悪役令嬢だから暗殺してもいいよね！ 婚約破棄はかまいませんが、無実を証明するためにとりあえず毒殺します。

７（完）

　それから数日後、王太子であるエドモンド殿下の死が公式に発表されました。

　殿下は御友人と馬車でピクニックに出た帰り道に襲われたらしく、遺体は刃物で切り刻まれていたとのことです。
　加害者の山賊はすぐに捕まったそうですが……騎士団が尋問を始めるよりも先に隠し持っていた毒を飲んで自害したようで、殿下を襲った動機はわからずじまいになってしまいました。

　王家の人間に手を出すなんて、いったい何が目的だったのでしょうか？



　ちなみに……殿下の事件からしばらくして、とある侯爵家が断絶することになりました。

　原因は食中毒。侯爵家に仕えていたシェフが誤って毒キノコをディナーの料理に使ってしまったことが原因です。
　当主も夫人も子供達も使用人も……侯爵家の人間は１人残らず毒を喰らって命を落としてしまい、主がいなくなった侯爵家の領地は王家に召し上げられることになりました。

　侯爵家の当主は生前、『私がこの国の闇を暴いてやる！』などと親しい知人に話していたそうですが、その真意を知る者は誰もいません。

　全ての真相は闇の中へと葬られました。
　闇を住処とする裏社会の住人以外、真実は誰も知るよしのないことです。





　ついでにもう１つ。
　これは余談になるのですが、私はそれから1年後にとある男性と婚約することになったのです。

　その男性はまるで何年も私と一緒にいたかのように、私のあらゆることを知り尽くしていました。

　毎朝、アップルティーを飲んでいることも。寝る前に柔軟体操していることも。ある作家の書いた詩集を枕元に置いていることも。

　お風呂ではどこから洗うのか、どんなデザインの下着を好んでいるのか。身体にあるホクロの数まで把握されていたのにはドン引きです。

　その男性が現れると同時に、ずっと私の面倒を見てくれていた専属メイドが辞めていったこと。
　さらに……そのメイドの顔と新しい婚約者の顔が瓜二つであることには、心臓が飛び出るほどに驚かされました。

　世の中には、明かさない方がいい真実もあるようです。

　我が身にそれが降りかかり、私は改めてそのことを痛感したのでした。



　終





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本作の他にも次の作品を投稿しています。どうぞこちらもよろしくお願いします。

・悪逆覇道のブレイブソウル　ゲームの悪役に転生したので勇者も魔王も倒してハーレムを作る

・悪役令嬢ですって？　いいえ、死神令嬢ですわ！