結ぶ連絡通路の下まで到達した。
頭上を確認する。高所に敵は潜んでいない。
好機を逃すわけにはいかない。慧は連絡通路の影に紛れ、奥の建物を目指す。
眼前を数発の閃光が通過した。
頭上に敵がいないから安全というわけではない。弾丸の飛んできた方角を見ると、宿舎にいる敵の一部が彼を捕捉していた。
だが、動く的に当てるのは困難だ。琴乃の守護もあるのだから恐れる必要などない。飛来する弾丸に構わず駆け抜ける。
「くっ――!」
青紫の光がはじけ、雷鳴が慧の耳元で炸裂する。
運が悪いと愚痴をこぼしたくなる。その感情を抑え、彼は一つに減った衛星とともに奥の建物に到達した。
ガラスのない窓枠から、建物内に身体を投げ入れる。
「……なんだ、ここは」
内部の構造を目の当たりにした彼の口から、声が漏れた。
広大な面積を誇る建物だが、内部は点々と支柱が立っているだけ。部屋がまったく区切られておらず、階全体が巨大な広間になっていた。
ここは廃墟なのか。そうだとすれば、元は何を目的とした施設だったのか。じっくりと見物したい欲が慧に芽生える。
だが、いまは優先すべきことがある。
ヘリが脱走手段であるならば、藤沢が屋上に向かったことは確実だ。
殺風景な広間の片隅に、慧の暗順応した瞳が上階に続く階段を発見する。足音を殺すこともせず駆け寄り、彼は階段の前に立つ。
――この先か。
階段の一段目に足をかけようとして、すぐに足を引き戻した。
斜め上に見える二階への入口は、灰色の厚い氷で塞がれていた。
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