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「うわああああああああああっ!?」
「きゃああああああああああっ!!」
「ば、化け物だああああああっ!!」
青白い光の中で再び悲鳴が上がった。
いったいどこから湧き出してきたのか、会場中に異形の怪物が現れたのである。
肉も皮もないというのに立って動いている骸骨。狼の頭に人間の胴体を持った裸の男。頭部が3つもある白髪の老人。全身墨を塗ったように真っ黒で男か女かすらもわからない怪人。ハロウィンのようなカボチャ頭に針金細工のような細い胴体の子供。
見る者を発狂させるようなおぞましい化け物の群れが会場を埋め尽くし、舞踏会の参加者を取り囲む。
「うわああああああああああっ! 離せ、離してくれ!」
「きゃああああああああああっ! リチャード様、助けてえええええっ!」
当事者であるリチャードとメアリーは数体の骸骨によって捕縛され、床に跪くような形で取り押さえられていた。
そんな魑魅魍魎の坩堝となった会場で、平然としているのはカトリーナただ1人である。
「リチャード、貴方は私のことを気味が悪くておぞましいとまで言ったわよね。この子達の姿を見ても、まだ私が醜く見えるかしら?」
「り、カトリーナ!? まさか、この化け物どもは君が呼び出したのか!?」
「ええ、そうですわ。彼らは私の父に仕えている配下。冥界の軍勢の一部ですわ!」
床に這いつくばった元・婚約者を見下ろして、カトリーナは嫣然と微笑んだ。
まるで魔女のような笑みはこんな状況でありながら酷く美しく、目を奪われたようにリチャードは瞳を見開く。
「き、君は、いったい……」
「そうねえ、契約が破棄された以上、もう話してもいいかしら?」
困惑する婚約者を憐れむように見下ろして、カトリーナが首を傾げながら言う。
「改めて名乗らせていただくわね。私の名前はカトリーナ・ミクトラン。地の底にある冥界の王の娘ですわ!」
「なっ……!」
「あら、そんなに驚くことかしら? 私が異国の人間であることは御存じのはずでしょう。それに……私が『死神』みたいだって貴方も言ったじゃない。正体を言い当てられたかと思ってビックリしたわ」
「っ……!」
ありえない返答を受けて、リチャードが顔を引きつらせる。
カトリーナが異国から自分の妻となるために留学してきたことは知っていたが、まさか冥界からやって来たなどとは思いもしなかったのだ。
「な、なんだって……!? どうして冥王の娘がこの国に嫁いで……」
「そうねえ、それは国王陛下の口から聞いたほうがいいのだろうけど……」
「…………」
カトリーナはエドワード王へと目を向けた。
王は茫然と床に座り込んでおり、カトリーナの声に応えもしない。
まるで魂を抜かれたように放心している。
「まあ、この様子だから。私から説明したほうがよろしいわね」
言って、カトリーナは身動きが取れなくなったリチャードへと歩み寄ってくる。
リチャードは本能的な恐怖を感じるが、両腕を骸骨に取り押さえられているため逃げることもできない。
カトリーナの手がリチャードの頬に触れる。
瞬間、目の前が真っ白に染まり――この場ではない何処かの光景が脳裏に映し出された。
――――――――――
お知らせ
以下の作品も投稿していますので、どうぞよろしくお願いします。
・悪役令嬢だから暗殺してもいいよね! 婚約破棄はかまいませんが、無実を証明するためにとりあえず毒殺します。
・悪逆覇道のブレイブソウル ゲームの悪役に転生したので勇者も魔王も倒してハーレムを作る
「きゃああああああああああっ!!」
「ば、化け物だああああああっ!!」
青白い光の中で再び悲鳴が上がった。
いったいどこから湧き出してきたのか、会場中に異形の怪物が現れたのである。
肉も皮もないというのに立って動いている骸骨。狼の頭に人間の胴体を持った裸の男。頭部が3つもある白髪の老人。全身墨を塗ったように真っ黒で男か女かすらもわからない怪人。ハロウィンのようなカボチャ頭に針金細工のような細い胴体の子供。
見る者を発狂させるようなおぞましい化け物の群れが会場を埋め尽くし、舞踏会の参加者を取り囲む。
「うわああああああああああっ! 離せ、離してくれ!」
「きゃああああああああああっ! リチャード様、助けてえええええっ!」
当事者であるリチャードとメアリーは数体の骸骨によって捕縛され、床に跪くような形で取り押さえられていた。
そんな魑魅魍魎の坩堝となった会場で、平然としているのはカトリーナただ1人である。
「リチャード、貴方は私のことを気味が悪くておぞましいとまで言ったわよね。この子達の姿を見ても、まだ私が醜く見えるかしら?」
「り、カトリーナ!? まさか、この化け物どもは君が呼び出したのか!?」
「ええ、そうですわ。彼らは私の父に仕えている配下。冥界の軍勢の一部ですわ!」
床に這いつくばった元・婚約者を見下ろして、カトリーナは嫣然と微笑んだ。
まるで魔女のような笑みはこんな状況でありながら酷く美しく、目を奪われたようにリチャードは瞳を見開く。
「き、君は、いったい……」
「そうねえ、契約が破棄された以上、もう話してもいいかしら?」
困惑する婚約者を憐れむように見下ろして、カトリーナが首を傾げながら言う。
「改めて名乗らせていただくわね。私の名前はカトリーナ・ミクトラン。地の底にある冥界の王の娘ですわ!」
「なっ……!」
「あら、そんなに驚くことかしら? 私が異国の人間であることは御存じのはずでしょう。それに……私が『死神』みたいだって貴方も言ったじゃない。正体を言い当てられたかと思ってビックリしたわ」
「っ……!」
ありえない返答を受けて、リチャードが顔を引きつらせる。
カトリーナが異国から自分の妻となるために留学してきたことは知っていたが、まさか冥界からやって来たなどとは思いもしなかったのだ。
「な、なんだって……!? どうして冥王の娘がこの国に嫁いで……」
「そうねえ、それは国王陛下の口から聞いたほうがいいのだろうけど……」
「…………」
カトリーナはエドワード王へと目を向けた。
王は茫然と床に座り込んでおり、カトリーナの声に応えもしない。
まるで魂を抜かれたように放心している。
「まあ、この様子だから。私から説明したほうがよろしいわね」
言って、カトリーナは身動きが取れなくなったリチャードへと歩み寄ってくる。
リチャードは本能的な恐怖を感じるが、両腕を骸骨に取り押さえられているため逃げることもできない。
カトリーナの手がリチャードの頬に触れる。
瞬間、目の前が真っ白に染まり――この場ではない何処かの光景が脳裏に映し出された。
――――――――――
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・悪役令嬢だから暗殺してもいいよね! 婚約破棄はかまいませんが、無実を証明するためにとりあえず毒殺します。
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