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第6話 怪盗シャドウ抹殺計画

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「はあっ、はあっ、はあっ・・・」

「巨乳好きのー、変態は―、どーこだー?」

 シャドウは屋敷にある客間の一つに隠れた。
 ドアの向こうでは殺人マシーンと化したマティルダがゆっくりとした足取りで廊下を歩いてきている。

「さて・・・どうしたものかな」

 一番、手っ取り早い手段はマティルダを殺してしまうことだ。
 あの鎧の魔法抵抗がどれくらいかはわからない。しかし、賢者であるシャドウが全力で魔法を打ち込めば、まず無事では済まないだろう。

「でもなあ・・・その勝ち方は俺の流儀に反するな」

 マティルダは思い込みが激しく問題のある人物ではあるが、決して悪人ではない。
 マッドサイエンティストの爺に利用されているだけのマティルダを死なせるのは、シャドウにとって面白くない展開である。

「何とかあの鎧だけを破壊できればいいんだが・・・」

 当然ながら、ローウィ・サンダロンとてシャドウがそうするのは読んでいるだろう。武装解除系の魔法が通用するとは思えなかった。

「とりあえずは、このまま隠れてやり過ごすか・・・」

「どーこーだー、へーんたーいさーん!」

「・・・・・・」

 シャドウは息を潜めて、マティルダが廊下を通り過ぎるのを待った。

 コツ、コツ、コツ・・・断続的に足音が響き、徐々に大きくなっていく。

「・・・・・・ゴクッ」

 感じたことがない種類の緊張感に胸が激しいビートを刻む。知らず知らずに唾を飲み込んで、その時が来るのをひたすら待った。

「どーこーだー・・・」

 ピタリ。
 シャドウが潜む部屋の前で、マティルダの足が止まった。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 激しい恐怖と緊張にドク、ドク、と鼓動が強くなる。心音のせいで見つかるんじゃないかとシャドウが懸念に思った瞬間。

「へーんたーいさーん! 出-ておーいでー!」

 マティルダが部屋の前から離れていった。声と足音が徐々に遠ざかっていく。

「・・・・・・ふう」

 シャドウが安堵の息をつく。
 これで少しは時間が稼げた。その間に対策

「見―つーけーたー!!!」

「ぎゃああああああああああっ!?」

 扉が破られてマティルダが飛び込んできた。
 真っ赤に血走った瞳がシャドウを捉える。三日月形に歪んだ唇の隙間からはチロチロと赤い舌が覗いている。
「シャイ〇ング」という謎の単語がシャドウの頭に浮かんだ。

「こんな所にいたああああああああっ!」

「だ、第二階梯魔法【火弾】!」

 シャドウが苦し紛れに魔法を撃つが、放たれた火球はマティルダの身体にぶつかった途端に跡形もなく消滅してしまう。

「やはり魔法抵抗が・・・」

「巨乳好きしねえええええええええ!」

 マティルダは部屋の天井スレスレまで跳躍して、光り輝く凶刃をシャドウの頭上へと振り下ろした。
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