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大陸放浪編
旅立ち〜疑惑〜
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馬車から見える街並みは都とは違った港町特有の活気に満ちていた。様々な人種の人々が行き交い、酒場は賑わいを見せていた。辿り着いた町長の屋敷は流石にリアンの屋敷ほど大きくは無かったが、私の暮らしている屋敷とは比べ物にならなかった。都では茶色の屋根に白い壁に黒の梁の建物が多かったが、こちらは茶色のレンガで造られていた。
「何分、急なことで十分なおもてなしも出来ませんが、どうぞごゆっくりお過ごしください」
「お心遣いありがとうございます」
町長は出迎えた執事に声をかけた。
「こちらは青嵐の騎士、ルーク様と救国の聖女マヤ様だ。至急夕食の支度と部屋の準備を。お忍びでの旅の途中である。使用人たちに口止めと粗相のないように」
「かしこまりました」
執事は一礼すると従僕たちに荷物を運ぶように、馬丁に馬の世話をするよう指示した。町長は自ら屋敷の中に招き入れ、応接室へと通された。
「これからどちらに向かわれる予定なのですか?」
「イスラ共和国に。こちらから船は出ていますか?」
ルークの問いに町長はゆったりとした微笑みをもって答えた。
「勿論です。それでは交易船に乗れるように、こちらから取り計らいましょう」
「それは助かります。ところで、この町では眠り病にかかった者はいますか?」
ルークは続けて尋ねた。町長は一瞬不思議そうな顔をした後、ふと思い出したように言った。
「そういえば園丁の六歳になる娘が何をしても起きないと執事が話していました。同様の病に侵されている者が町にも数人いると聞いております。もしや、旅となんらかの関係が?」
「ええ。ですが、これ以上お話しできません。どうか、眠り病にご留意ください」
「わかりました」
その時、応接室のドアがノックされた。
「どうやら食事の用意が整ったようです。食堂までいらして下さい」
夕食は短時間で作られたとは思えないほど、豪勢なものだった。小さなチコリのアミューズブッシュと言われる一口大のオードブルから始まり、中がミディアムに仕上げられた鹿肉のグリルはソースが絶品だった。町長は言葉通り詮索もせず、席に座って静かにワインを飲んでいた。私たちは食事を終えると、ゲストルームに案内された。そこで私はローブを脱ぎベッドに倒れこんだ。長時間御者席に座るのは馬に騎乗したり、馬車に乗っているのとは違う疲れがある。
(ずっと自分と国のためだけで精一杯だったのに大陸を救うなんてできるのかな?)
しかもあの青嵐の騎士と。だが私の中で疑念が浮かぶ。
(あの人、本物なの?)
伝聞通りの空色の髪と海の瞳だが、今のところただのぐうたら騎士である。私の中の不安は募るばかりだった。しかし、ゆっくりと瞼を閉じると自然と眠りは訪れた。
翌朝、私はメイドのノックの音で目を覚ました。いつも通り髪を結いあげ、身支度を済ませて部屋を出た。食堂にはすでにルークがおり、町長と商談をしていた。
「これから船での旅になりますので、荷馬車と馬の扱いに困っておりまして……つきましてはこちらで引き受けていただけると助かるのですが」
「夕べ拝見しましたが、大変素晴らしい名馬でしたね。お預かりする形でも構いませんよ」
町長は慎ましく馬を賛辞しながらも、すぐにこの話に飛びつくことは無かった。
「いえ、我々の旅は長く、時間がありません。再びこの町を訪れることは不可能でしょう。でしたら、一宿一飯の御恩のある町長殿にお引き取りして頂きたいのです。王宮で世話をされていた馬です。血統も調教も申し分ありません。つきまして、金貨でこれくらいではいかがでしょうか?」
ルークはどこからかそろばんを取り出し、玉を弾いて町長に差し出した。それを見て町長は笑って受け取った。
「ははは、ルーク様は英雄である前に商人としての才能もお持ちだ。いいでしょう。お引き取りしますよ。お二人が我が屋敷に滞在して頂いた栄誉の記念として頂きます」
「ありがとうございます。この資金は旅の路銀にさせて頂きます」
一連の流れを見ていた私はあんぐりと口を開けてしまった。王から賜った馬を法外な値段であっさりと手放した。私はルークの傍に寄って耳打ちした。
「ルークさん、いくら何でも失礼過ぎますよ!この先、馬を使わないなら城に戻してもらうとか、後で取りに来るとか!」
「馬鹿か、あんた。そんな暇あるわけねぇじゃねぇか」
「それにしてもぼったくりすぎですよ!何ですか、あの値段は?!」
「本当に馬鹿だな、あんた。どうせ使えないんなら金に換えるのが一番だろ。金はいくらあってもいいもんだぜ?」
ひそひそと話し合っていた私たちの様子を見ていた町長が事情を察した様にくすくすと笑った。
「良いのですよ。さあ、食事にしましょう。しばらく船旅になりますからしっかり食べて行ってください」
町長がベルを鳴らすとメイドたちがカートを押して入室してきた。
「何分、急なことで十分なおもてなしも出来ませんが、どうぞごゆっくりお過ごしください」
「お心遣いありがとうございます」
町長は出迎えた執事に声をかけた。
「こちらは青嵐の騎士、ルーク様と救国の聖女マヤ様だ。至急夕食の支度と部屋の準備を。お忍びでの旅の途中である。使用人たちに口止めと粗相のないように」
「かしこまりました」
執事は一礼すると従僕たちに荷物を運ぶように、馬丁に馬の世話をするよう指示した。町長は自ら屋敷の中に招き入れ、応接室へと通された。
「これからどちらに向かわれる予定なのですか?」
「イスラ共和国に。こちらから船は出ていますか?」
ルークの問いに町長はゆったりとした微笑みをもって答えた。
「勿論です。それでは交易船に乗れるように、こちらから取り計らいましょう」
「それは助かります。ところで、この町では眠り病にかかった者はいますか?」
ルークは続けて尋ねた。町長は一瞬不思議そうな顔をした後、ふと思い出したように言った。
「そういえば園丁の六歳になる娘が何をしても起きないと執事が話していました。同様の病に侵されている者が町にも数人いると聞いております。もしや、旅となんらかの関係が?」
「ええ。ですが、これ以上お話しできません。どうか、眠り病にご留意ください」
「わかりました」
その時、応接室のドアがノックされた。
「どうやら食事の用意が整ったようです。食堂までいらして下さい」
夕食は短時間で作られたとは思えないほど、豪勢なものだった。小さなチコリのアミューズブッシュと言われる一口大のオードブルから始まり、中がミディアムに仕上げられた鹿肉のグリルはソースが絶品だった。町長は言葉通り詮索もせず、席に座って静かにワインを飲んでいた。私たちは食事を終えると、ゲストルームに案内された。そこで私はローブを脱ぎベッドに倒れこんだ。長時間御者席に座るのは馬に騎乗したり、馬車に乗っているのとは違う疲れがある。
(ずっと自分と国のためだけで精一杯だったのに大陸を救うなんてできるのかな?)
しかもあの青嵐の騎士と。だが私の中で疑念が浮かぶ。
(あの人、本物なの?)
伝聞通りの空色の髪と海の瞳だが、今のところただのぐうたら騎士である。私の中の不安は募るばかりだった。しかし、ゆっくりと瞼を閉じると自然と眠りは訪れた。
翌朝、私はメイドのノックの音で目を覚ました。いつも通り髪を結いあげ、身支度を済ませて部屋を出た。食堂にはすでにルークがおり、町長と商談をしていた。
「これから船での旅になりますので、荷馬車と馬の扱いに困っておりまして……つきましてはこちらで引き受けていただけると助かるのですが」
「夕べ拝見しましたが、大変素晴らしい名馬でしたね。お預かりする形でも構いませんよ」
町長は慎ましく馬を賛辞しながらも、すぐにこの話に飛びつくことは無かった。
「いえ、我々の旅は長く、時間がありません。再びこの町を訪れることは不可能でしょう。でしたら、一宿一飯の御恩のある町長殿にお引き取りして頂きたいのです。王宮で世話をされていた馬です。血統も調教も申し分ありません。つきまして、金貨でこれくらいではいかがでしょうか?」
ルークはどこからかそろばんを取り出し、玉を弾いて町長に差し出した。それを見て町長は笑って受け取った。
「ははは、ルーク様は英雄である前に商人としての才能もお持ちだ。いいでしょう。お引き取りしますよ。お二人が我が屋敷に滞在して頂いた栄誉の記念として頂きます」
「ありがとうございます。この資金は旅の路銀にさせて頂きます」
一連の流れを見ていた私はあんぐりと口を開けてしまった。王から賜った馬を法外な値段であっさりと手放した。私はルークの傍に寄って耳打ちした。
「ルークさん、いくら何でも失礼過ぎますよ!この先、馬を使わないなら城に戻してもらうとか、後で取りに来るとか!」
「馬鹿か、あんた。そんな暇あるわけねぇじゃねぇか」
「それにしてもぼったくりすぎですよ!何ですか、あの値段は?!」
「本当に馬鹿だな、あんた。どうせ使えないんなら金に換えるのが一番だろ。金はいくらあってもいいもんだぜ?」
ひそひそと話し合っていた私たちの様子を見ていた町長が事情を察した様にくすくすと笑った。
「良いのですよ。さあ、食事にしましょう。しばらく船旅になりますからしっかり食べて行ってください」
町長がベルを鳴らすとメイドたちがカートを押して入室してきた。
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