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魔女(3)
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「ラクシャータ・・・」
マリアンヌは震える声でその名前をつぶやいた。
聞き覚えがあるような気がしたが、血を流しすぎて頭がぼんやりして思い出すことができなかった。
「・・・って、すごいケガをしてるじゃないの!? そのまま動かないで!」
ラクシャータがマリアンヌのそばへと駆け寄ってきて、切り裂かれた胸部へと触れる。
マリアンヌの胸は鋭い刃で斬られたような傷があり、今もとめどなく血が流れ続けていた。
マリアンヌは知らないことであったが、この森は『魔の深域』と呼ばれる場所で強力な魔物が多数生息している。
あの巨熊もその一体であり、頭部の角は研ぎ澄まされた日本刀に匹敵する切れ味があった。
「えいっ、エクスヒール」
「え?」
ラクシャータの手の平から温かな光が放たれ、胸部の裂傷へと浸み込んでいく。
やがて光が消えたときには傷は跡形もなく消えていた。
「嘘・・・」
マリアンヌは茫然とした声でつぶやいた。
死を待つばかりであった身体は清々しいまでに回復していて、胸の傷だけではなく、崖から落ちたときに負った手足の負傷まで消えていた。
ラクシャータが使った「エクスヒール」という魔法は治癒魔法の中でも高位に位置するもので、それこそ聖女クラスの『癒し』属性持ちでなければ使用できないものだった。
「ラクシャータ・・・・・・ラクシャータ・イワン!?」
「ん?」
マリアンヌはようやく、その名前を思い出して口から叫んでいた。
それはレイフェルトとの最後の会話にも出てきた、汚れた聖女の名前であった。
婚約者がいる身でありながら姦通を行い、神の加護を失って追放された愚かな聖女。
「私の名前を知ってるの? どっかで会ったかな?」
ラクシャータは両手を組んで、うーん、と首を傾げた。
マリアンヌの記憶が確かであれば、ラクシャータ・イワンは200年以上も前の時代に生きていた人物である。
目の前にいる女性はどう考えても20代前半ほどの年齢にしか見えなかった。
「あ、ひょっとして、ローズマリーちゃん? 久しぶりね! 150年ぶりかしら!」
「い、いえ、違います。人違いです!」
マリアンヌはぶんぶんと両手を振る。
何代か前の祖先にそんな人がいたような気がしたが、今はそれを確認する余裕はなかった。
「あの・・・本当に、ラクシャータ・イワンさんなのですか?」
「うーん・・・人にものを尋ねるときには、先にすることがないかしら?」
ラクシャータが子供のように唇を尖らせた。
マリアンヌはハッと気がついて頭を下げた。
「失礼しました! 私はマリアンヌと申します! その・・・助けてくれて、ありがとうございました」
「はい、どういたしまして・・・さっきの質問だけど、私がラクシャータ・イワンで間違いないわよ」
「そうですか・・・本当に」
マリアンヌは瞳を細めて、考え込んだ。
目の前の人物がラクシャータ・イワンだとするならば、様々な疑問が浮上してくる。
どうして老いることなく200年以上も生きているのか、とか。
どうして魔物の巣窟であるこの森に棲んでいるのか、とか。
どうして・・・聖女の力を失くしたはずのラクシャータが治癒魔法を使うことができるのか、とか。
「あの・・・」
「あ、ちょっと待って」
思いつく限りの質問をぶつけてみようとマリアンヌが口を開くが、ラクシャータが手をかざして遮った。
人差し指を立てて、ひょい、とマリアンヌの身体を指さした。
「とりあえず場所を変えない? すごいエロいことになってるし、着替えぐらい貸すわよ?」
「え・・・?」
ラクシャータの指を追って視線を下ろすと、そこにはむき出しになったマリアンヌの胸部があった。
巨熊の角で切り裂かれた傷はすっかり治っているが、エクスヒールも服までは直せない。
斜めに切り裂かれたドレスからは形の良い二つの乳房がポロリとこぼれていて、ピンクの先端までもがあらわになっていて・・・
「ひゃ、ひゃああああああああああっ!」
マリアンヌは顔を真っ赤にして、令嬢らしからぬ悲鳴を上げるのであった。
マリアンヌは震える声でその名前をつぶやいた。
聞き覚えがあるような気がしたが、血を流しすぎて頭がぼんやりして思い出すことができなかった。
「・・・って、すごいケガをしてるじゃないの!? そのまま動かないで!」
ラクシャータがマリアンヌのそばへと駆け寄ってきて、切り裂かれた胸部へと触れる。
マリアンヌの胸は鋭い刃で斬られたような傷があり、今もとめどなく血が流れ続けていた。
マリアンヌは知らないことであったが、この森は『魔の深域』と呼ばれる場所で強力な魔物が多数生息している。
あの巨熊もその一体であり、頭部の角は研ぎ澄まされた日本刀に匹敵する切れ味があった。
「えいっ、エクスヒール」
「え?」
ラクシャータの手の平から温かな光が放たれ、胸部の裂傷へと浸み込んでいく。
やがて光が消えたときには傷は跡形もなく消えていた。
「嘘・・・」
マリアンヌは茫然とした声でつぶやいた。
死を待つばかりであった身体は清々しいまでに回復していて、胸の傷だけではなく、崖から落ちたときに負った手足の負傷まで消えていた。
ラクシャータが使った「エクスヒール」という魔法は治癒魔法の中でも高位に位置するもので、それこそ聖女クラスの『癒し』属性持ちでなければ使用できないものだった。
「ラクシャータ・・・・・・ラクシャータ・イワン!?」
「ん?」
マリアンヌはようやく、その名前を思い出して口から叫んでいた。
それはレイフェルトとの最後の会話にも出てきた、汚れた聖女の名前であった。
婚約者がいる身でありながら姦通を行い、神の加護を失って追放された愚かな聖女。
「私の名前を知ってるの? どっかで会ったかな?」
ラクシャータは両手を組んで、うーん、と首を傾げた。
マリアンヌの記憶が確かであれば、ラクシャータ・イワンは200年以上も前の時代に生きていた人物である。
目の前にいる女性はどう考えても20代前半ほどの年齢にしか見えなかった。
「あ、ひょっとして、ローズマリーちゃん? 久しぶりね! 150年ぶりかしら!」
「い、いえ、違います。人違いです!」
マリアンヌはぶんぶんと両手を振る。
何代か前の祖先にそんな人がいたような気がしたが、今はそれを確認する余裕はなかった。
「あの・・・本当に、ラクシャータ・イワンさんなのですか?」
「うーん・・・人にものを尋ねるときには、先にすることがないかしら?」
ラクシャータが子供のように唇を尖らせた。
マリアンヌはハッと気がついて頭を下げた。
「失礼しました! 私はマリアンヌと申します! その・・・助けてくれて、ありがとうございました」
「はい、どういたしまして・・・さっきの質問だけど、私がラクシャータ・イワンで間違いないわよ」
「そうですか・・・本当に」
マリアンヌは瞳を細めて、考え込んだ。
目の前の人物がラクシャータ・イワンだとするならば、様々な疑問が浮上してくる。
どうして老いることなく200年以上も生きているのか、とか。
どうして魔物の巣窟であるこの森に棲んでいるのか、とか。
どうして・・・聖女の力を失くしたはずのラクシャータが治癒魔法を使うことができるのか、とか。
「あの・・・」
「あ、ちょっと待って」
思いつく限りの質問をぶつけてみようとマリアンヌが口を開くが、ラクシャータが手をかざして遮った。
人差し指を立てて、ひょい、とマリアンヌの身体を指さした。
「とりあえず場所を変えない? すごいエロいことになってるし、着替えぐらい貸すわよ?」
「え・・・?」
ラクシャータの指を追って視線を下ろすと、そこにはむき出しになったマリアンヌの胸部があった。
巨熊の角で切り裂かれた傷はすっかり治っているが、エクスヒールも服までは直せない。
斜めに切り裂かれたドレスからは形の良い二つの乳房がポロリとこぼれていて、ピンクの先端までもがあらわになっていて・・・
「ひゃ、ひゃああああああああああっ!」
マリアンヌは顔を真っ赤にして、令嬢らしからぬ悲鳴を上げるのであった。
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