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パーティーの終わりは甘いお酒でしめましょう

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 そこからはフリータイムになり、今日フェスタで余った大吟醸や純米酒も開けて好き好きに飲み始めた。宴もたけなわというところで、口火を切ったのは五十鈴だった。

「すみません。どうしても気になるので伺いますが、穂高さんって女性ですか?男性ですか?」

 皆しんとなって穂高を見つめた。

「そうですねぇ、どっちに見える?」
「背の高い美人にも見えますし、中性的な美男子にも見えます」

 五十鈴がぐいっと身を乗り出した。

「そうね、身体は男なんだけど、心は私的にジェンダーレスかな」

 なるほどと五十鈴が座り直し、さらに踏み込んだ。

「では恋愛対象は男女どちらですか?」

 全員固唾かたずを飲んで答えを待った。

「『神は我々を愛し、我々が幸せになることを求めている。ビールがその証拠である』」

 そこでぐいっとビールを飲み干して

「好きになった人が好きな方よ」

 にっこり笑った顔は美しかった。

「かっけぇ」

 稲里が呟き、

「ちょっとどきっとした……」

 常盤が胸を押さえた。
 あらかた酒が空いたところで五十鈴が

「最後にデザートワイン開けましょう」

 とスクリューキャップを外した。ワインのラベル……エチケットにはアイスワインと書かれている。

「アイスワインって?」

 既に顔が赤く酔っている稲里に聞くと、

「五十鈴がいるのに俺に聞くなよ」
「ごめん、つい」

 頬を軽く染めた五十鈴が代わって答える。

「凍った葡萄から造ったワインよ。飲んでみればわかるわ」

 はいとアイスワインがグラスに注がれる。最初のシャルドネよりも濃い黄色で甘い葡萄の香りがする。一口飲んでみると

「甘い」
「そう、陸上部だったならスポーツ飲料凍らせて飲んだことがあるだろう。融け始めは甘かっただろ? あれと原理は一緒」

 稲里も一口味わうようにアイスワインを飲んだ。

「元はドイツで寒波にさらされた凍った葡萄から偶然出来たものらしいんだけど、元の葡萄の一割くらいしか果汁が取れなくて貴重なものなのよ。チーズと合わせて召し上がれ」

 俺は残っていたブルーチーズに手を伸ばした。実はちょっと苦手だったのだが、アイスワインと合わせると

「旨い」

 黴臭さが抜けて、蜂蜜のようなワインに塩気が足されて奥深い味わいになる。

「マリアージュってやつよ」

 違う者同士が出会って何か生まれるなら、きっと今日の出会いも意味があるのだろう。その夜五十鈴は常盤の家に泊まり、稲里と穂高は寮に泊っていった。部屋割りはどうするか少し悩んだが、穂高が

「気にしないで」

 と言うのでいつも通り二階で三人で寝ることにした。

 朝起きるとちゃんぽんした結果俺は二日酔いとなった。稲里と穂高は全く残っていないようだった。

「穂高さん身体は大丈夫ですか?」
「私、ワクだから平気」

 そういえば穂高は昨日もちっとも酔った様子が無かったなと思い出した。穂高が帰った後、片づけがてら酒瓶を数えると五人で飲んだとは思えない量になった。

「楽しかったな、和。また集まりたいな」

 そうだなと俺は返事をして、酒瓶を片付けた。
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