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第3章 南海冒険編
24.総督府での戦い
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「総督府に攻め込めええええええっ!」
『おおおおおおおおっ!』
海賊達はいくつかのグループに分かれて、別々のルートから総督府へと進軍した。
2000人の獅子王船団のうち、陸に攻め上がったのは1500人である。
残りの500人は万が一の場合に備えて、船の上で待機している。
攻め込んだ海賊のほとんどは獅子王船団の中でも下っぱであったが、その士気は決して低くない。
この戦いで手柄をあげれば獅子王国の内部でも高い地位を得られるということもあり、意気揚々と町中を駆けていく。
「・・・来たようだな」
ブルートス警備隊隊長・ランディは港から響いてくる怒号を耳にして、手に持った槍を強く握りしめる。
総督府周辺に陣取った警備隊の兵数は約300。攻め込んでくる海賊の五分の一ほどである。
警備隊は総督府を囲むようにして布陣して、かき集めた木材を使って即席の砦を構築していた。
皮肉なことだが、昨日の襲撃によって多くの建物が壊れてしまったおかげで、残骸から使えそうな資材をかき集めるのには苦労しなかった。
総督府へとつながる道すべてをバリケードでふさぎ、後方には弓を構えた警備兵が待機している。
「いいか、1時間だ! たった1時間、保たせればいい! ここを守り切れば俺達の勝利だ!」
『おお!』
昨日の襲撃によって残った警備兵の半分が逃げ出してしまった。逃げ出した警備兵の多くは、他の町からは流れてきた者達である。
対して、この場に残っているのはこの町で生まれ育ち、この町を守ることだけを考えている者達。あの理不尽な砲撃を見ても逃げ出さなかった決死隊であった。
その士気は勝ち戦を確信する海賊よりも高く、隊長のランディを中心に強い結束で結ばれていた。
そして・・・とうとう、海賊達が総督府へと到着した。
「攻めろおおおおおおおおおおっ!」
『うおおおおおおおおっ!』
指揮官の男が叫び、海賊が鬨の声を上げて総督府へと一斉に攻めかかる。
「殺せ! 奪え! 一人残らず皆殺しだ!」
「ひゃひゃひゃひゃひゃっ! 血を見せろ!」
「守れ! ここから一歩も通すな!」
剣や斧でバリケードを破ろうとする海賊を、柵の隙間から警備隊が槍で突く。後方からは矢が放たれて海賊の頭上へと降り注ぐ。
「柵を壊すぞ! 中に入ってしまえばこっちのものだ! 財を奪え! 女を犯せ!」
「ひゃひゃひゃっ、総督府には女もいるぞ! 犯し放題だ!」
『おおおおおおおおっ!』
あまりにも下卑た指示であったが、それは海賊達にとって何よりの起爆剤であった。
獅子王国の兵士という形をとってはいるが、しょせんは奪うことしか考えていない無法者の集まりである。
未来の立身出世などよりも、目の前の女を犯すことのほうが遥かにやる気が引き出されるようだ。
「くっ・・・なんて下品な!」
ニンジンをぶら下げられた馬のように勢いを上げた海賊に、ランディは奥歯を噛みしめて忌々しそうに唸った。
総督府の中には逃げ場のアテがない者や、ケガや病気で身動きが取れない者達が避難している。
もしもランディ達がここを抜かれてしまえば、彼らが悲惨な末路をたどることが容易に想像できた。
「守り切るぞ! 一歩も通すな!」
『おおっ!』
警備隊は狭い道幅とバリケードを利用して、数の差を補いながら戦った。
しかし、衰えることのない海賊の勢いに押されて、徐々に疲労が重なる。
時間が経つにつれて少しずつ、バリケードも壊されていった。
そして、数十分後。
とうとう、総督府を守る警備隊に限界が訪れた。
「ダメです! これ以上は持ちません!」
「西側、突破されます! 応援を・・・!」
「南側も、もう・・・ぐあっ!」
「クソッ! あと少しだ、もう少しだけ耐えるぞ!」
『おおっ・・・!』
ランディの鋭い指示を叫ぶが、それに応える兵士の声には徐々に覇気がなくなっていく。
バリケードを突破されるのが時間の問題なのは、戦に出た経験がないランディにだって理解できた。
「ひゃひゃひゃひゃっ! そのまま攻めろ! 殺しまくれ!」
「犯せ! 殺せ!」
「くっ・・・限界だな」
ランディは近づいてくる海賊の声を聞き、苛立ちを込めて地面を踏みつける。
(このままでは突破される・・・仕方がない、少し早いが作戦を実行するしかないか・・・!)
「ラッパを鳴らせ! 合図を出すぞ!」
「はいっ!」
ランディは悔しそうに表情を歪めて、若い警備兵へと命じる。
指示を受けた警備兵は軍用のラッパに口をつけて、空に向けて高々と音を放った。
『おおおおおおおおっ!』
海賊達はいくつかのグループに分かれて、別々のルートから総督府へと進軍した。
2000人の獅子王船団のうち、陸に攻め上がったのは1500人である。
残りの500人は万が一の場合に備えて、船の上で待機している。
攻め込んだ海賊のほとんどは獅子王船団の中でも下っぱであったが、その士気は決して低くない。
この戦いで手柄をあげれば獅子王国の内部でも高い地位を得られるということもあり、意気揚々と町中を駆けていく。
「・・・来たようだな」
ブルートス警備隊隊長・ランディは港から響いてくる怒号を耳にして、手に持った槍を強く握りしめる。
総督府周辺に陣取った警備隊の兵数は約300。攻め込んでくる海賊の五分の一ほどである。
警備隊は総督府を囲むようにして布陣して、かき集めた木材を使って即席の砦を構築していた。
皮肉なことだが、昨日の襲撃によって多くの建物が壊れてしまったおかげで、残骸から使えそうな資材をかき集めるのには苦労しなかった。
総督府へとつながる道すべてをバリケードでふさぎ、後方には弓を構えた警備兵が待機している。
「いいか、1時間だ! たった1時間、保たせればいい! ここを守り切れば俺達の勝利だ!」
『おお!』
昨日の襲撃によって残った警備兵の半分が逃げ出してしまった。逃げ出した警備兵の多くは、他の町からは流れてきた者達である。
対して、この場に残っているのはこの町で生まれ育ち、この町を守ることだけを考えている者達。あの理不尽な砲撃を見ても逃げ出さなかった決死隊であった。
その士気は勝ち戦を確信する海賊よりも高く、隊長のランディを中心に強い結束で結ばれていた。
そして・・・とうとう、海賊達が総督府へと到着した。
「攻めろおおおおおおおおおおっ!」
『うおおおおおおおおっ!』
指揮官の男が叫び、海賊が鬨の声を上げて総督府へと一斉に攻めかかる。
「殺せ! 奪え! 一人残らず皆殺しだ!」
「ひゃひゃひゃひゃひゃっ! 血を見せろ!」
「守れ! ここから一歩も通すな!」
剣や斧でバリケードを破ろうとする海賊を、柵の隙間から警備隊が槍で突く。後方からは矢が放たれて海賊の頭上へと降り注ぐ。
「柵を壊すぞ! 中に入ってしまえばこっちのものだ! 財を奪え! 女を犯せ!」
「ひゃひゃひゃっ、総督府には女もいるぞ! 犯し放題だ!」
『おおおおおおおおっ!』
あまりにも下卑た指示であったが、それは海賊達にとって何よりの起爆剤であった。
獅子王国の兵士という形をとってはいるが、しょせんは奪うことしか考えていない無法者の集まりである。
未来の立身出世などよりも、目の前の女を犯すことのほうが遥かにやる気が引き出されるようだ。
「くっ・・・なんて下品な!」
ニンジンをぶら下げられた馬のように勢いを上げた海賊に、ランディは奥歯を噛みしめて忌々しそうに唸った。
総督府の中には逃げ場のアテがない者や、ケガや病気で身動きが取れない者達が避難している。
もしもランディ達がここを抜かれてしまえば、彼らが悲惨な末路をたどることが容易に想像できた。
「守り切るぞ! 一歩も通すな!」
『おおっ!』
警備隊は狭い道幅とバリケードを利用して、数の差を補いながら戦った。
しかし、衰えることのない海賊の勢いに押されて、徐々に疲労が重なる。
時間が経つにつれて少しずつ、バリケードも壊されていった。
そして、数十分後。
とうとう、総督府を守る警備隊に限界が訪れた。
「ダメです! これ以上は持ちません!」
「西側、突破されます! 応援を・・・!」
「南側も、もう・・・ぐあっ!」
「クソッ! あと少しだ、もう少しだけ耐えるぞ!」
『おおっ・・・!』
ランディの鋭い指示を叫ぶが、それに応える兵士の声には徐々に覇気がなくなっていく。
バリケードを突破されるのが時間の問題なのは、戦に出た経験がないランディにだって理解できた。
「ひゃひゃひゃひゃっ! そのまま攻めろ! 殺しまくれ!」
「犯せ! 殺せ!」
「くっ・・・限界だな」
ランディは近づいてくる海賊の声を聞き、苛立ちを込めて地面を踏みつける。
(このままでは突破される・・・仕方がない、少し早いが作戦を実行するしかないか・・・!)
「ラッパを鳴らせ! 合図を出すぞ!」
「はいっ!」
ランディは悔しそうに表情を歪めて、若い警備兵へと命じる。
指示を受けた警備兵は軍用のラッパに口をつけて、空に向けて高々と音を放った。
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