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王国陰謀編
国際博覧会と恋の行方~開催の準備~
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それから私は悩んだ。愛を与えるとはどういうことか考え続けていた。
しかし、国際博覧会の開催が近くなると、仕事はどんどん増えていった。
私は展示物のチェックのためにフェアリーライトパレスに向かっていた。
その途中ギルドに人だかりが出来ていた。
「ごめんなさい、ちょっと止まってください」
私は馬車を降りて、人だかりに揉みくちゃにされながらも、ギルドの内部を見ることができた。
中では外国人の船員が早口でギルドの窓口でまくし立てている。
ギルドの組合員と外国人との間でデヴィンが困った顔をしていた。私は諍いの中へ一歩踏み出した。
「どうしたの、デヴィン?」
「ああ、クラキ先輩。彼らはイスラ人で、突然ギルドに乗り込んできまして……仲裁しようとしたんですが、彼らの言葉は訛りがひどくてよくわからなくて」
「わかったわ」
私は船員たちに向かって話しかけた。
『お初にお目にかかります、フローレンス王国顧問魔術師のマヤ・クラキと申します。こちらに何か不備がありましたか?』
『おお、アンタなら話が出来そうだ。こいつらの言葉はわからなくてな。こいつら、俺たちが運んできた大切なイモージェン神を逆さまにしやがって。 一体どういうつもりなんだ?』
『なるほど、それは大変ご無礼を。謹んでお詫び申し上げます。すぐさま配置し直しますので、お手数ですがどなた様か一緒に会場に来ていただけませんか?』
『俺が行こう。イモージェン神は配置するにも方角が決まっているからな』
『ありがとうございます』
話が終わると私はギルドの館にいる全員に聞こえるように声を張り上げた。
「お客人は積み荷である大切な神像の扱いに対して、お話に来て下さったのです。皆さま、お騒がせしました」
私の言葉を聞くと人だかりが少しずつ解けていった。
「クラキ先輩、助かりました。でも先輩、イスラ語も話せたんですか?」
「ええ、この西大陸の言語は体系もスペルも似ているから。日常会話程度だけど」
デヴィンの琥珀色の目に尊敬の念がこもる。
「すごい……流石、先輩です。いつも勤勉で、それを他人のために惜しむことなく差し出す。あの時も……」
そう言いかけてデヴィンは額を押さえた。
「え?デヴィン、大丈夫?」
「いえ、何でもありません。お手数おかけしました」
私はデヴィンの様子を気遣いながらも、外でイスラ人が呼んでいる声がした。
後ろ髪を引かれつつも私は馬車にイスラ人とともに乗り込んだ。
『イスラ国の方から見て、フローレンス王国はいかがですか?』
『皆、働き者で正直だ。少し硬いところがあるがな。何より酒が美味い』
『お酒というとワインですか?』
『ああ。イスラはワインの聖地でな。こうみえてワインにはうるさいんだ。フローレンスに来た時には必ず仲間とたらふく飲んで帰るんだ。それがこの国の楽しみだよ』
なるほどと私は頷きながら心の中でメモをした。
馬車が石畳をガタゴトと走っていく。
しかし、国際博覧会の開催が近くなると、仕事はどんどん増えていった。
私は展示物のチェックのためにフェアリーライトパレスに向かっていた。
その途中ギルドに人だかりが出来ていた。
「ごめんなさい、ちょっと止まってください」
私は馬車を降りて、人だかりに揉みくちゃにされながらも、ギルドの内部を見ることができた。
中では外国人の船員が早口でギルドの窓口でまくし立てている。
ギルドの組合員と外国人との間でデヴィンが困った顔をしていた。私は諍いの中へ一歩踏み出した。
「どうしたの、デヴィン?」
「ああ、クラキ先輩。彼らはイスラ人で、突然ギルドに乗り込んできまして……仲裁しようとしたんですが、彼らの言葉は訛りがひどくてよくわからなくて」
「わかったわ」
私は船員たちに向かって話しかけた。
『お初にお目にかかります、フローレンス王国顧問魔術師のマヤ・クラキと申します。こちらに何か不備がありましたか?』
『おお、アンタなら話が出来そうだ。こいつらの言葉はわからなくてな。こいつら、俺たちが運んできた大切なイモージェン神を逆さまにしやがって。 一体どういうつもりなんだ?』
『なるほど、それは大変ご無礼を。謹んでお詫び申し上げます。すぐさま配置し直しますので、お手数ですがどなた様か一緒に会場に来ていただけませんか?』
『俺が行こう。イモージェン神は配置するにも方角が決まっているからな』
『ありがとうございます』
話が終わると私はギルドの館にいる全員に聞こえるように声を張り上げた。
「お客人は積み荷である大切な神像の扱いに対して、お話に来て下さったのです。皆さま、お騒がせしました」
私の言葉を聞くと人だかりが少しずつ解けていった。
「クラキ先輩、助かりました。でも先輩、イスラ語も話せたんですか?」
「ええ、この西大陸の言語は体系もスペルも似ているから。日常会話程度だけど」
デヴィンの琥珀色の目に尊敬の念がこもる。
「すごい……流石、先輩です。いつも勤勉で、それを他人のために惜しむことなく差し出す。あの時も……」
そう言いかけてデヴィンは額を押さえた。
「え?デヴィン、大丈夫?」
「いえ、何でもありません。お手数おかけしました」
私はデヴィンの様子を気遣いながらも、外でイスラ人が呼んでいる声がした。
後ろ髪を引かれつつも私は馬車にイスラ人とともに乗り込んだ。
『イスラ国の方から見て、フローレンス王国はいかがですか?』
『皆、働き者で正直だ。少し硬いところがあるがな。何より酒が美味い』
『お酒というとワインですか?』
『ああ。イスラはワインの聖地でな。こうみえてワインにはうるさいんだ。フローレンスに来た時には必ず仲間とたらふく飲んで帰るんだ。それがこの国の楽しみだよ』
なるほどと私は頷きながら心の中でメモをした。
馬車が石畳をガタゴトと走っていく。
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